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夜明け前の記憶

22
愛すべき瞬間を
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#恋愛エッセイ

また、忘れられない夜

また、忘れられない夜

ああ、この人だ。

何度目かの''運命''を感じた夜だった。

今月、頑張れば店舗売上TOP3も狙えるところまで来ている。
でも、最も売れる土曜日が公休だったこともあり、少し雲行きが怪しくなってきた。

周りは10年以上販売をしているベテランばかりなので、張り合うなんて烏滸がましいにもほどがある。

でも、やっぱり自分を認めてもらうには、目に見える結果が欲しい。

正直、勝手に追い込まれている。

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夢から覚めただけ

夢から覚めただけ

2人での食事を翌々日に控えた日。

好きな人にLINEを1日既読無視された。

これまでも、何かしらやりとりをしていても、出勤が被る日は既読無視をされることがあった。(そんな時は、出勤中にLINEの話題について触れてくれる)

ただ、2人で飲みに行く機会が増えて、距離が近くなるにつれて、出勤が被る日でも連絡が絶えることがなくなった。

既読無視
→出勤(LINEの内容の話もちらほら)
→2人で飲む

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恋は止まってはくれないから

恋は止まってはくれないから

''今の気候が一番いいよね''

''そうですね、ピクニックしたくなる〜新宿御苑行ったことないんですよ''

''良いみたいだね〜!''

''わたしたち平日休みだから強みを発揮できそうですよね''

''小さいクーラーにお酒入れて行こうか!''

''行きましょう!''

''休みが重なったらのタスクが山積みだね(笑)''

新宿御苑で果たしてお酒を飲んでいいものなのかわからないけれど、ありがと

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日々、愛

日々、愛

''この前楽しかったよね〜''

仕事中、バックヤードで2人になった時、彼がふとつぶやいた。

''あ、わたし(と飲んだ日のこと)ですか?''

''そうそう''

しれっとそんなことを言うのだから、策士だ。

''今度は、仕事終わりにカラオケ行って終電までに帰るのがいいよね''

彼がわたしと過ごした時間を楽しんでくれたことがたまらなく嬉しい。

残業確定の彼、わたしは先に上がって良いと言われた

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好きなひとと、誕生日

好きなひとと、誕生日

''指輪なくしました…!!''

''え?!''

締め作業のひとつである、ゴミ集めをしていた時。
左の人差し指につけていた指輪がないことに気がついた。

丁度、退勤時間だった先輩がバックヤードに入ってきたところだった。

''やばいじゃん!''

一緒になって、ゴミを漁る。
ビニールゴミは全部袋から取り出して探した。

''うわ〜ないじゃん〜、、残念すぎる、、''

なぜか、指輪をなくしたわたし

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運命を信じてみたくなった夜

運命を信じてみたくなった夜

''1缶飲んでいくか〜''

締め作業を終えた先輩が、わたしが1番欲しかった言葉をくれた。

19:30
退勤時間を過ぎても、お客様が引かない。同じ時間に上がるはずだった先輩が早退していたので、わたしが残ることに。

でも今ではそれも、すべてこの夜のためだったと思える。

20:00
閉店
先輩は、今月残業時間がかなり多いらしく、''急いで帰らなきゃ…!''とバタバタとレジを締めていた。
わたしも

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陽だまりに包まれて

陽だまりに包まれて

''明るいな〜(笑)''

気になる先輩が、わたしを見て笑う。

先輩に対して、かなり心を開いているし
感性が近い部分が多く、
何を伝えても会話が成り立つ自信があるので
思ったことをなんでも口に出せる。

''小松菜奈ちゃんに似てるって言われちゃいました!え、もうこれ菅田将暉と結婚できますよね''

''見てくださいこれ!○○って書いてある(笑)''

しょうもないこと、唐突なことばかりだけれど、

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すべてはこの夜に

すべてはこの夜に

風が気持ち良い夜だった。

わたしには、もう少し知ってみたいと思う先輩がいる。
出会った時から、似たような空気を感じていた人。

締め作業を終えて、2人で外に出る。
あまりの心地よさに
''散歩したい〜!''と思わず声が漏れた。

先輩が
''散歩か〜あっちの川の方とか良さそうだよね''と少しだけ興味を示してくれたのを逃さなかったわたしは
''散歩して帰りません?''と誘った。

コンビニでお酒を

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