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キヨメの慈雨

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現在投稿中の小説『キヨメの慈雨』をまとめたものです。 三年前の豪雨災害をきっかけに増え始めた『コトナリ』と呼ばれる不思議な生物が潜む地方都市で繰り広げられる事件を、豪雨で父親を亡… もっと読む
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【小説】キヨメの慈雨OWL ―セイカの宵祭― その5

【小説】キヨメの慈雨OWL ―セイカの宵祭― その5



前回までのお話リンク

その1

その2

その3

その4

あらすじ

 御槌意澄・政本美温・速見早苗・若元小春の四人は三年前に豪雨災害が起きた天領市で暮らす高校一年生である。

 意澄達は不思議な生物・コトナリの力を使って悪事を働く能力者と戦うこともあるが、本質はただの高校生。二日後に駅前商店街で開催される『土曜宵祭』に行く予定を立てた。

 一方、高藤星佳はモチベーションも将来への見通

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【小説】キヨメの慈雨OWL ―セイカの宵祭― その4

【小説】キヨメの慈雨OWL ―セイカの宵祭― その4


前回までのお話

リンク

その1

その2

その3

あらすじ

 御槌意澄・政本美温・速見早苗・若元小春の四人は三年前に豪雨災害が起きた天領市で暮らす高校一年生である。

 意澄達は不思議な生物・コトナリの力を使って悪事を働く能力者と戦うこともあるが、本質はただの高校生。七月二十二日に駅前商店街で開催される『土曜宵祭』に行く予定を立てた。

 一方、高藤星佳はモチベーションも将来への見通し

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【小説】キヨメの慈雨OWL ―セイカの宵祭― その3

【小説】キヨメの慈雨OWL ―セイカの宵祭― その3


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あらすじ

 御槌意澄・政本美温・速見早苗・若元小春の四人は三年前に豪雨災害が起きた天領市で暮らす高校一年生である。

 意澄達は不思議な生物・コトナリの力を使って悪事を働く能力者と戦うこともあるが、本質はただの高校生。二日後に駅前商店街で開催される『土曜宵祭』に行く予定を立てた。

 一方、高藤星佳はモチベーションも将来への見通しも無い中で迫る大学入試や、豪雨を機に開い

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【小説】キヨメの慈雨OWL ―セイカの宵祭― その2

【小説】キヨメの慈雨OWL ―セイカの宵祭― その2


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あらすじ

 御槌意澄・政本美温・速見早苗・若元小春の四人は三年前に豪雨災害が起きた天領市で暮らす高校一年生である。

 この街には不思議な生物・コトナリの力を使って悪事を働く者が潜んでおり、七月十九日の夕方、飛行能力を用いて女子中高生を盗撮していた能力者が逃亡中に女子高生を人質に取るも、能力を用いた意澄達により撃破された。盗撮犯のコトナリは意澄のコトナリ・チコが補食し、

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【小説】キヨメの慈雨OWL ―セイカの宵祭― その1

【小説】キヨメの慈雨OWL ―セイカの宵祭― その1


はじめに この作品を読む上で『キヨメの慈雨』本編を読んでいなくても何ら問題はありません。逆に『キヨメの慈雨』本編を読む上でこの作品を読まなくても全く支障はありません。したがって、この作品が私とのファーストコンタクトだという方でも楽しんでいただけるようになっているはずです。なっていなければ私の力不足です。申し訳ありません。

 この作品は、私が創作大賞2023を言い訳に放置していた小説『キヨメの慈

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【小説】キヨメの慈雨 第三十八話(マガジンのリンク付。これまでの話に飛べます)

【小説】キヨメの慈雨 第三十八話(マガジンのリンク付。これまでの話に飛べます)

↑これまでの話をまとめたものです。

「国府西中学から来ました、速見早苗です。よろしくお願いします!」

 中学二年の夏休み明け、早苗は天領市に引っ越してきた。天領駅から徒歩10分のところに新しくできたマンションを両親が買い、一家で移り住んだのだ。新しいクラスに拍手で迎えられ、早苗は嬉しくなる。

(良かった、みんな優しそうで。ひどい災害があったからちょっと暗いイメージがあったけど、そんなことなさ

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【小説】キヨメの慈雨 第三十七話(マガジンのリンク付。これまでの話に飛べます)

【小説】キヨメの慈雨 第三十七話(マガジンのリンク付。これまでの話に飛べます)

↑これまでの話をまとめたものです。

「······つまり速見を助けて、速見をさらったその大伴ってやつを倒せば勝ちなんだな」

「そういうこと。でも良かったの?武蔵野くんがついてくる必要は無いのに」

 藤高神社へ走りながら、武蔵野は意澄から一通りの説明を受けていた。

「······俺、邪魔か?」

「いや、そういう訳じゃないけどさ。特民室に連絡しようとしてもなぜか圏外だし、味方はいるに越したこ

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【小説】キヨメの慈雨 第三十五話(マガジンのリンク付。これまでの話に飛べます)

【小説】キヨメの慈雨 第三十五話(マガジンのリンク付。これまでの話に飛べます)

↑これまでの話をまとめたものです。

 敵に背を向けていることがまずいということは、流石に小春も理解している。必死に身を翻して凍りつきそうな背筋を白壁にくっつけると、更級がにこやかな表情のままショルダーバッグの中を探っていた。

(な、ナイフとか出されたら詰みなんだけど、ホントにまずいんだけど!)

 顔を強張らせる小春の予想に反して、更級が取り出したのはゼリー飲料だった。その蓋をのんびりと開け、

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【小説】キヨメの慈雨 第三十六話(マガジンのリンク付。これまでの話に飛べます)

【小説】キヨメの慈雨 第三十六話(マガジンのリンク付。これまでの話に飛べます)

↑これまでの話をまとめたものです。

「はぁ··················疲れた」

「まだよ小春ちゃん。もう一仕事あるわ」

 白壁に体を預けてずるずると座り込もうとする小春を、シーズが止めた。

「も、もう一仕事······?」

「そう。あの子のコトナリを食べなきゃいけないの。あの生意気なメスネコをね」

「······わ、わかった。が、頑張って歩く」

 小春は鉛のような全身にどうに

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【小説】キヨメの慈雨 第三十四話(マガジンのリンク付。これまでの話に飛べます)

【小説】キヨメの慈雨 第三十四話(マガジンのリンク付。これまでの話に飛べます)

↑前回までの話をまとめたものです。

 四月二十八日、午前十一時二十四分。意澄と武蔵野が西園と交戦していたのと同時刻。

 若元小春は地下通路を抜け、旧福富邸へとやって来ていた。一通り見て回ったが、どうやら早苗はここにいないらしい。小春の能力にも反応しなかったから、どこかに押し込められているという訳でもなさそうだ。

(こ、ここに展示されてる資料の中に地下通路に関するものがあったけど、あれは美術館

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【小説】キヨメの慈雨 第三十三話(マガジンのリンク付。これまでの話に飛べます)

【小説】キヨメの慈雨 第三十三話(マガジンのリンク付。これまでの話に飛べます)

↑前回までの話をまとめたものです。

 早苗の居場所の見当はついた。あとは西園を倒して助けにいくだけだ。しかし意澄は攻めあぐねると同時に、攻めかねていた。

(この人達が抱えてるものは何となくだけどわかった。でも、肝心の『早苗が犠牲になる』ことが具体的にどうなるのかがわからない!制限時間はあるの?条件は何?たぶんこれから戦わなきゃいけない大伴さんの能力は?まだ探りたいことが多すぎる······だけ

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【小説】キヨメの慈雨 第三十二話(マガジンのリンク付。これまでの話に飛べます)

【小説】キヨメの慈雨 第三十二話(マガジンのリンク付。これまでの話に飛べます)

↑ようやくマガジンにまとめられました。遅くなってすみません。

 背後から迫った黒い腕が意澄の首をホールドし、固く絞め上げた。

「がっ······ぁっ······!」

「御槌!」

 薄暗い迷路で敵の襲撃に気づくのが遅れた。武蔵野は意澄を助けようとするが、闇の中から飛び出てきた黒い拳に顔面を打ち抜かれて近寄ることができない。

(······やるしかない!)

 意澄は首を水に変化させて拘束か

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【小説】キヨメの慈雨 第三十一話(あらすじのリンク付。これまでの話に飛べます)

【小説】キヨメの慈雨 第三十一話(あらすじのリンク付。これまでの話に飛べます)

↑あらすじの記事に第一~三話のリンクがあります。ジャンププラス原作大賞応募作品(四話以降は審査対象外)ですので規約違反になってしまうのではないかとビビっており、マガジンにまとめていません。続きが気になりましたら、お手数ですがスキとフォローをしていただけますと追いかけやすくなると思います。

↑前回の話です。

「い、意澄ちゃんの考えが合ってれば、藤高神社に向かった方がいいんじゃ······?」

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【小説】キヨメの慈雨 第三十話(あらすじのリンク付。これまでの話に飛べます)

【小説】キヨメの慈雨 第三十話(あらすじのリンク付。これまでの話に飛べます)

↑あらすじの記事に第一~三話のリンクがあります。ジャンププラス原作大賞応募作品(四話以降は審査対象外)ですので規約違反になってしまうのではないかとビビっており、マガジンにまとめていません。続きが気になりましたら、お手数ですがスキとフォローをしていただけますと追いかけやすくなると思います。

↑前回の話です。

「あ、やっぱり『展膜』か。じゃあ早く核を見つけないと」

 福富美術館の展示室どうしをつ

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