星伊香

大人ってもっと落ち着いてると思ってた

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  • 乙女化計画

    星伊香が大人になる過程で失った、お砂糖とスパイスと素敵な何かを探す為のエッセイ。

  • 文学フリマ東京

    文学フリマに出展する際の情報をまとめています。 #文学フリマ #文学フリマ東京 #文フリ

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致死量のトキメキをちょうだい

前回のあらすじ 著しいオシャレ欲の低下を自覚し服を買おうと一念発起するも、服を買いに行くのが億劫過ぎる。 乙女のクローゼット|星伊香 (note.com) という事で。 服を買いに行く服がない ならぬ 服を買いに行く理由がない ここまで書いても理由にならない それならばと、服を買いに行くための理由をまず作ろうと思いました。 🦑「デート行かない?」 ☺「いいよ」 これで無事、服を買う理由ができました!ヤッター! だけど問題はこの後でした。 ☺「どこいく?」 🦑「?」

    • 乙女のクローゼット

      文学フリマ東京38お疲れ様でした。 東京と名古屋合わせると、かなりの数手に取って頂きました。 若干数ですが通販に流しますので、よろしければぜひ。 甘雨/泪雨【両表紙フルカラー短歌写真集】 - メンタンピンドラドラ - BOOTH さて、宣伝はここまでにして、その文学フリマに行く日の朝の事です。 「何を着ていこうかなぁ」 「どういう服がいいかなぁ」 と思いながら顔を洗っていた時に、私は気付いてしまいました。 着たい服がない事に。 考えてみれば、元々服にもアクセサリーにもあ

      • ストーリー性のある写真って何

        どうも、被写体兼字書きの星伊香です。 noteでは久しぶりですね。 さて、タイトルにある通り、今回は被写体的なお話。 「ストーリー性のある写真」について考えてみました。 あくまでも私個人の感じてる事で、人によっては当たり前、人によっては的外れな内容であることはご承知おきください。 ストーリー性のある写真について書く事にした経緯本題に入る前に、このnoteを書く事にした経緯を少し。 被写体で字書きをしている私は度々 「賞に送る為にストーリー性のある写真が撮りたい」 「字書き

        • 炎上本「今回の騒動につきまして」編集後記

          どうも、星伊香です。 今日は2023/11/11(土)に頒布予定の炎上をテーマにした合同誌 「今回の騒動につきまして」 についての編集後記みたいなものを書きたいと思います。 頒布に関する情報だけを確認したい方は、目次を設けましたのでそちらからご確認下さい。 さて、合同誌企画も4冊目となりました。 ¥助交際、人間飼育、安楽死、と来て今回は「炎上」。 さて、皆さん。 SNSはやっていますか? 週刊誌は読んでいますか? テレビは見ていますか? 掲示板は見ていますか? 私がイ

        致死量のトキメキをちょうだい

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        • 乙女化計画
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        記事

          憧れは傍に置いた瞬間色褪せる

          パンプスの踵のゴムが取れてる事に気付くと、どうしてこんなに情けない気持ちになるのか。 恥ずかしい気持ちになりながら足早に駅に向かった。しかしそのせいで余計に足音が響く。周囲に自分がダメな人間だと主張しているようだ。 二十代後半から、一気に色んな事が変化した。その一つがこのパンプス。 高い訳でもなく、ぺたんこでもない。地味で、でもそこそこ歩き易い普通の靴。 誰から見てもそれなりに感じ良く見えるように買った、そのヒールのゴムが取れた。 カツカツカツカツ。 自分の足音がうるさい。

          憧れは傍に置いた瞬間色褪せる

          ラブレターというのはいっそ人目に晒してしまった方がいい

          ラブソングを聞いていた時だった。 「私を見ていて欲しいって、すごいよね」 当時付き合ってた恋人がそう言った。 言われた事の意味がわからない。 私が聞き返すと、恋人は曲を少し前に戻した。 「あなたを見ていたい、じゃなくて、私を見ていて欲しい、だよ。すごくない?」 恋人は続けてこう言った。 「自分に自信がないとこんな事言えないよ」 なるほど、考えたことも無かった。恋人は見ていたいもので、見ていて欲しいものではないのか。 私はどちらかと言うと「見ていて欲しい側」で、それについて

          ラブレターというのはいっそ人目に晒してしまった方がいい

          サンは森で わたしはタタラ場で暮らそう

          まず初めに。 このノートは人に優しくありません。 心が弱いと自覚している人は読むのをオススメしません。 これを読んで「傷付いた」と言われても 「私の事言ってるよね」と病まれても 一切の反応を返すつもりもありません。 以上ご了承の上、読み進めて下さい。 さて、今更言うまでもなく、私は他人が嫌いだ。 理由は色々あるが、その中の一つに「向上心のなさ」がある。 ノートで何度か書いたように、私は元々底辺側の人間だ。 底辺である自覚があるが故、努力してきたという自負がある。 自分の欲

          サンは森で わたしはタタラ場で暮らそう

          独白

          開いてくれてどうもありがとうございます。 という事で私、 星伊香は被写体としての活動を終えました。 それにあたり今回色々と振り返ってみようと 文字書きらしくこうして文章をしたためています。 さて私が被写体を再開するに至ったのは2018年夏頃。 動機は 「新しい浴衣を買って写真を残したくなったから」 でした。 凄く安直で俗っぽい理由。 まぁ始めるきっかけなんてそんなものです。 云年前、私はアイドル事務所に居ました。 当時は撮影会等で撮られる機会が多かったものの 辞めてからは

          恋ってなに?

          正解のない問いについて考えてる事が好きだ。 正解が無いので誰も傷付くことはなく、 色んな意見がある事も呑み込める。 自分と同じ答えじゃなくても 「そういう考え方もあるんだ」 と受け入れ易い。 私にはこういう話をよくする友人がいる。 先日、その友人から電話が来て 表題の質問をされた。 曰く「周りで一番恋に近いから」だそうだ。 確かに私は小説や短歌を書く時に 恋愛を扱う事も多いから 恋愛(というより人間関係というもの) についてはよく考えている。 何より恋愛は政治のように知

          恋ってなに?

          春と小百合を書き終えて

          エブリスタ、カクヨム、pixivで週刊連載投稿をしていた百合小説、 春と小百合が最終話を迎えました。 総文字数60000字弱。 私が今まで書いた中で一番長い話になります。 あまり自分の作品について語るのは良くないのかもしれないですが 色んな事を思いながら書いたものなので ちょっとだけ作品の話をしたいと思います。 元々春と小百合を書き出したのは3年前の冬。 当初は百合を書く事を目的にしたというよりは、情景描写の練習をする為に書き出したのが始まりでした。 所謂吉屋信子先生の花

          春と小百合を書き終えて

          夢見る為のダブルバインド

          「理屈っぽいよね」  と言われる事が多い。  一番仲の良い友人には「いかちゃんは口で色々言っても情深いよね」と言われるし、自分としてもそんなつもりではないと思っている。でも私が感情的に動くためには「どうしてそうなったのか」の理由が明確に必要であるから、多分そういうところが理屈っぽいと言われるんだと思う。  とは言え人間なので、一年前に言っていた事と今で矛盾が生じる事はもちろんある。それどころか現在やっている事で相反する感情を抱いたりもする。  矛盾が生じる事を仕方ないとは思

          夢見る為のダブルバインド

          母へ

          かつて私はあなたの事が嫌いでした。 幼稚園の頃には勉強をさせられ、あまり頭の出来が良くなかった私はいつも泣いていましたね。 一番嫌だったのは、頭の出来の良い二つ下の弟と比べられた時だったでしょうか。 家で五年生の弟と一緒に二次関数のテストをさせられ、弟の方が正解が多かった時、私のプライドはズタズタになりました。 食事の時間は必ずニュース番組しか見る事は出来ず、アニメを見ることも、最新の音楽も聞くことも許されませんでした。 そうそう、ご飯も大皿に盛り付ける形ではなく必ず一人一皿

          出来れば私は十代の頃に死にたかった

             最近、見た目の劣化を強く感じるようになった。  それは単純な加齢であるのかもしれないし、コロナで出歩かなくなって人に見られなくなったかもしれないし、もっと別の何かが原因なのかもしれない。  なんにせよ被写体というものをしている私にとって、これはとても大きな問題である。  こういうことを言うと発生する 「女性の美しさは見た目ではない」とか 「年齢に応じた美しさがある」とかそういう話ではない。  自分が自分の見た目を愛せなくなった、という話だ。  私は十代の美しさとい

          出来れば私は十代の頃に死にたかった

          【ケ20】11/22文学フリマ東京 お品書き

          人間飼育アンソロジー 【愛玩人間飼育目録】 人がヒトを飼う事が当たり前の世界。 自分と同じ見目をしたペットを愛すも壊すも飼い主次第です。 「さぁ、貴方も人間飼ってみませんか? 」 「アンタらを愛玩対象にするなんてオレには難しかったんだよ」 アルトルイストの恋、エゴイストの愛。/永井義孝 「盲目的に主人を愛し、敬う生き物だからこそ可愛いんじゃないか」 拝啓、愛しい君へ/星伊香 「ペットの名前は隷、奴隷のレイだ」 猫に念仏/ら行 「私はペットとして、この首のバーコードを大

          【ケ20】11/22文学フリマ東京 お品書き

          部屋と言う名の子宮

           自宅の鍵を開ける瞬間、いつも「入りたくないな」と思う。  このワンルームに越してきたのは三年前。駅から家まで徒歩二十分、一番近いコンビニでも十分かかる。東京とは思えない程不便な場所だが、それでも住めば都。小さな不便と大きな怠惰を飼い馴らしながら住み続けている。  別に家が嫌いな訳ではない。  会社にいる間は早く帰りたくて仕方ないし、そもそも私は外が嫌いだ。外というか人が嫌い。だから家に帰って一人にならないと一息つく事すら出来ない。  それにいくら私が帰りたくなくても家にはペ

          部屋と言う名の子宮

          精神病院に居た日々

          私は十代の半分を精神病院で過ごした。 この頃の記憶と言えば二重の鉄の扉と格子の嵌められた窓、病院内の綺麗に整えられた中庭、老人からするような据えた臭い。 刃物も薬も取り上げられ、病院の中に居る私は不自然なまでに普通だった。 精神病院の中では発狂して奇声をあげる患者は珍しくない。 一人奇声を上げはじめれば、呼応するように他の患者も発狂し始める。 奇声を上げたり、壁に頭を打ち付け出したり、狭い院内を走り出したり。 そんな風におかしくなる人達の中で、私は凄く冷めた気持ちで居た。 手

          精神病院に居た日々