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【エッセイ】30代ゲイが思う結婚と恋愛と婚活の話

先日とある後輩の左手の薬指に
指輪が光っているのを見つけた。

結婚したとか特に報告が
なかったので少し驚いた。

その少し前には同い年の社員が結婚した。

こちらも気配がなかったので少し寂しかった。

ついこないだは20代半ばの女性社員から
彼氏と同棲することになったと報告を受けた。

みんなどんどん人生の新しい段階に進んでいる。

なのに私は置いてけぼりだ。

独り身が生きるには少し肩身が狭い。

結婚=幸せ

結婚=まともな人

結婚=当たり前

多くの人がそう思っているように

やっぱり私もそう思ってしまっている。

実は最近マッチングアプリで
婚活を試みた。

もしかしたら自分だって
普通の(と思われている)人生を
歩めるかもしれない。

そんな一縷の望みをかけて。

何人かの女性とやり取りをし、
その中の一人と何度か食事に出かけた。

その人は

お酒が好きで、音楽が好きで

美味しいものが好きで

料理が好きで、アニメが好きで

おしゃれなカフェや
かわいい雑貨が好きな人だった。

びっくりするくらい私と好きなものが似ている。

もしかしたらもしかするかも!?

と一瞬思ったが結局彼女とは
もう一カ月ほど連絡を取っていない。

別に嫌いになった訳ではない。

喧嘩した訳でもない。

ただ近付き過ぎるのが怖かった。

好きになられてしまうのが怖かった。

最後に彼女から言われた言葉たち。

「アプリで他の人と会ってますか?」

「私はもう他の人と会ってないです。」

「またご飯行きましょう!」

「行きたいところ一緒に行こうって
 言ってくれて嬉しかったです!」

あぁ辛い。

あなたの好意にきっと私は応えられない。

無理してその先に進んでも
きっと傷つけてしまう。

私は怖くなって結局逃げ出してしまった。

連絡先を消したとか無視したとかじゃなくて
連絡をしなくなってしまった。

彼女も何となく察したのだろう。

今のところ連絡は来ていない。

友達としてならずっと
仲良くいられると思うのに。

女性と結婚するなんてやっぱり無理なんだなと
確信して吹っ切れたように思う。

最近は
「基本的に結婚するつもりがない。」
と周囲にナチュラルに話している。

まぁ元々そういう感じのキャラなので
それ以上深くは追及されない。

自分の気持ちに嘘をついて
結婚する人もいる。

好きじゃなくても
他人と生活することを選ぶ人もいる。

というか同年代の話を聞いていると
結婚=恋愛ではないのだなぁ
と感じることが多い。

子供が欲しいから。

経済的に余裕が欲しいから。

世間体。

その他もろもろ。

結婚にも色々な理由がある。

私は婚活なんてわざわざ
するものじゃないと思っていた。

自然と恋に落ちて
ずっと一緒に居たいと
思えるようになったら結婚を選ぶ。

そんな相手が現れなければ
結婚なんてする必要はない。

わざわざ結婚相手を
探すなんてナンセンス。

そんな綺麗事を本気で信じていた。

でもたぶん違うんだな。

生きる手段として結婚が必要なこともある。

先日、今度結婚すると言っていた
女友達から婚約が白紙になったとLINEで連絡が来た。

もう一人別の女友達も含めた3人のグループライン。

「気を遣わずいちばん
 馬鹿笑いして楽しいのが
 このメンバーだから、
 またご飯とか行きましょう!」

ですって。

だったらみんなでずっと一緒に居たらいいじゃん。

同じ家で順番に家事当番決めて。

たまに飲みに行って馬鹿笑いして。

じぃばぁになっても
出会った頃を思い出して笑おうよ。

そうしたら。

結婚なんてしなくたって幸せかもよ?

そんなこと口が裂けても言えないけれど
本当にそういう選択肢があっても良いと思う。

選べる道が少な過ぎる。

こんなにも
いろんな人間がいて
いろんな考え方で
いろんな生き方をしているのに。

どうしてみんなして結婚という「ゴール」
を目指してひたすら走り続けるのか。

どうやって生きよう。

どうやって生きたらいい?

誰かが教えてくれるはずもない。

自分で選ぶしかないのだけれど
そもそも選ぶ選択肢が無い。

それでもたぶん大丈夫。

ちゃんと生きられるよ。

自分に言い聞かせて
また一人で歩き始める。

「そうだ一人で
 居ることを自分で選んだんだ。」

そうやって胸を張って言うには
まだ時間がかかりそうだけど
そう思えるような最期を迎えたい。

良く死ぬために良く生きよう。

大切なものを見失わないように。

誰かが決めた「幸せ」から手を放そう。


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