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好きなクセ、嫌いなクセ

好きだった人のちょっとしたクセが気になって、いつのまにか、その人を嫌いになってしまったことってないだろうか。特に若いころには。

千鳥の「クセがスゴイ」には、つい笑ってしまうし、今はノブも大悟も大好きだけれど、ホンの一年程前には、私はアンチ千鳥だった。いつの間にか大逆転。その「クセのすごさ」にはまってしまったのだ。

食べ物だってそうだ。いわゆる珍味と呼ばれるものは大抵クセが強いものだ。そういったクセが強いモノは、苦手な人も多いけれど、逆にはまってしまう人も多い。

人の好き嫌いを分ける理由のひとつが「クセ」と呼ばれるものの存在なのだろう。

自分では気づかない「文章のクセ」

今回のテーマは、文章のクセだ。自分ではなかなか気づかないけれど、文章にも人によって強い個性やクセがある。私は一時期、企業の制作部でライターさんの書いた文章を校正したりリライトしたりしていたことがある。

私が直していたのは、半分くらいは、クラウドソーシングで書かせたう◯こみたいな文章(全部がう◯こというわけではないけどね)。それはもう、文体がどうとかクセがどうという以前の問題だったので論外だ。

残り半分は、プロのライターが書いたもの。こちらは、文章の作りとしては申し分ない。それなのに、読んでいてイライラするものがあるのに気づく。間違ってはいないので直してはいけないのだけど、どうしても自分流に直したくなってしまうのだ。(もちろん我慢したけどね)

それが恐らく本人も気付いていない「文章のクセ」なのだ。

グッとくる文体

私がnoteをはじめたのは最近だけど、ずっとcakesは愛読している。その中でも好きな文体の人をひとり挙げろと言われたら「ワイングラスの向こう側」の林伸次さんだ。

林さんの文体のどこが好きか、というと「安心感」「やさしそうなところ」だ。林さんの書かれるものって、内容もさることながら、語り口が柔らかいのが大きな魅力だと思う。

林さんの「僕、こういうとき、~なんです」「僕、そういうの~なんですよね」という言葉遣いにグッとくる女性って、結構多いのではないだろうか。

一目惚れと言えば、大抵は顔であるが、声に惚れることも所作の美しさに惚れることもある。林さんの文章って思わず「文章に惚れてしまう」力がある。そんな気がしてしまうのだ。

この記事を読むと、林さんご自身も、この文体に辿り着くまで、いろいろ試行錯誤があったようだ。

林さんは奥さんが8歳年上だそうで、ウチはオットが9歳年下。林さんには、年上の女性の心をつかむような何かがあり、私はそれに惹かれやすい、とも言えるのかもしれない。実際には林さんと私は同じ年(1969年生まれ)なんだけどね。

さて、ここで問題は、私の書く文章が、好きな文体に似ても似つかないという点だ。もちろん、文章の上手下手のことではない。

上から目線の文章

簡潔に言えば、私の書く文章って「偉そう」なのである。たぶん本人が普段から偉そうだから仕方がないんだろうけど(笑)。→これはウソ(笑)

大げさに言うと、林さんの文章が、何となく「上目遣い」だったり、笑顔で話していたりしそうなら、私の文章は、への字口で腕組をして「見下ろして」話しているような感じ。

それでも私は決めたのだ。

嫌われてもいいから、このnoteには言いたいことを言い、書きたいことを書こうと。

「ですます調」で書くと、本音が書きづらい。言いたいことを言うためには、生易しい言葉では説得力がない。そのためには、甘ったるい「ですます調」ではなく、「である調」で言い切って言い切って言い切ろう!と。

さらに白状すると、「ですます調」で書くと、私の場合、頭が悪そうな文章になりそうなのでやめた。「ですます調」なのに、知的さをにおわせる文章の書ける林さんってホント凄いと思うのだ。

文章力を上げる方法

ここまで考えてきて、しみじみ、クセって面白いな、と思う。

小説などでも、テーマは設定は面白そうなのに、どうしても文体が合わなくて、読み進められないことってある。

サリンジャーの名作「ライ麦畑でつかまえて」は、そんな小説の筆頭だ。決して難解ではない。それなのに、不良少年の口語体で書かれた文章が生理的に受け付けず、挫折した人も多いのではないだろうか。

私自身もはるか昔、確かに読んだはずなんだけど、今wikiであらすじ読んだら、全然覚えてない。ってことはやっぱり挫折したのかもしれない。

ここまで書き進めて、ふと疑問に思った。私の若いころには、10代のうちに読むべき本として、男の子は「ライ麦畑」、女の子は「赤毛のアン」が必ず挙がったものだけれど、今の若い人はもうそんな本は読まないのだろうか。

文章力を上げるには、いわゆる「古典」と呼ばれるような、美しい文章を読むことがすごく大事だ。今、文章を書く仕事に着いているからこそ実感する。昔、文学少女を気取って本を読み漁って本当によかった。

絵もそう。本気で上手になりたいなら、漫画や最近のイラストだけじゃなくて、名画と呼ばれるものは一通り「生」で見ておいたほうがいいと思う。

インプットは大事。本も読んで映画も観て絵も観て、さらにアウトプット!
クリエイターってホント忙しいのだ。


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