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熱水噴出孔周辺の生態系:太陽に依存しない、小規模で独自の生態系が深海に存在している。 (CASE: 76/100)


▲「熱水噴出孔周辺の生態系」とサステナビリティ

「地球外生命」の存在について、個人的に小さい頃からとても興味があります。いまだその確証は科学的には発見されていませんが、その存在が未来の世界において確認された時の自分の衝撃を、あたかもリハーサルしたかのような出来事がありました。

私は大学4年の夏季休暇中に、海洋研究開発機構(JAMSTEC/ジャムステック)が主催する短期間の教育プログラムに参加しました。大学では物理学を学んでいましたが、海洋科学に興味のある友人に強く誘われて、付き添いのような形で参加しました。
その教育プログラムの初日に受けた講義の中で学んだ「熱水噴出孔」の話にこそ、「地球外生命」に出会ったような衝撃を受けたのです。

「熱水噴出孔」は、深海にある熱と多種の化学物質が噴出している場所で、その構造や英語表記から「チムニー」とも呼ばれます。その周辺の生態系は、主要なエネルギー源を、太陽エネルギーではなく熱水噴出孔(すなわち熱水)に依存していると考えられています。私も含めた地球上のほとんどの生命のような、太陽光に紐づく生態系とは別種の生態系がつくられているということです。

また、これは私の推測ではありますが、その生態系は、直近の熱水噴出孔を中心とした生態系なので、異なる熱水噴出孔の生態系とはそれぞれ独立したものなのではないでしょうか。その点でも、太陽の下で、ある程度循環性や交流性を持った私たちの生態系とは異なる性質を持っていることになります。

映画マトリックスの世界のように太陽が雲で遮られると地球上の生態系は全滅するでしょう。しかし、この熱水噴出孔周辺の生態系は生き残ることができます。システムのバックアップ機能というよりも、別の世界というか、別のシステムによって駆動する生き物たちが、地球の生命の持続可能性を高めているのです。

私たちの社会生活の中では、電気や水、交通など、大規模なシステムを安定させたり、バックアップをつくったりすることで、そのシステムの持続可能性を持たせる試みがこれまでも行われてきました。

一方で、熱水噴出孔周辺の生態系のように、小さな規模で敢えて閉じたシステムを分散的に持つことで、全体としての持続可能性を高めるようなシステムも、私たちの社会においてこれからの選択肢になり得るのではないでしょうか。

▲参照資料

▲キュレーション企画について

イノベーション事例についてi.labがテーマにそって優れた事例のキュレーションを行い、紹介と解説を行います。

2022年のテーマは「サステナビリティ」です。

▲今回のキュレーション担当者

i.lab マネージング・ディレクター 横田幸信

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