感染症診療・感染対策ノート

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感染症診療・感染対策ノート

2010/10~2024/1:公立昭和病院 感染症科・感染管理部 2024/2~:戸田中央総合病院 感染対策管理室 本ノートの内容は、個人的見解であり、所属施設の公式見解ではございません。       著者兼管理人:小田智三

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ヒトはなぜ学習するのか?~感染症診療の基本的な考え方~その1

感染症診療の基本的な考え方の講義~まず初めに、 ヒトはなぜ学習するのか? をお話させていただきます。 この問に対する、自分なりの「こたえ」を既に持っている読者の皆様も多数いらっしゃると思います。 私の考えは、実は既に過去のノート記事で記載しております。 上記ノート記事の内容をお読みいただければ、私のお伝えしたいことは大体記載されております。 でも、せっかくの機会ですのでもう少しお話を続けさせていただきます。 皆様は、これまでいろいろな試験勉強をしてこられたのではないで

    • 2つの微生物学的感染症診断~感染症診療の基本的な考え方~その9

      こんにちは 今回も引き続き感染症診断~微生物学的診断~のお話です。 まずは、下記スライドをご参照ください。 眼の前の患者さんが、何らかの感染症に罹患されていることを想像してください。 さて、患者さんに感染している微生物~確認できますか? 多くの、というかほとんどのヒトに感染可能な微生物は、目てみて・手で触れることが可能な具体的な存在とは捉えにくいものです。 例外的に、比較的大きめの微生物~寄生虫等では例外的に、目で見て・手で触れることが可能なものも無くは無いのです

      • 臓器・解剖学的感染症診断の限定列挙~感染症診療の基本的な考え方~その8

        本日も感染症診断の続きです。 感染症診断は2つ・・・いや3つつけるのでしたね。 ・臓器・解剖学的診断 ・微生物学的診断 ・感染防御・免疫力診断 本日はこの内の臓器・解剖学的感染症診断のお話となります。 眼の前に感染症の患者さんがいらっしゃるとします。 実は、臓器・解剖学的診断については、比較的カンタンに限定列挙可能なのです! 読者の皆様~いろいろと考えてみてください。            ⬇            ⬇            ⬇ 考えがまとま

        • 第3の感染症診断~感染防御・免疫力診断~感染症診療の基本的な考え方~その7

          みなさまこんにちは。 本日は、引き続き感染症診断のお話の続きです。 本ノート記事は、世界初公開の内容です~著者自信も改善の余地があるものと考えていますので、読者の皆様もお読みになり、自分なりに考えてみていただければと思います。 それではまいります。 これまで、2つの感染症診断 ・臓器・解剖学的診断 ・微生物学的診断 についてお話いたしました。 そして、これら2つ感染症診断は、相互に強く影響し合う・影響され合う関係~相互規制関係~にあるということも説明いたしました。

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        ヒトはなぜ学習するのか?~感染症診療の基本的な考え方~その1

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          なぜ感染症診断を2つに分割して認識するのか?~感染症診療の基本的な考え方~その6

          今日もご訪問ありがとうございます。 本日は、現実世界から少し距離を置いて、2つの感染症診断の思考実験をしてみたいと思います。 予めお断りしておきますが、本ノート記事はあくまでも、仮想世界でのお話です。 リアルワールドでの感染症診断は大変複雑な要素が多数あるのは、皆様周知の事実かと思います。 でも、限定された世界での脳内シミュレーションは、2つの感染症診断における相互規制関係を理解するためには大変わかりやすい(都合の良い?)学習の場となるかと考えております。 そして、

          なぜ感染症診断を2つに分割して認識するのか?~感染症診療の基本的な考え方~その6

          2つの感染症診断~感染症診療の基本的な考え方~その5

          本日は、冒頭スライドの問題から。 感染症の診断名~と聞いて、読者の皆様はどのようなものを思いつくでしょうか? まあ、いろいろと診断名があがるのかと想像いたしますが、ご自身で考えられる・想定される限りの「感染症領域の診断名」を上げてみてください!             ⬇               ⬇             ⬇ じっくり考えましたか? それでは、次のスライドをご覧ください。             ⬇             ⬇     

          2つの感染症診断~感染症診療の基本的な考え方~その5

          感染症診断に役立つ情報とはどのようなものか?~感染症診療の基本的な考え方~その4

          こんにちは 4月も下旬に入り、新しい生活様式にも徐々に順応されつつある状況かと想像いたします。 公立昭和病院 感染症科・感染管理部ノートでは、引き続き感染症診断についてお話を続けてまいります。 まずは、前回(感染症診療の基本的な考え方~その3)の復習事項から 感染症診断では、限定列挙の考え方で、目の前の患者の皆様の鑑別診断をあげていく~できれば少ない選択肢の限定列挙となるように~が重要ポイントでした。 それでは、感染症診断で限定列挙された鑑別診断について、一つずつの選

          感染症診断に役立つ情報とはどのようなものか?~感染症診療の基本的な考え方~その4

          診断をつけるという行為はどういうことなのか?~感染症診療の基本的な考え方~その3

          感染症診療の基本的な考え方の続きです。 今回は感染症診療の重要なポイント~診断~について考えてまいりましょう。 診断をつける~読者の皆様はマジメに考えたことがあるでしょうか? 医療提供者の読者は、おそらく日々特別に考えることもなく、診断をつけるという行為を行って来たのではないかと想像いたします。 「そんなことは無いよ~診断学を十分に学んできたつもりです」 そうですね。 診断学を学ぶことは、臨床医にとっては大変重要なことではあると思います。 ある程度、診断学的なものを

          診断をつけるという行為はどういうことなのか?~感染症診療の基本的な考え方~その3

          問題を適切に「問題である」と認識すること~感染症診療の基本的な考え方~その2

          皆様こんにちは 感染症診療の基本的な考え方のお話を続けてまいります。 今回は、感染症診療で一番ムズカシイ、失敗しやすいポイントのお話です。 皆様は、感染症診療で一番ムズカシイ・失敗しやすいポイントは、どのような点であると思いますか? 「細菌や微生物の名前が覚えられない」 「抗菌薬の種類がいっぱいあって大変」 「感染症って自分も感染するかもしれないからなんとなく苦手」 「血液培養採取しろとか言われても、めんどくさい」 いろいろと読者の皆様が感じている、感染症診療のムズ

          問題を適切に「問題である」と認識すること~感染症診療の基本的な考え方~その2

          ヒトのイイタイコトはだいたい抽象的なものである

          ご無沙汰いたしております。 新年度~2023年4月~を迎えて、皆様はどのような日々を過ぎしているでしょうか? 本ノート筆者は、長い間考える時間をいただくことにより、ようやく自分なりの感染症診療の基本的な考え方を皆様に自信を持って、お伝え可能な時期が訪れました。 先人の積み重ねて来られた臨床感染症学の知見に、私自身のイイタイコト・ツタエタイコトをプラスして、皆様に本ノート記事としてお届けしていこうと思います。 最初に、私の新しい「感染症診療の基本的な考え方」の講義で重要な

          ヒトのイイタイコトはだいたい抽象的なものである

          ヒトの感情と感染症~感染症との上手なつきあい方

          みなさまこんにちは 本日は、英文解釈の講義から。 問題 次の英文が第何文型か考え和訳してください。 To be guilty of prejudice is to let thinking be influenced by feeling. 冒頭の”To be~”は不定詞名詞用法で主語となるのかな? ”is”は、現在形で述語動詞。 ”to let~”も、不定詞名詞用法で補語。 だから上記英文はSVCの第二文型だよね~ 素晴らしい英文解釈力ですね~ そのとおりです。

          ヒトの感情と感染症~感染症との上手なつきあい方

          合理化する経口抗菌薬~医療連携講演会開催報告

          こんにちは 本日は、先日開催させていただきました、WEB講演会 公立昭和病院医療連携講演会(感染症科)~合理化する経口抗菌薬~の開催報告です。 おかでさまで、北は北海道から、南は四国高知県まで日本中から多数の先生方にご参加いただきました。ありがとうございました。 演者である公立昭和病院 感染症科 髙野先生から、Takeawaysとして公開可能なスライド2枚を提供いただきましたので、本ノートに掲載させていただきます。 まずは1枚目 上記6グループ7種類の抗菌薬は、髙野

          合理化する経口抗菌薬~医療連携講演会開催報告

          合理化する経口抗菌薬~公立昭和病院医療連携講演会のお知らせ

          お久しぶりです~ 本日は、公立昭和病院感染症科がお送りする「抗菌薬適正使用」関連のWEB講演会のお知らせです! 今回のメインテーマは経口抗菌薬です。 日頃から処方される機会の多い経口抗菌薬について、基本的で重要な内容をお伝えさせていただきます。 日時:2022年6月16日木曜日 18:30~19:30(予定) 演者:公立昭和病院 感染症科 髙野哲史先生 演題:合理化する経口抗菌薬 開催形式:WEB講演会 詳細は下記WEBサイトをご参照ください。 ↑上記Micros

          合理化する経口抗菌薬~公立昭和病院医療連携講演会のお知らせ

          2週間分の水と食料の備蓄を~新型コロナウイルス感染症⑧

          みなさまお久しぶりです~ 2021年8月になりました。 公立昭和病院感染症科・感染管理部周辺は、新型コロナウイルス感染症関連で忙しい日々を送る毎日は変わらない状況が続いております。 本日は、「2週間分の水と食料の備蓄」のお話です。 読者の皆様の周囲には、新型コロナウイルス感染症で自宅療養されている方々はいらっしゃいますか? 自宅療養では、原則、自宅から外出することは想定されていません。 となると、自宅の中にあるものでなんとか生き延びることが必要となります。 そし

          2週間分の水と食料の備蓄を~新型コロナウイルス感染症⑧

          黄色ブドウ球菌MSSA・MRSAが血液培養から検出されたらどうするか?

          読者の皆様こんちには~ お元気でお過ごしのことと思いますが、私共公立昭和病院感染症科・感染管理部一同は、相も変わらずCOVID-19関連の対応で忙しい日々を送っております。 本日は、気分転換に黄色ブドウ球菌MSSA・MRSAが血液培養から検出されたらどうするか?についてお話させていただきます。 まあ概要は、↑のスライドにお示しした通りです。記載チェックリストを一つずつ確認いただければ大きな問題はございません。 1つずつチェックしてまいります。 これは、大変重要なチェ

          黄色ブドウ球菌MSSA・MRSAが血液培養から検出されたらどうするか?

          抗菌薬選択を限定するための細菌グルーピング~その②グラム陰性桿菌編

          お久しぶりです。 本日は、抗菌薬選択を限定するための細菌グルーピング~その②と題して、グラム陰性桿菌に対する抗菌薬選択の概要をお話させていただきます。 まずは、冒頭のスライド~臨床現場で主に問題となるグラム陰性桿菌は大きく下記①~③の3グループにわけます。 ①腸内細菌科グラム陰性桿菌:PEK+PMSECK ②ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌:PAS ③グラム陰性嫌気性菌:BP それでは、最初にのグループ~①腸内細菌科グラム陰性桿菌PEKから始めます。 腸内細菌科グラム陰性

          抗菌薬選択を限定するための細菌グルーピング~その②グラム陰性桿菌編