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古本と彫刻と木の香りと 。 北の本屋さん

木々が秋色に色づいた11月19日。
以前から気になっていた、とある本屋さんに訪れました。

お店の扉をあけると・・・

想像力と創造力をかきたてる、本と彫刻。
木の香りは癒しを演出し、すべてが化学反応しています。
‘夢のよう‘ と、こぼさずにはいられませんでした。

—―このオブジェは何ですか?

「息子が彫刻家なんです。
ここは息子が造った彫刻を置くために建てました。
見てもらう方法はないか?と考え・・・
持っている本やあつめた本で、古本屋にしました」

と 北の本屋さん の店主、磯崎(いそざき)さん。

人生で出合ったことのないストーリーと空間に惹かれ、その場で取材を申しこみました。

この記事は、周南市の魅力をPRする周南市市民ライターの活動として発信しています。

北の本屋さんは、2019年に開業。
周南市街地から北にひと山こえた長穂地区にあります。
冬は畑一面が雪でまっ白にかがやき、初夏はホタルの鑑賞イベントがおこなわれる地区です。

国道315号線沿いの看板を曲がる
坂道をのぼった先にある、入口の看板
自然と一体化する木造の本屋さん

入口の奥にある暖炉がまた、雰囲気をかもしだします。

――どんな方が来られますか?

店主 いろんな方が来られますよ。
遠くは広島や下関、山陰の方から。

(ここに来られて)一番喜ばれたのはね、戦時中にお父さんをシベリアで亡くされた方です。
どういう亡くなり方をしたのか知ることができなかったそうです。
それを知れる本があったんですよ。
ご本人がみつけて、「これはいいものがあった」と手にして帰られました。

また、英語の辞書を編集したという方が山口県にいらっしゃって。
その辞書がここにあり、「私の名前があるんです」と嬉しそうに教えてくれました。

2千冊以上の本

――お薦めの小説はありますか?

店主 最近では葉室 麟(はむろ りん)さんの小説。
なかなかおもしろいんですよ。
3、4年前にお客さんから聞いて、そういうことがなかったら出合うことはなかったと思います。
新聞に出ていた作家ランキングに入っておらず、不満です(微笑み)

ほかにも、お客さんが本を薦めてくれます。
知らなかった本を読んでみるとおもしろいです。
書き手も、読み手も、いろんな立場や考え方があるのだと感じます。

原田マハさんも、お薦めの一人です。
小説にイラストも描かれています。
息子が彫刻をしていることもあり、作品が奥深いなと感じます。 

お話をうかがいながら、共感しました。

私自身、本や取材、本業である占いでいろいろな方の背景・考え方に触れさせていただくことで、多くの学びがあります。

店主の人生観、お薦め小説の世界観を本から読みとりたく、一冊、また一冊と手にとっていきました。
(計4冊購入して帰りました)

奥様 珈琲どうぞ~ 丁度いいときに来られたので。

奥様の淹れたて珈琲を、ごちそうになりました。

店主 読んだ本には最終ページに印をつけます。
本や盆栽の愛好家だった仲間は、ちがう印をつけていました。
愛好家も、有名な作家も、時の流れと共に年を重ねていきますね。

作家の文字、印のつく一冊に、生きてきた証をしみじみと感じました。

店主とのゆっくりと流れる時間。
こちらでの出会いを深く感謝しています。

ここでしか出会えない物語があります。

帰り際に、「あった!あった!」と私が探していた本をみつけてくださった店主。
分厚く、年数も経っていない、占いの本。
ワンコインでおつりが返ってくるという、やさしいやさしいお値段でした。

店主  めったに出ない本で、安くしてました。

そう微笑みながら、見送ってくださいました。
素敵なひとときを、ありがとうございました。

隠れ家のような、北の本屋さん。
みなさんも素敵な本との出合いがありますように。

北の本屋さん
住    所   :山口県周南市長穂51-3
営業時間:13~17時
3~11月は、火曜日定休
12~2月は、土日のみ営業
《書棚目録》
・文学書
・美術、茶道、歴史、登山などの本
・各種辞書
・こどもの絵本
・漫画
など

※本記事の内容は、執筆時点(2023年12月)のものです。



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