彼女に切りたいと言われたら
また、やっちゃったんだね。
もう何度この言葉を吐いただろうか。
残業を終え帰宅。
うずくまる彼女。
手首には赤い平行線。
自傷癖のあった僕のメンヘラ彼女(通称ヘラ子)は
嫌なことがあった時、さみしい時、怒った時、よくリストカットをした。
ヘラ子との1年以上にも及ぶ同棲の日々は下記に綴ってあるので気が向けば読んで欲しい。
(リモートワークは死刑宣告だった)
ヘラ子も同棲した最初はリスカを一切していなかった。
なんなら僕と付き合いだした頃にはリスカをやめており、僕は自分が彼女を救ったかのような気でいた。
もちろんそんなのは幻想でしかなかったのだが。
ヘラ子との結婚が一旦白紙になったくらいから彼女は自傷行為を始めた。(結婚の話は添付の記事『僕の魂が死んだ日』を読んで欲しい。)
今回は彼女は”切りたい”といったらどうすればいいか。自分なりの解決策を述べたいと思う。
①止める。
ごめんね。○○くんやっぱり私切りたいの。
ヘラ子はカミソリを取り出し、手首にあてがった。
バチンっ
僕は本能的に彼女の手からカミソリをはたき落とした。
このような状況に直面した人にしか絶対に共感できないだろうが、人は人が自分を傷つけようとする光景をみると、考えるより先に止めようとする。野生のカンなのか、動物に叩き込まれた本能がそうさせるのかはわからない。だが考えるより先に体が動いたのだ。
やめるよう注意したが彼女は何度も切ろうとする。
ヘラ子の持っているカミソリを全てあずかることにした。
なんで、止めるの。やめて、やめてよ。
ヘラ子は今まで聞いたことのないような金切り声をあげた。
まるで大切にしていたおもちゃを奪われた子供のように彼女は泣きじゃくった。
結局、彼女が落ち着いたのは午前5時。
なお、僕はその4時間後にコンペを控えていた。なんとか彼女を落ち着かせ、就寝したところを見て、出社した。我ながらすごい精神力である。
その後、コンペを無事に終え、残りは在宅ワークにして彼女の様子をみようと思った。
ラインを見ると通知が10件。
画像が送付されており、真っ赤に染まる手首が写っていた。
なんで止められなかったんだろう。
悔しさ、無力感、怒りいろんな感情が駆け巡った。
結局、止めるという行為は無意味なのだろう。
一緒にいるうちは阻止できても、目を離すと切ってしまう。そういう意味では解決策とは呼び難い。
②リストカットを肯定してあげる。
止めても止むことがないリストカット。僕は途方にくれていた。
そこでインターネットに答えを求めることにした。
すると有名な精神科医の人が
リストカットは止めても無駄です。むしろするなと言うと、心理的な負担がかかり逆効果です。リストカットを肯定してあげることが大切です。
というような内容を書いていた。
早速実践を試みたが、これがなかなか難しい。
目の前で手首を切る行為を止めないというのはなかなかに心に来るものがある。
こっちまでおかしくなりそうだった。
とにかくヘラ子の感情に反することはやめようと切りたいといったら、
切ってもいいよ。辛いよね。と彼女の気持ちを肯定した。
内心では穏やかでなかったが。
この方法によってリストカットの頻度は激減した。だが、そう長くは続かなかった。
〇〇くん、最近、止めてくれなくなったね。
私のこと嫌いになったんだね。もう死ぬね。
なんと今度はリスカどころではなく飛び降りを図るようになったのである。
毎回、止めようとするたびに自分の精神がすり減っていくのがわかった。
止めても地獄、止めなくても地獄。出口のない迷路に迷い込んだようだった。
③自分の感情をぶつけてみる。
ヘラ子は劇情型のコミュニケーションをとる。
ならば自分も合わせてみるのはどうだろうか。
彼女は手首を切ろうとするたび、僕は涙ながらに辞めるよう訴えてみた。
彼氏はどっしり構えているものだ。なんて一般論は捨てて、
やめて欲しいということと愛しているということを全力で伝えた。
これは意図的にやっているのではない。本当に心の声に従った結果、涙が溢れて来るのだ。
この方法は最も愚かだった。
私のせいで、〇〇くんが追い込まれている。
私なんか死ねばいいんだ。
彼女は、ベルトを使って自分で首を締め出した。
彼女が落ち着いた時には太陽が顔を出していた。
最後に
どんな方法を試しても、自傷行為はやまない。
僕は無力でしかなかった。
結局のところ、本人がやめようと本気で思わなければ、止むことはないのだろう。
救いのない話だが、時間が解決していくこともあるのかもしれない。
ここまで読んで、解決策なんてないと悲観してしまった方に
最も有効な方法を伝えたいと思う。
根本的な解決にはならないが、軽減はされるはずだ。
それは、黙って抱きしめることだ。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。今、心の傷を少しづつ癒しながら元の自分に戻れるよう頑張っています。よろしければサポートお願いします。少しでもご支援いただければそれが明日からの励みになります。