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5年前にあきらめた小説を、読めるようになったこと。noteがくれた奇跡。

空の色が、私の心の中に静かに溶け込んでいく。

雲ひとつない、青の日もあれば
重たい雲におおわれる、灰の日もある。

メジロの鳴き声をBGMにして
サイドテーブルに置いた本を開く。

ページをめくる手は
いつもよりも少しだけ緊張している。

読書という時間は
忘れていた記憶を思い起こさせる。

今日の私は、私と向き合いながら
いつもと違う目で本の文字を追う。

「理解できなかったストーリーが、頭の中に入ってくる!」

以前は読むことができなかった本が
経験を重ねるにつれて読めるようになることがある。

それはたとえば私にとっては
「星の王子さま」や海外文学の本だ。

その一方で、以前は出来ていたことが
できなくなるように

読むことができていた本が
読めなくなることがある。

5年前、精神的に崩れた私は
好きな読書を楽しむことができなくなった。

小説を開いても、文字は文字として映らず
物語の世界には一歩も踏み入れられなかった。

それどころか、何を書いているのかさえ分からない。

何かの病気だろうか。
本を読めなくなったこと
そして文章が読めなくなったことは
日常生活にも支障をきたした。

それから、いろんなことに助けられて
少しずつメンタルも体調も回復していった。

文章も、本も少しずつ読むことができるようになった。

だが様々な理由から小説を
再び手に取ることはなく
年月は過ぎていった。

ふたたび小説を手にとったのは5年後のこと。

noteという世界に出会い
noterさんの記事を読んで
記事で紹介されていた小説を読んだ。

5年ぶりに小説を読めたこと、読む楽しさを思い出した。

noteにも小説のなかにも、多くの言葉があふれていた。

毎日多くの文章に触れるうちに
私の中の読書へのスキがふたたび目覚めたのだ。

そして、5年前に読むことを諦めた一冊を
再び手に取る決心がついた。

伊坂幸太郎さんの代表作の一つ
「ゴールデンスランバー」

俺は犯人じゃない! 巨大な陰謀に追い詰められた男。
スリル炸裂超弩級エンタテインメント。
山本周五郎賞、本屋大賞ダブル受賞。

衆人環視の中、首相が爆殺された。
そして犯人は俺だと報道されている。
なぜだ? 何が起こっているんだ? 俺はやっていない──。

首相暗殺の濡れ衣をきせられ、
巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。

暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。
行く手に見え隠れする謎の人物達。
運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。

amazonのゴールデンスランバーのページより

分厚い本ではあるが、メンタルが健康な状態であれば
読むことができただろう。

「残り全部バケーション」を読んでから
伊坂ワールドに夢中になった。

「ゴールデンスランバー」を
読むのに注意が必要だとしたら
群像劇」であることと「登場人物が多い」こと。

「群像劇」で「登場人物が多い」本を
少し前に読んだ経験が役に立ちそうだ。

同じくnoterさんの記事をきっかけに読んだ
寺地はるなさんの「ほたるいしマジカルランド」

あなたのそのがんばりを、見つけてくれる人が、きっといる。
本屋大賞ノミネート作家が贈る、心をときほぐす温かな物語。

大阪北部の蛍石市にある「ほたるいしマジカルランド」は、
願いごとを叶えてくれるという噂のある
メリーゴーラウンドが人気の老舗遊園地だ。

ここで働くのは、どこか不器用で悩みを抱えた人ばかり。

アトラクションやインフォメーションの担当者、
清掃スタッフに花や植物の管理。
お客様の笑顔のために奮闘する従業員たちの日常が、
ふとしたきっかけで動き出し――。

毎日がんばるあなたの心をふっと軽くする、温かな物語。

Amazonのほたるいしマジカルランドのページより

「ほたるいしマジカルランド」は記事にも書いた。

遊園地を舞台にした「ほたるいしマジカルランド」は
とにかく登場人物が多い。
そして、遊園地のアトラクションの名前も独特だ。

たとえば、「観覧車」は観覧車という名前ではなく
サファイアドリーム」だ。

ジェットコースター
ファンタスティック・スタールビーライド」だ。

登場人物の名前と、アトラクションの名前を
書きながら読んでいく。

するとアトラクションの名前に共通点が見つかる。
そして少しずつ、遊園地の地図ができあがっていく。

これはノートに書きながら
読んだ人でなければ分からない楽しみだ。

ほたるいしマジカルランド」を読んだことで
残り全部バケーション」を読んだことを思い出し
ゴールデンスランバー」を読めなかったことを思い出した。

「ゴールデンスランバー」のページをめくる手が
いつもよりも緊張する。
でもそれは楽しさからくる心地よい緊張だ。

今の私は5年前とは違う。

「ゴールデンスランバー」の概要ページ目次
目をとおして、大まかな世界観を把握する。

そして、登場人物の「名前」と「特徴」をノートに書く。

人物が増えてきたら
人物相関図」にして、書きながら読みすすめる。

頭のなかは、小説の情景で満たされる。
読む手が止まらない。

一気に物語をむさぼるように読みすすめた。

途中でノートに書くことを忘れるほどに
とにかく夢中になって読みおえた。

5年前に読むことを諦めてしまった本が
いま私の中で息づいている。

「ゴールデンスランバー」は
今の私にとって最高の一冊の一つになった。

それは、本の内容が素晴らしいものであることが一つある。

首相暗殺や、暗殺の犯人に仕組まれることは
5年前よりも、令和になった今がより重みがある。

そして、私自身が読めるはずの本を読めなくなったこと。

読めなくなった本を、ふたたび読めるようになったことが
大きな意味を持つようになったのだ。

夕暮れどき、部屋の中が柔らかな闇につつまれても
ゴールデンスランバー黄金のまどろみ」が私の心を輝かせている。

メディアパルさんの募集企画
「好きな本について語り合おう」に参加します。
本が好きな人にはたまらないですね。
素敵な企画をありがとうございます。


今まで大好きでできたことが
ある日とつぜん出来なくなる。

でも、何かをきっかけにして
またできるようになって大好きになる。

noteの世界に出会えたからこその奇跡です。

noteクリエイターフェスでやりたいこと・やったこと
「5年前にあきらめた小説を、読めるようになったこと」


最後までお読みいただきありがとうございます。
みなさんの毎日が素晴らしいものになりますように。

今日はいつもと文体を変えてみました。

昨日みんフォトに登録した画像は
「お気に入りに身を包んで」「ハロウィンをかけていく」を
キーワードにすると検索しやすいです。
もしよろしければハロウィンにご利用ください。

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