見出し画像

ヒトの感情と感染症~感染症との上手なつきあい方

みなさまこんにちは

本日は、英文解釈の講義から。

問題
次の英文が第何文型か考え和訳してください。

To be guilty of prejudice is to let thinking be influenced by feeling.

冒頭の”To be~”は不定詞名詞用法で主語となるのかな?
”is”は、現在形で述語動詞。
”to let~”も、不定詞名詞用法で補語。
だから上記英文はSVCの第二文型だよね~

素晴らしい英文解釈力ですね~
そのとおりです。
ですが、そろそろ本ノートの本道に戻ります。
(さらに勉強されたい皆様は、本英文の出展元、薬袋喜朗著「基本文法から学ぶ英語リーディング教本」(研究社)をお読みくださいね)


To be guilty of prejudice is to let thinking be influenced by feeling.

本ノート筆者はなぜこの英文を提示したのか?

それは、私たちが感染症と向き合うときに、大変重要なメッセージを本英文が表現してくれているからです。

それでは和訳を提示いたします。

和訳:偏見の罪を犯すことは、思考が感情によって影響されるままにすることである。

私たちヒトは、さまざまな感情を持っています。
そして、あらゆる物事に対して抱いた感情をもとに、その対象に対して自分の思考や判断が影響されるのも自然なことであると筆者は考えます。

感染症に対してもヒトは様々な感情を抱きます。

例えば新型コロナウイルス感染症~COVID-19

新型コロナウイルス感染症が登場した当初2020年初頭、多くの読者はこの新しく登場した脅威に対して、漠然とした恐怖・不安等のいわゆる「マイナス感情」を抱かれたのではないかと想像いたします。

では、今現在(2022年7月時点)では、新型コロナウイルス感染症に対してどのような感情を抱かれているでしょうか?

おそらく、多くの皆様は2年前とは異なり、かつてのような恐怖や不安感は薄れ、大きな脅威とは感じなくなってきつつあるのかと想像いたします。

では、この新型コロナウイルス感染症~COVID-19に対する我々の感情の変化はどのようにして形成されてきたのでしょうか。

筆者は、地球上の多くの人々が
「新型コロナウイルス感染症~COVID-19」を「問題である」と適切に認識したことで、この問題=COVID-19
を解決に向かわせるためのあらゆる努力を驚異的なスピードで成し遂げてきた。その過程をつまびらかに把握することが可能であったことが、現在の新型コロナウイルス感染症に対する感情形成に大きく影響しているのではないか?と考えております。

現在私たちは新型コロナウイルス感染症~COVID-19に対して以下の知見・対処法を獲得しています。
・新型コロナウイルス感染症の検査診断方法~流行状況の把握
・マスク着用、換気等の適切な感染対策
・新型コロナウイルス感染症ワクチン
・有効な治療薬・抗ウイルス薬

そして、これらの新型コロナウイルス感染症に対する知見・対処法の存在を「学び・認識すること」が、私たちの新型コロナウイルス感染症~COVID-19に対する「感情」を大きく変化させてきていることも容易に想像されますね。

もし、上記のような新型コロナウイルス感染症に対する現在の知見や対処法の存在を知らない状態であるとしたら、皆さまの新型コロナウイルス感染症に対する感情はどうだったでしょうか?

おそらく、かつてのような不安や恐怖の存在のままであったかも知れませんね。

ヒトは、生命維持のために、本能的に自分に災いが及ばないようにあらゆる手段をとるものかと思います。

もし新しいヒトに脅威を及ぼす感染症の存在が判明した場合、多くの人々はどのような反応を示すでしょうか?

おそらく、その脅威から自分の身を守るために、その感染症を自分から遠い存在にしようとするのでしょう。その理由は当該感染症に対する不安や恐怖等の「感情」が「思考」を左右するためであるのかと。

事実、過去には様々な感染症にかかった人々を遠ざけようとする取り組みが行われてきました。いわゆる「隔離予防策」と言われるものが該当するかと思います。
新型コロナウイルス感染症~COVID-19も例外ではありませんね。

ただし、そのような行動が、「感情的な判断」を根拠に行われることが好ましくないことは、本ノートの読者の皆様であれば十分にご理解いただけるのではないでしょうか。
感染症にかかった人々にも「基本的人権」がありますからね。

そこで今回ご提示した英文のメッセージが重要となるのですね。

To be guilty of prejudice is to let thinking be influenced by feeling.

ヒトは、ある感染症の存在を知っても、それが自分から「はるかに遠い存在」であるうちには、問題とは認識しないのかと思います~感染症専門家を除いては~

そして、その脅威が身近に迫った段階で、当該感染症を「問題である」と認識し、新たな脅威についての知識や対処法の獲得を図る

その結果、ようやくその感染症に対して、マイナス感情に左右された思考・判断からの脱却が可能となるのではないか。


感染症に対する偏見を少なくするためには、多くの人々に、感染症に対する問題認識を早期にしていただくことが重要です。
そのためには、私を含む感染症業界の専門家が、感染症に対する啓発活動を行い、学習の機会を身近なものとする努力が欠かせないのかと思っております。

そうして多くの人々が「感染症と上手につきあっていける社会」が理想的なのかな?と。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?