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渋沢栄一に浸る10日間 Vol.8📖「親が子に孝行をさせる」

インソースでは現在、“偉人の金言” を基にした研修 を開発しております。 その開発過程で心に残った偉人の金言を特選し、今年の春からこちらのnoteで配信中です。

第1周目として取り上げている人物は「渋沢栄一」。数分で読んでいただけるシリーズとして、全10回ほどの配信を予定しております(残すところあと3回)。ぜひお楽しみに。

語り手は、日本古代史にお詳しい弊社の “小林さん” です👓

渋沢栄一に浸る10日間 Vol.8📖「親が子に孝行をさせる」

「孝行は親がさしてくれて、初めて子ができるもので、子が孝をするのではなく、親が子に孝をさせるものである」(渋沢栄一『論語と算盤』角川文庫p274)

この言葉は、「孝行は親がこうするようにと指示して、初めて子ができるもので、そういった意味では子が孝行をするのではなく、親が子に孝行をさせるといえる」という意味です。

普通「孝行」というと、子が親を想って何かするというイメージが一般的ですが、敢えて渋沢がこのように書いている意味は、以下のような自らの若い時の体験からでした。

「確か私の二十三歳の時であったろうと思うが、父は私に向かい、『其許(そこもと、そなた)の十八歳頃からの様子を観ておると、どうも其許は私と違った所がある。読書をさしてもよく読み、また何事には利発である。私の思う所から言えば、永遠(いつ)までも其許を手許(てもと)に留め置いて、私の通りにしたいのであるが、それではかえって其許を不孝の子にしてしまうから、私は今後其許を私の思う通りのものにせず、其許の思うままにさせることにした』と申されたことがある。
(中略)
しかるに父が無理に私を父の思う通りのものにしようとし、かくするが孝の道であると、私に孝を強ゆるがごときことがあったとしたら、私はあるいはかえって父に反抗したりなぞして、不孝の子になってしまったかもしれぬ。幸いにかかることにもならず、及ばぬうちにも不孝の子にならずに済んだのは、父が私に孝を強いず、寛宏(かんこう)の精神をもって私に臨み、私の思うままの志にむかって、私を進ましめて下された賜物である」(『論語と算盤』p274)

親が、「子が自分よりも優秀だ」と感じたら、その子がやりたいという意思を尊重し、全面的に認め、サポートしてあげる。

家父長権が強く、親の言いなりになるのが当たり前の幕末に、このような考え方の父親を持ったことも渋沢が成功した大きな要因だと感じました。

現代では、親が子どもの望む道を認めて進ませることは一般的になっていますが、渋沢の父親のように、しっかりと本人の力量を見据えて子どものことを承認できているのかと考えると、子どもの決断を本人の自己責任として放任しているだけではないか、自分も親として考えさせられる言葉でした。

在宅勤務社員イシハラの感想

日本古代史の研究を14年経験され、現在はメディア事業部の責任者である小林さんが綴る「渋沢栄一に浸る10日間」 。今回は思わず、地元の山形で暮らす両親を思い出してしまう回でした。

小林さんが語った通り、今とは価値観や当たり前が異なっていた幕末の時代に、息子の素質を認め、尊重し、やりたいようにさせてくれた渋沢栄一の父親……その人間力に感動です。

当時は珍しいことだったと思いますが、そうした「革新的な判断力・行動力」は父親から息子へと受け継がれており、だからこそ、渋沢栄一は新しい社会の在り方を築けたようにも感じます(偉人が偉人を育て、増やしていくのかもしれませんね)。

以上、第8回目の「渋沢栄一に浸る10日間」でした。来週更新予定のラスト2回も、ぜひお気軽に覗いていただければ幸いです☕📚


▼渋沢栄一の金言に学ぶ研修もできました

▼「渋沢栄一に浸る10日間」他の回はこちら

📖Vol.1 「争いを恐れるな?」

📖Vol.2 「大きな仕事は細かい仕事の積み上げ」

📖Vol.3 「目先のことばかりにこだわらないで」

📖Vol.4 「智恵・情愛・意思」

📖Vol.5 「趣味をもって仕事をする」

📖Vol.6 「完全な成功とは」

📖Vol.7 「目の前の成功や失敗に囚われるな」

📖Vol.9 「立志の要」

📖Vol.10 「《最終回》溌剌たれ!」

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