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初めての一人暮らしは思い出補正のプルミエール

初めて一人で暮らした家はプルミエールという名前だった。
なんじゃそのプリマドンナみたいな名前は。アパートやマンションがほぼない「〇〇さん家」だらけの田舎町から上京してきた私はそう思った。

高校時代、一つ上の先輩が大学に進学し一人暮らしの新しい家に越してから手紙をくれたのだが、その住所には「トトロの杜」という物件名が書かれていた。
いやトトロって...しかも森じゃなくて杜って...。
「やーい、おまえんち、おっばけや〜しき〜!」ぐらいの勢いで「やーい、おまえんち、トトロのもり〜!しかもなんか難しい方のもり〜!」と心の中で散々バカにしていたが、その一年後、私が越した家はプルミエール。
なんでアパートやマンションってそんな変な名前ばっかりなんだろうなんて思っていたけど、色々な物件を見たり引っ越しをしたりして、まぁ家の名前なんてそんなもんか、と今では思う。

プルミエールは、初めて自分一人だけで住んだ家だったこともあり、名前以外にも覚えていることが多い。
たしか部屋は7階くらいだった(言ってるそばから若干おぼろげ)。角部屋で、たまたまそこが空いていた。そう、かつてnoteにも書いたあの「バスの床」の部屋である。

不満をつらつら書いていた通り、タイルカーペットの床材は気に入らなかったしコスパ(?)を検討した結果早々に引っ越してしまったため、住んだ期間は1年足らずとかなり短いものだったが、なんだかんだで私はあの部屋のことをまぁまぁ気に入っていた。
気に入っていたというよりも、きっとそれは思い出補正なのだ。
あそこが今気に入っていた場所だと思い返せるのは多分あの部屋に「初めての思い出」がたくさん詰まっているから。

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