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Stress Management 時間と心理的プレッシャーからの解放例

仕事や家族など、自分ではどうしようもないことに振り回されている気がする。頭と体が疲弊して、何をするのも億劫。

クライアント事例

20代。会社の営業職をこなしながらパーソナルトレーナーとして独立を目指す。やりたい事がたくさんあるのに、日常に圧倒されている。時間と気持ちが管理できなくてストレスを感じている。


1. コーチング導入:忙しくて焦る、その原因

コーチ: ストレスに関するアンケートにご回答ありがとうございます。質問の内容はどうでしたか?

クライアント:ほとんど簡単に答えられたし、それほど多くなくて良かったです。12問目のところで苦労しました。どうやって答えればいいかわからず。一つ前の質問と単語が一つだけ違うだけで同じように感じたのと、あと、1と答えるのか5と答えるのか混乱しました。

コーチ:大丈夫です。おっしゃることはよくわかります。この 2 つの質問は、ストレスを身体的に感じているか、精神的に感じているかを識別するためなので、似てるんです。

クライアント:なるほど、確かにそうですね。どちらかといえば、精神的なストレスだと思います。

コーチ:こうやって質問に答えてみて、ストレスマネージメントについての認識が高まりましたか?このアンケートは、思考や感覚をどうやってコントロールしているかを論理的に導き出せるようになっています。

クライアント:すごいですね。そう言う意味では、はい、意識が高まりそうです。

コーチ:おっしゃっていたとおり簡単な質問ですが、すべての人が確実に回答できるわけではないので心配しないでください。まずは参考程度として扱います。
これからのセッションではもっと深く、ストレスがどこでどのように発生するか、そして、あなた自身の認識や感覚について確認していきます。暮らしの中で、関連性が最も高いものを見つけて、効果的に対処できるよう、今後何回かに渡ってフォローアップしていきます。

クライアント:暮らしの中でうまく対処できたら、素晴らしいですね。

コーチ:誰しも人生においてストレスが出てくるのは仕方ないです。大抵の皆さんは、たくさんの問題に関して、感情や対応を工夫しながら日々暮らしていらっしゃいます。今回、あなたが抱えているストレスの中身を紐解いて、少しでもマネージしやすくなれば、幸いです。

クライアント:そうですね、本当にそう願ってます。絶対にそうなりたいです。

コーチ:大まかなキーポイントは、知覚、自己認識とストレス管理です。別の言い方だと、マインドフルネスの基本要素です。ある瞬間に何が起こっているかを認識し、そこには選択肢があるんだと気づくことです。
確かそういった質問事項がありましたね。はい、そのページです。それぞれの合計点を出してみてもらえますか。

クライアント:ええと、まず身体的指向は 18 で、認知的指向は21でした。それが何を意味するのか、良いのか悪いのかよくわかりません。

コーチ:ええ、繰り返しますが、論理的に導き出しているだけですので、採点自体に良し悪しはありません。どちらの点数がより高いかを判断するだけです。あくまで参考です。

クライアント:ストレス自体は溜まりがちです。身体的症状でも、認知的にも。

コーチ:では、どちらに重きを置いて対処した方より適切だと感じますか。例えば、常に身体的な症状が出る人であれば、精神的なテクニックの重要性は少なくなります。
先ほどのアンケートの2 枚目、「肉体と精神」、「戦うか逃げるか」、それから、「瞑想または運動」、といったエリアに注目してみてください。
どうでしょう。結構興味深い答えになっていませんか?どちらもかなり近い数値ですよね。実は、ほとんどの人がこのように両方当てはまるんです。実際、あなたも、両方の面から少しずつストレスに対応していらしゃいます。正直に言うと、あなたの回答はすでに両方のテクニックを心得ているように見えます。

クライアント:ええ、少しはやってます。 今、この会話をしていて、少し理解が深まった気がします。実際の効果をよくわかっていないながらも、瞑想を試してます。あと、振り返ってみると、何か考えが湧き出てきても、温かいお風呂に入ったらスッキリした みたいなことはあります。

コーチ:はい、二つの区別について、素晴らしい点にお気づきですね。人によってはよりフィジカルな傾向があると言う人もいます。ストレスがどのように発生するかという観点で、精神の方が過活動な状況であれば、瞑想は非常に有益かもしれません。簡単ではないかもしれませんが。
一方、ランニングなどの身体的な対策が、心の動きを止めるのに本当に役立つこともあります。マッサージを受けて気分が楽になったりするのも一例です。
特定のストレスを回避するのに何が役立つか。ストレスがどのように現れ、その後何が起こるか。これらが認識できると、ストレスマネージメントに役立ちます。

それでは、さらに話を深めていきましょう。現時点でストレスがあなたの生活にどのように現れているかもう少し詳しく話していただけますか。ストレスの背景を説明していただいた後、セッション後半では、自分がどうなりたいかついて、ビジョンのようなものをご自身で描いてもらいます。生活の中での、理想的なストレスマネージメントについてデザインしましょう。そして最後に、対策をいくつか検討し、目標を作成するところまで行けたら最高です。

クライアント:いいですね。

コーチ:では、ストレスがどのように現れているかについてもう少し詳しく話してください。

クライアント:いろんな形で出てくるのですが…まずは働いている時です。週4日仕事していてます。仕事自体は楽しいのですが、上層部の管理体制が好きではないです。それから、週の残りの日はパーソナルトレーナーになるための勉強をしています。その勉強コースはほぼ終わりに近づいていて。残り13時間分の課題を達成すると、資格を取得できます。そうしたら、私はパーソナルトレーナーとして独立したいです。自分の得意分野での経験を活かしたビジネスを計画中です。
でも実は、その計画の中の一つが、プログラムを作って、冊子にして、お客様に提供することなのですが、不安がいっぱいです。時間が足りなくてストレスを感じます。とりあえず週4の仕事をしますが、先ほども言ったように、楽しかったりそうでなかったり。それで、もっと家で、自分の事業計画を立てる時間があればなぁとか、勉強の最後の課題をする時間があったらなぁとか考えてしまいます。そんなこんなで、家に帰ってもリラックスできず。ああ、こんなにやりたいことがあるのに、結局何もしないで終わってしまうと。

コーチ:ふむ、なるほど。それは大変ですね。まず、あなたの人生には色々なことが起こっているようですが、それ自体は素晴らしいことです。やりたいことがたくさんあって、あなたなりに管理しながら、多くのプロジェクトをこなしていらっしゃいますね。興味の対象があれこれあるということは、ある意味嬉しい問題ですが、その結果、少し圧倒され、1日の時間が足りないと感じているんですね。あらゆる側面から少しずつストレスが発生しているかもしれないです。例えば、特に、職場の上層部に関してはどうでしょうか。

クライアント:そうですね。でもそこは変えられない部分です。仕事で営業報告書を書くのですが、営業訪問のために、クライアントに100回連絡しても、1 件もアポが取れなかったりします。そうかと思うと、10分ぐらい営業電話をかけたら全て成功することもあるし。その説明を上層部にするのですが、「いいから営業報告書を出しなさい」と毎日言ってきます。
まあ、わかりますよね、私はただ、やれることをやるだけです。変えられないことなので仕方ないです。アポのキャンセルが入ると、休憩もまともに取らずに、ひたすら営業活動です。

私にとっての最大のストレスは、自分で選択した最大の目標、夢、情熱であるパーソナルトレーナーとしての独立事業計画です。世界中どこにいても仕事できて、旅行もでき、自分のビジネスだけで満足のいく収入も得られる。そうすれば最終的に、今の営業の仕事はもう必要なくなります。それで、自分のビジネスプランに対して少し不安になったり、ストレスを感じます。
今は、週4日デスクで仕事していますが、その時間を自分のビジネスに使えたらなと思います。そうすれば、疲れ果てて家に帰っても、前進してると感じられるだろうなと。でももちろん、そうはいかないですよね。自分のビジネスのためにもっと頑張らなくてはと強く決心しているし、そうすべきなんですが、窮屈な気持ちになります。すべては自分の選択だとわかっていてもです。
今でも、どうやってこの状況から抜け出すか、何をすればいいのか、どうすれば前進できるのか、ちょっと考え出したら、ぐるぐると頭の中で考えすぎてしまいます。

コーチ:わかりました。お話の中に大事な情報がたくさんありました。私が正しく解釈できるか一つずつ確認させてください。まず、頭の中で綱引きのようなことが起こっているように思えます。
あなたが望んでいる大きな未来図、それは刺激的なのに、心に何かプレッシャーのようなものが引っかかっている。あとは、職場でやりたくないことをやっている気分も相まって、理想の未来に到達できないような渇望感を引き起こしているのかもしれません。しかしあなたは、そのストレスがどのように発生しているのか完全にはわかっていない。
今ちょっと頑張ってまとめてみましががどうでしょう。大雑把だったらごめんなさい。

クライアント:いえ、おっしゃる意味がわかります。同意です。自分がやるべきことが分かっているのに、多くの時間と、多くの決断が必要なので、そう感じているんだと思います。
例えば、パーソナルトレーニングのプログラムを作りたいと思っていて、それは3ヶ月と6ヶ月のコースプログラムと、肥満傾向の方を対象とした12か月プログラムを作りたいです。もっと勉強して、その構成内容を熟考したいです。運動内容、体重目標、肥満の方のための体調管理や栄養、それから、医療情報など有効に取り入れたいのです。知り合いの医者にこれらのアイデアを話したところ、いいねと言ってもらえて、ワクワクしています。今いろんな情報のメモや研究本を何冊も持っています。なので、とにかくうまく時間管理をしてそれに取り組みたいのです。にもかかわらず、1日の仕事が終わった後、トレーニングプログラム作成のためにパソコンを開くと、なぜか圧倒されてしまい、ストレスがさらに大きくなります。そういう時、頭にフードをかぶってぼーっとすると、楽になったりします。

コーチ:頭の中で起こっている事を説明してくれてありがとうございます。理解できますよ。話を聞いただけで、私でさえ圧倒される感覚になります。あなたはこれまでたくさん勉強して、いろんなことに取り組んでいるからです。頭の中に考えがいっぱい詰まっているんですね。それが圧倒的な感覚を生み出していると思いますか?

クライアント:はい、そんな気がしています。一方で同時に、話していてワクワクする感じあります。

コーチ:そういう気づきから始めることがとても重要です。情熱を注いでインスピレーションを得られるものがあるというのは、いかにポジティブなことなのか、そして実際、その興奮が大きな部分を占めていること、これをまず認識できることが非常に重要です。情熱を注ぐプロジェクトに取り組むのは本当に前向きなことです。実際にあなたは、たくさんインスピレーションを受けていると感じてますし、それは私にもわかります。本当に素晴らしいことです。
一方、時間管理に関する悩みですね。おっしゃるポイントはわかりますが、他に何が圧倒感を引き起こしているのかをもう少し深掘りしてみませんか。きっと良い手がかりになると思います。例えば、あなたが自分に言い聞かせていることがあれば、それが影響している可能性があります。
あなたなりのちょっとした解釈が挟まれていませんか?それによって圧倒されているような。どこから生まれているのか分からないけれど、なぜか心に潜んでいる信念や思考の習慣が、圧倒感をさらに増幅させてるかもしれません。

クライアント:そうですね。(沈黙)今話を聞いて、涙が出てきました…(沈黙)今回あなたに詳細を話すまでまったく気づきませんでした。確かに、プログラム作成やトレーニング課題をこなしながら進めることに圧倒されています…それで、あの、なんというか、聞こえてくる言葉があります。私の母や姉からよく言われていた「全然だめ。」という言葉…(沈黙)
でも、そんなことないんです、だって私はできるはずだから、それで、色々修正するんです。常に何かを正しながら進めます。大人になったからそんなこと気にしなくていいはずですが、だからといって、心配しない訳にはいかなくて…

コーチ:何もかも最初から全て完璧に理解できている必要なんてないです。自分が持てる力でできることから初めてみて、それを成長、発展させることに前向きでいましょう。

クライアント:はい、それが私のやることですし、前向きです。でも、なんだかまるでパラシュートを持って崖っぷちに立っている感じです。

コーチ:大丈夫ですよ。ちゃんと飛び、安全に着陸できますよ。

クライアント:でも一歩踏み出そうとすると、頭の片隅から「全然ダメ」と言われる感じなんです…それで混乱して、自分にはこれをやるのにまだ不十分かも、知識が足りず、スキルも足りず、無理かも、という気持ちにななってしまいます。なんか、まさに、そういう感じです。私の思考ではなくて、家族から来たものな気がします…本当に辛いです。今までこの思考をしていたことを全然認識していませんでした。

コーチ:まず最初に、それに気付けたことを心から讃えたいと思います。今やっと理解できたんですね。でも、それに触れるのは苦痛ですよね。「うわー、まだそんな気持ちを抱えているんだ」とがっかりするのはわかります。でも実は我々人間、全員何かしらそういう感情を抱えているものです。古い信念とか、人生のある時点で、気付かないうちに内面化してしまう特定の言葉。意識して自分でそれを引き抜かなければ、その言葉や信念は雑草のようにそこに居座り続けます。意識の中を深くまで掘り起こして、やっとその存在に気づくことができるものです。
あなたが認識するまでは、実際に心の中の何と戦ってるのか分からなかったのですね。それを確認できた今、選択の余地が生まれます。

クライアント:そうですね、何かと戦っているような感じでした。それが何なのかは分かりませんでしたが、とにかく進み続けなければならないという辛さでした。

コーチ:あなたがその辛さを私に話してくれなかったら、心の底に重く抱えてしまっていたのでは?

クライアント:はい、重く抱えていたと思います。そのよく分からない感情と向き合えていなかったんだと思います…今、やっと向き合う準備ができたと思います。大丈夫です。

コーチ:すごいですね。本当に準備できているんだと感じます。このセッションの冒頭で私が話した自己認識、あなたは本当にそれを心得ている状態で、かなり素晴らしいレベルの自己認識と自己責任の能力を持っています。
その認識力を得た今、さらにもっと磨くことができます。一度、古い信念や考え方に気づくと、それに対して対策を立てることができるからです。あなたは今まさにそのステージに立っています。

クライアント:古い信念とかが何らかの形で現れても、それを捕まえて、次に進めるんですね。

コーチ:そうです。すでに気付いていらっしゃると思いますが、これまで話してきたストレスマネージメントの対策方法をどれか試してみてはどうでしょうか。ポジティブなセルフトークや、アファメーション、散歩に行くことや、心を完全にクリアにすること等々、どれが有効かどうか後ほど一緒に考えてみましょう。とにかく今は、自分が何を抱えているのかある程度理解できたと思います。この理解が、効果的な対策を考えるのに役立ちます。原因を特定できたことは大きな進歩です。(拍手)

クライアント:ありがとうございます。途中涙が出てしまいましたが。でもそれはある意味、安心でもあります。なんというか、そうですね。車を運転していて変な音が聞こえても、それが何の音なのか分からないような感じだったので。
謎の音が気になりつつ、とりあえず進んで、またその音が聞こえて、また分からなくなって…の繰り返しで、修正のしようがありませんでした。

コーチ:変な音が気になってたけれども、今ならそれが何かわかると。

クライアント:今ははい、少し理解できました。納得できます。

コーチ:もちろん、先ほどの説明にあった、やるべきことの量や時間管理に関しては、確かにストレスに影響する部分があります。これらも同様に無視できないですが、一つずつ分解しながら原因特定していくと、構造的な理解が深まります。

クライアント:はい、時間のプレッシャーもありましたが、こうやってお話しできたことで、時間管理の問題だけではない、と気づくことができました。実際、これまでに色々マルチタスクできていた能力について、素晴らしいことだよとあなたが教えてくれたからです。

コーチ:自分を信じることに疑念が生まれると、実行が難しくなることがあります。なので今、こうやって多角的なアプローチで、疑念を軽減していってます。一つずつ考えをクリアにしていく感覚が持てたかなと思いますが、現時点でどうでしょうか。特にトレーニングプログラム作成と日常生活を両方やりくりする中、圧倒されたり、やることが多すぎるという点について、いかがですか。

クライアント:はい。ストレスの根底が説明できたように思います。

2. コーチングセッション:ビジョン作成 「心軽く」

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