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問題を適切に「問題である」と認識すること~感染症診療の基本的な考え方~その2

皆様こんにちは

感染症診療の基本的な考え方のお話を続けてまいります。

今回は、感染症診療で一番ムズカシイ、失敗しやすいポイントのお話です。

皆様は、感染症診療で一番ムズカシイ・失敗しやすいポイントは、どのような点であると思いますか?

細菌や微生物の名前が覚えられない」
抗菌薬の種類がいっぱいあって大変」
「感染症って自分も感染するかもしれないからなんとなく苦手」
血液培養採取しろとか言われても、めんどくさい

いろいろと読者の皆様が感じている、感染症診療のムズカシさはあると想像するのですが、筆者は下記のように考えております。


医療機関には、日々、多くの患者の皆様が訪れます。
患者皆様の多くは、自分が「困っている」と認識していること(いわゆる主訴ですね)を解決して欲しくて医療提供者のもとを訪れるわけです。

そして、医療提供者が目の前の患者の皆様の病気・病態に対して、様々な方法を駆使して、病気・病態を分類する≒「診断名をつける」作業を行っているわけです。

そして、つけられた「診断名」に対して、有効な方法(治療)を患者の皆様に提案し、そして、提案された方法(治療)を患者の皆様が受け入れた場合に、その方法(治療)が実施される~こういった流れが医療機関で患者の皆様に行われている行為(診療行為)であると考えております。

眼の前の患者自身から、「私の同居家族が新型コロナウイルス感染症と診断されたので、私も新型コロナウイルス感染症ではないですか?」などと言われれば、診察の最初の瞬間から、「もしかして『感染症?』」と眼の前の患者の病態に感染症を予想・推定することが可能となることがあるかもしれません。

しかしながら、多くの場合、患者の皆様自身から、特定の感染症病態を示唆する診断名が上がってくることは少ないのが現実です。

それでも、医療提供者は、目の前の患者の皆様のカラダの中に存在している(かもしれない)「感染症」に関連した「問題」を見出し(抽出し)て解決に結びつけていかなくてはなりません。

この診療の最初の段階では、患者のカラダの中に感染症が存在しているのか?それともしていないのか?さえ不明瞭な、大変抽象的な対象を診療していることを意識しておくことも重要でしょう。

この抽象的な・存在しているかどうかさえムズカシイ感染症病態~これが、もし存在しているのであれば、それを具体的な・目で見て手で触れるくらいに具体的に認識可能なものとして、「抽出する作業」≒「診断をつける作業」と言えるかと筆者は常々考えて、感染症診断を学んでいる医療提供者の指導を行っております。

そこで重要となるのが問題そのものの認識です

患者の皆様の、病歴、身体所見、検査所見~あらゆる情報から、患者のカラダの中に「もしかして感染症関連のモンダイが存在しているかも」と認識し、疑えればその後の診療は正常な軌道を進んでいくものと想定されます。

これからも暫くの間、「感染症関連のモンダイを適切に認識すること」≒感染症診断について話をすすめていくことにいたします。


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