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小説『君と明日の約束を』

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『君と明日の約束を』 連載小説 最終話 檜垣涼

『君と明日の約束を』 連載小説 最終話 檜垣涼

檜垣涼(ひがきりょう)と申します。
小説家になりたい京都の大学生。
よろしくお願いします🌸
最終話です。
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 言ってから、ずっと左手に握っていた二枚の紙を彼女に見せる。

 彼女は覚悟を決めた表情でそのチケットを受け取った。彼女は、それを僕からのお願いの対価だなんて考えない。

「だから」

 僕は、彼女に向けて小指を出す。

「小説家になってください」

 

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『君と明日の約束を』 連載小説 第八十六話 檜垣涼

『君と明日の約束を』 連載小説 第八十六話 檜垣涼

檜垣涼(ひがきりょう)と申します。
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一話分ずつ、長編恋愛小説の連載を投稿しています。
そろそろ終盤に差し掛かってきています!
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 印刷された彼女の小説を持っている彼女の思考には、当たり前だけどその可能性は浮かんでいない。

「書いて欲しい」
「……は?」

 思わず飛び出た呟きといった感じだった。

「こ

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『君と明日の約束を』 連載小説 第八十五話 檜垣涼

『君と明日の約束を』 連載小説 第八十五話 檜垣涼

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「……なんで?」

 呆気に取られたように首をかしげる慎一は、しばらくしてはっとしたように目を見開く。

「大学……?」
「そう。面談でちゃんと決めた。だから準備しないと」
「そ

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『君と明日の約束を』 連載小説 第八十三話 檜垣涼

『君と明日の約束を』 連載小説 第八十三話 檜垣涼

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 彼女の遺書を読んだ後、彼女の病気を調べていた。彼女が言っていた成功率を知りたくて、ネットに病名を打ち込んだ。

 手術成功率。
 それに気を取られて見過ごしていた文字

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『君と明日の約束を』 連載小説 第八十一話 檜垣涼

『君と明日の約束を』 連載小説 第八十一話 檜垣涼

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 次の日の朝、僕が病室に行くと、日織は布団の中で目をつぶっているように見えた。
 駆け寄り耳をすませると、呼吸の音が確かに聞こえていて、一安心する。

「朝一度起きたんだけどね、まだちょっと体力回復してない

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『君と明日の約束を』 連載小説 第七十九話 檜垣涼

『君と明日の約束を』 連載小説 第七十九話 檜垣涼

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 目を合わせない僕を覗き込んだ彼女の目が、心配の色に染まる。
 それでも可能な限り力強い声で「大丈夫です」と返すと、あまり深く聞かずに頷いてくれる。

「じゃ、私これからバイトだから」

 彼女が背を向

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『君と明日の約束を』 連載小説 第七十八話 檜垣涼

『君と明日の約束を』 連載小説 第七十八話 檜垣涼

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 夜、母親と進路の話をした。ちゃんと話すのは初めてだったのかもしれない。そして、風呂に入って寝た。朝起きてすぐに病室に行き、彼女と顔を合わせ、彼女を手術室に送り出し、そのまま朝食を食べず、学校に行き母親

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『君と明日の約束を』 連載小説 第七十七話 檜垣涼

『君と明日の約束を』 連載小説 第七十七話 檜垣涼

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「大丈夫だよ、私はそんな理不尽なことはしないって決めてるから」

 それは彼女の書いている小説の話を言っているのだろうか。
 それとも、彼女自身のことだろうか。

 彼女が僕に向かって小指を出す。

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『君と明日の約束を』 連載小説 第七十六話 檜垣涼

『君と明日の約束を』 連載小説 第七十六話 檜垣涼

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 ずいぶん広いスペースの中で、ベッドと隣に置かれた机付きの棚が目に入る。机の上には彼女が母親に頼んで家から持ってきてもらったらしい小説が所狭しと並べられていた。

 しばらくして、彼女は身震いをしたかと

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『君と明日の約束を』 連載小説 第七十五話 檜垣涼

『君と明日の約束を』 連載小説 第七十五話 檜垣涼

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 言うつもりはないらしい。考えてみればそうだ。僕と関わってから今日まで、ずっと彼女は嘘をつき通している。

 彼女が切望にも似た表情を浮かべているのを見て、僕は彼女の嘘に乗るべきか考えてしまった。もし乗

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『君と明日の約束を』 連載小説 第七十四話 檜垣涼

『君と明日の約束を』 連載小説 第七十四話 檜垣涼

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 咄嗟に何か言おうとした彼女だったが、僕の空気を察して黙ってくれる。それに甘えて僕は話を続けた。

「日織が病気だと知ってたはずなのに。だから無理させてはいけなかったのに無理させるようなこと言って。体に

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『君と明日の約束を』 連載小説 第六十九話 檜垣涼

『君と明日の約束を』 連載小説 第六十九話 檜垣涼

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「読んでみて!」

 キラキラした目をこちらに向けるその男の子の勢いに負けて、私はゆっくり一ページ目の文字を目で追っていった。

 しばらく読んで、分からない文字が来た時に顔を上げた。隣には、嬉しそうに

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『君と明日の約束を』 連載小説 第六十五話 檜垣涼

『君と明日の約束を』 連載小説 第六十五話 檜垣涼

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 二人とも布団に入ったのを確認すると慎一がリモコンを操作して、明かりを消した。遮光性の高いカーテンのおかげで部屋の中は真っ暗になる。

「慎一、起きてる?」
「ああ」

 自分から話しかけたのに、言

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『君と明日の約束を』 連載小説 第六十四話 檜垣涼

『君と明日の約束を』 連載小説 第六十四話 檜垣涼

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「ひゃっ」

 中から小さな悲鳴が聞こえた。驚き、見ると、声を出したのは振り返った日織だった。

 怯えた顔で僕を見る彼女が、少し華奢に見えたのは気のせいではないだろう。
 彼女は僕を見ながら焦った

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