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なぁんにもない、へ向かって。あと12年、子どもたちに渡さなきゃ。

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なぁんにもない、へ向かって。あと12年、子どもたちに渡さなきゃ。

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黄土ソックス 街の歌 2022年 佐渡島

自作ギターとカホンのユニット”黄土ソックス”。2010年大阪にて活動開始。 踊って揺れて笑える オーガニック ビートニク タッグを目指して遠くまでやってきた。 :ギター…

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1年前
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ロールケーキ

00:00 | 00:00

宮村家と、暗越奈良街道沿い ひとかふぇ に贈る。

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2か月前
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鬱と時間(記:2020年秋)

 家の前から南西向きに海が望める。  厚い灰色の雨雲が水平線を煙らせている。  どおおおおおお……  台地の下で磯辺が呻いている。冬がやって来る。除雪車の音で目覚…

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4か月前
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山下賢二『ガケ書房の頃』文庫化に際して、私が空想した40年後の夏。(記・2021年夏)

 まだ図書館が存在してた頃、移動図書館という仕組みもあったと聞くが私の記憶にはない。図書館、しかも移動式……。そんな機能を実装できたら、旅する図書館ができてしま…

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4か月前
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佐渡島でカゴを編む (2021年作)

 日常的に竹細工をしている職人は、広い佐渡でも今は数人らしい。私がカゴ編みを教わっているNさん(八九歳)は「田植えカゴ編んどるのは、 もうオレだけだろうなぁ」と言う…

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1年前
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子供たちとの対話 ココロタイムレス 創刊号 (2010年作)

 どうしてあんな実験を試したんだろう? それは成功したのか失敗したのか? 気づくとぼくは、ココロ世界の潮に呑み流されて探検が始まった!  誰にも聞こえない、心の…

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1年前
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「ひとつながりのスープ」写真日記に至るまで (2010年作)

 幼いころ遊んだ「日本地図パズル」。都道府県がそれぞれ1ピースになっていて、それに加えて佐渡島は島だけど一片のピースになってなかったっけ? 日本海に浮かぶ、地図…

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1年前
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ガケ書房は終わるだろうか。(2015年作)

 山下とまみえた、とある対談企画にて。ガケ書房命名者について議論の末 「三島出案の”ガケ"、山下出案の”書房"を採り合わせた名が、”ガケ書房”」 という見解で合意し…

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1年前

自由な時間 / 独立文明 (2011年作)

「歳取ったら時間が過ぎるのが早いなぁ」 しばしば語られる日常的話題である。 「ほんまや、かなんなぁ」 大人達はほとんど挨拶のようにそう返す。  しかし、ぼくはいつも…

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1年前
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風的進化論 (2014年作)

 風が身体じゅうを吹き抜けてった。急な山裾の先に続く海を見渡しながら、あたしたちは立ってた。視界いっぱいの水平線でぱっちりと二色の青がくっついていた。  彼女に…

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1年前

野良猫は海へ 1999年作

第一回  原チャリは海の匂いの中へ突っ込んだ。それは顔面と鼻の穴から伝わってきた。橋の上には、今日も暑くて湿っぽくて潮の匂いが流れてた。美浜区真砂の団地を抜け花…

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1年前
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徒歩旅行10th

三半機関の佐渡歩き旅行10thは畑野〜松ヶ崎の小佐渡横断。無事に帰りました。里山から山岳、谷川から水平線、町から廃村、車生活では目にできない佐渡のいろいろな顔つきを…

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1年前
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ongaku (雪の港)

とてもたいくつだったし、すこしさみしかったぼくは、おんがくをさがしにいえをでました。  今日は1月9日土曜日。雪がたくさん積もっています。風がない夜に、雪が降る…

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1年前
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tweet memo ヨミキカ

ちょっと整理したいことのスレ1 読み聞かせしたいと思う気持ち。 ライヴたりたい、というゆうのと似たような種だと思うんだけど、でもじゃぁ弾き語りじゃぁないってことは…

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1年前
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tweet memo

40年ほど前に、小学生だった時、新聞日曜版の1面でムンクの叫びがバーンと紹介され驚いて見入ったことが、今ふと思い出された。ああゆう感じが「衝撃」てものなのかな。 …

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1年前

黄土ソックス 街の歌 2022年 佐渡島

自作ギターとカホンのユニット”黄土ソックス”。2010年大阪にて活動開始。
踊って揺れて笑える オーガニック ビートニク タッグを目指して遠くまでやってきた。
:ギター:
 中川弦楽器製作所・中川コースケ。自作の9弦ギターをメインに弾く。
:カホン:
 3.5GH
:撮影設営:
 中川コースケ
:2022年8月28日 ”素浜の素音” 佐渡島
:play list:
https://youtube.
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ロールケーキ

ヨミキカ星人

00:00 | 00:00

宮村家と、暗越奈良街道沿い ひとかふぇ に贈る。

鬱と時間(記:2020年秋)

鬱と時間(記:2020年秋)

 家の前から南西向きに海が望める。
 厚い灰色の雨雲が水平線を煙らせている。
 どおおおおおお……
 台地の下で磯辺が呻いている。冬がやって来る。除雪車の音で目覚める日が続く年もあったし、田植えに水が足りるかが話題になる暖冬もあった。この冬はどんな調子か、7回目の冬は。

 ここらでは40代は若ぇモン、60代は現役ど真ん中という雰囲気で、42歳で転居してきた当時は若返った気分だった。そのまだまだ若

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山下賢二『ガケ書房の頃』文庫化に際して、私が空想した40年後の夏。(記・2021年夏)

山下賢二『ガケ書房の頃』文庫化に際して、私が空想した40年後の夏。(記・2021年夏)

 まだ図書館が存在してた頃、移動図書館という仕組みもあったと聞くが私の記憶にはない。図書館、しかも移動式……。そんな機能を実装できたら、旅する図書館ができてしまわないか。

 6月半ばを過ぎて梅雨が明けた。夏の始まりはここ半世紀でひと月近くも前倒しになったという。小学生の頃は7月上旬に梅雨が明け、終業式までは連日のプール授業だった。
 図書館旅の計画と長い夏への準備の日々に母から連絡が入る。祖父の

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佐渡島でカゴを編む (2021年作)

佐渡島でカゴを編む (2021年作)

 日常的に竹細工をしている職人は、広い佐渡でも今は数人らしい。私がカゴ編みを教わっているNさん(八九歳)は「田植えカゴ編んどるのは、 もうオレだけだろうなぁ」と言う。田植えカゴというのは、口径が三〇センチ程度の楕円、深さは二〇センチ程の竹カゴ。稲が手植えだった頃、縁に紐を通し腰にくくり付けて苗入れとして使った。その他にも野菜や果物の収穫、 キノコや山菜採り、釣りの獲物入れ、といろいろな場面で役立つ

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子供たちとの対話 ココロタイムレス 創刊号 (2010年作)

子供たちとの対話 ココロタイムレス 創刊号 (2010年作)

 どうしてあんな実験を試したんだろう? それは成功したのか失敗したのか? 気づくとぼくは、ココロ世界の潮に呑み流されて探検が始まった!
 誰にも聞こえない、心の声はどこから聞こえてくるんだろう。誰にも見えない、心の地図はどんな形だろう。距離はめちゃくちゃ、時間はあべこべ。地面は…。あれ? 地面は? …ぼくは生きて帰れるんだろか。
 あ、どこからか子供たちの声が聞こえてくる。
「こころがあるからいき

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「ひとつながりのスープ」写真日記に至るまで (2010年作)

「ひとつながりのスープ」写真日記に至るまで (2010年作)

 幼いころ遊んだ「日本地図パズル」。都道府県がそれぞれ1ピースになっていて、それに加えて佐渡島は島だけど一片のピースになってなかったっけ? 日本海に浮かぶ、地図で見慣れたその形。離島として国内最大級であるその陸地。上陸最初の印象は ”いいところに来たな。”でした。
 新潟県直江津港から2時間半あまりの船旅の途中で日は暮れていきました。島南部の小木港に降り立つと、ぼくらを呼び寄せてくれたacci-c

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ガケ書房は終わるだろうか。(2015年作)

ガケ書房は終わるだろうか。(2015年作)

 山下とまみえた、とある対談企画にて。ガケ書房命名者について議論の末
「三島出案の”ガケ"、山下出案の”書房"を採り合わせた名が、”ガケ書房”」
という見解で合意した。それまで互いに、名付け親は自分だと言い張ってきたのだっだ。
 1994年、自主写真誌の製作チーム名として名付けたのがガケ書房であった。製作した誌名の方はハイキーン。3人体制で3年間で3号まで出版した。二十代前半のことだ。
 ハイキー

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自由な時間 / 独立文明 (2011年作)

自由な時間 / 独立文明 (2011年作)

「歳取ったら時間が過ぎるのが早いなぁ」
しばしば語られる日常的話題である。
「ほんまや、かなんなぁ」
大人達はほとんど挨拶のようにそう返す。
 しかし、ぼくはいつも
「ぼくはそうは思いませんけどねぇ」
と、やり返してしまう。
 ケンカを売ってるわけではない。ただちょっと話を 白くしたいのだ。
「いやだってね、先週の日曜日に友達と酒呑んだことがね、もう半年やそこいら前の楽しい思い出みたいに感じますも

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風的進化論 (2014年作)

風的進化論 (2014年作)

 風が身体じゅうを吹き抜けてった。急な山裾の先に続く海を見渡しながら、あたしたちは立ってた。視界いっぱいの水平線でぱっちりと二色の青がくっついていた。
 彼女に誘われてあたしが車を出し、朝から走ってここまで来た。連絡があったのは昨日の午後遅くだった。
「明日ってなんか予定ある?」
 メールじゃなくて電話だった。ちょっと湿った感じの声で、軽やかにスイングするようなホノカの口ぶりを、少し懐かしいように

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野良猫は海へ 1999年作

第一回

 原チャリは海の匂いの中へ突っ込んだ。それは顔面と鼻の穴から伝わってきた。橋の上には、今日も暑くて湿っぽくて潮の匂いが流れてた。美浜区真砂の団地を抜け花見川に架かる橋、河口から約二キロ地点にあるその橋にさしかかると、いつもそうやって海をすぐそこに感じることができるのだ。スクーターは友人からもらった十年落ちの中古だけれど、実に好調だ。オレは突っ走る。フルスロットルだ。でもやっぱり時速六〇キ

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徒歩旅行10th

徒歩旅行10th

三半機関の佐渡歩き旅行10thは畑野〜松ヶ崎の小佐渡横断。無事に帰りました。里山から山岳、谷川から水平線、町から廃村、車生活では目にできない佐渡のいろいろな顔つきを垣間見てとっても充実しました。

1日目、国見平を出発して間もなく、爽やかな立ち姿の並木に出会う。ヤマナラシかな?と思ったらポプラのようです。どちらも葉っぱがひらひらよく揺れて、高木なのにどこか軽やかな雰囲気が好き。
午前中は、地図を見

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ongaku (雪の港)

とてもたいくつだったし、すこしさみしかったぼくは、おんがくをさがしにいえをでました。

 今日は1月9日土曜日。雪がたくさん積もっています。風がない夜に、雪が降るのはいいものだ。とても静かで、次から次へ雪が落ちてきて、積もってゆく。
 海に雪が降るのを見たことがある。真っ暗な空から、真っ黒な海へ、どんどん、どんどん雪が落ちてゆく。そのとき、やはり風がなくてとても静かで、次から次へ雪が落ちてきて……

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tweet memo ヨミキカ

ちょっと整理したいことのスレ1 読み聞かせしたいと思う気持ち。
ライヴたりたい、というゆうのと似たような種だと思うんだけど、でもじゃぁ弾き語りじゃぁないってことはまた別の種?
むかしから絵本が好き、はもちろんある。 演じるの好きなところもある。

tweet memo

40年ほど前に、小学生だった時、新聞日曜版の1面でムンクの叫びがバーンと紹介され驚いて見入ったことが、今ふと思い出された。ああゆう感じが「衝撃」てものなのかな。
その項をその後数年間は取っておいた記憶がある。
ムンク展を観に行ったのは高校生の時だったろうか。生の生々しさは記憶と違わなかった。新聞の印刷はそうそうよくはなかったはずだけど、それですり減らないものに衝撃を与えられた、ということかもしれな

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