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詩集

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私の紡いだ言葉たち。 全部のせ。
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#三行詩

【詩】ピアノの木

【詩】ピアノの木

白鍵と
黒鍵と
それらがずらりと並ぶ八十八の玉座

そして
沈んだ鍵(けん)の窪みから
人の姿に似た木が芽吹く

ピアノから生まれた木は
母なるピアノに還るべく
八十八の玉座を尋ねる

その軌跡を律とし
隠されたパターンを解き明かした時
かの扉が開くのだ

そして
浮かんだ鍵(けん)の頂から
人の姿に似た木が還っていく

私の耳に残った響きは
その生命の旅路
私の心に残った響きは
その生命の循環

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【三行詩】特等席

【三行詩】特等席

寒いでしょ

そう呟いて繋いだ手を僕のポケットにしまった

今日は君のための場所

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【三行詩】カヌレ

【三行詩】カヌレ

君はいつもカリカリしているけど

僕しか知らないいくつものギャップは

2人だけの甘い秘密

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カヌレってフランス語で「溝のついた」って意味なんですって。

【三行詩】レジスター

【三行詩】レジスター

ピッ ピッ ピッ

淡々と価値を知らせるレジスター

よかったら私のこともピッとしてくれないかな

【三行詩】持ちつ持たれつ

【三行詩】持ちつ持たれつ

杖を支えにしてあなたは立っているけれど

杖もあなたの支えがあって立っていられる

杖の杖はあなたで、支え合っているんだね