致死量のトキメキをちょうだい

前回のあらすじ
著しいオシャレ欲の低下を自覚し服を買おうと一念発起するも、服を買いに行くのが億劫過ぎる。
乙女のクローゼット｜星伊香 (note.com)

という事で。

服を買いに行く服がない
ならぬ
服を買いに行く理由がない
ここまで書いても理由にならない

それならばと、服を買いに行くための理由をまず作ろうと思いました。

🦑「デート行かない？」
☺「いいよ」

これで無事、服を買う理由ができました！ヤッター！
だけど問題はこの後でした。

☺「どこいく？」
🦑「？」
☺「表参道とかいいね。麻布台ヒルズもまだ行ってないから気になる」
🦑「？？？」

そうです。デートと言うからにはどこかへ出かけないといけません。盲点でした。

ヒルズってなんかお金持ちが沢山いるところだよね？うん、それは分かる。麻布台ヒルズ…へぇ…それ何入ってるの？…ふーん…麻布は祖母の墓参り以外ではほぼ行った事ないけど大丈夫。なんかオシャレな外国人とか、でかい犬を連れたお金持ちそうな人が居るよね。
表参道は…なんだろ、原宿から歩いて行った先にある坂道のとこでしょ？友達の結婚式で行った事ある。大丈夫大丈夫、分かりますよ。任せて下さい。生まれも育ちも都民ですよ？

まぁ、いまいち何をする場所か分かりませんがデートと言うからには多分、ウインドウショッピングとやらをするんでしょう。
セレクトショップ(よく分かっていない)を見てまわって、疲れたらカフェで休憩し、ハイブラとかを「いつか欲しいな～（？）」なんて言いながら覗き、夕食を食べて帰るんでしょう。

まさにデート。お手本のようなデートです。非の打ち所がない。
だけどそれのどこに楽しさを見出せばいいのか分かりません。

断っておきますが、提案した相手が悪い訳じゃありません。
行き当たりばったりでデートに誘ってきた私に対し、デート場所の提示までしてくれるなんて、なんて良い人なんでしょう。
遊びと言えば新宿二丁目で酒を飲む以外していない私が悪いです。

よく考えてみろ、私。かつてはアルコールが無くても楽しめた筈だろ。
昔はよく昼間からのデートをしていた筈じゃないか。
水族館行ったり、動物園行ったり…あとなんだ、植物園行ったり………あれ、でもそれそんなに楽しかったっけ？？？？？

確かに視界に入れたものの感想を言えばいいだけのこれらの施設へ行くのは気が楽でした。
気が楽？自分から誘ったデートの癖に何を言っているんだ私は。
デートだぞ？同伴じゃないんだぞ？

こんな態度ではデートへ行く事を了承してくれた相手にあまりにも失礼です。
だから私、一生懸命考えました。
自分が行きたいところ、ワクワクするところ。
真っ先に頭に浮かんだのはディズニーランドですが、ディズニーランドはデートじゃなくてもワクワクしちゃうので除外します。
可愛い恰好して行きたい場所、したい事。
あれ、全然思い浮かばないぞ？

じゃあデートの定番、映画はどうだろう。
だめだ、今一番見たい映画である『関心領域』はどう考えてもデート向きじゃない。
『痴人の愛リバース』は恋愛映画と言えば恋愛映画ではあるけれど、多分これを恋愛映画として誘ったら色々誤解を生む。

私は何をしたかったんだっけ……
確か最初は「休みの日に着たい服」が欲しかったんだ…
明確な理由がなくても、買うだけでワクワクして、ときめくような服を…
なのにどうしてデートに行こうとしたんだっけ…
そうだ、そういう服を探しに行くのがめんどくさいから…
自分を追い込む鼓舞する為にデートの予定を立てたのに…
なんてザマだ…

オシャレって大変ですね。
とりあえず次は東京walkerを買ってみる事にします。