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【連載】初めての海外でひとりでキューバに行ってきた

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自分の連載キューバ旅の物語です。
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初めての海外で一人でキューバに行ってきたときの話

初めての海外で一人でキューバに行ってきたときの話

この文章はこちらの続きです。

ポップなラテンミュージックが流れる車内。僕の心中はポップとは程遠かった。

 事前に宿まで送迎してくれるよう手配していたタクシーの運転手に、拙いスペイン語で自己紹介をしたものの、スペイン語を話せないと伝えてから、沈黙が続いていた。気を遣って陽気な流行りのポップを流してくれたが、どこか僕らはお互いを警戒していた。

 キューバ国民は、白人と黒人の混血であるムラートと、

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初めての海外で一人でキューバに行ってきたときの話

初めての海外で一人でキューバに行ってきたときの話

※この文章はこちらの続きです。

ハバナまではメキシコで乗り換えて行く。アエロメヒコ航空を利用した。人生初めての国際線だ。乗り換えできるかとても不安だった。なにせ初めてなのだから。荷物を失くすことを恐れていた僕は機内に持ち込めるサイズを調べ、この旅のために40リットルのバックパックを買い準備万端だった。

 日本人の添乗員さんは2人くらいで、その他の人はどうやらスパニッシュ系の添乗員さんなの

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初めての海外で一人でキューバに行ってきたときの話

初めての海外で一人でキューバに行ってきたときの話

全身にドドドと古いエンジン音が響き渡る。

道路沿いに外灯は少なく、暗闇に近い。
信号のない道路を、車よりも人間の方が硬いとでも言っているかのように、人々がゆっくりと横断している。

ここはそう日本から遥か遠く離れたカリブの国キューバ。

大学二年生の春休みが終わり、三年生の前期課程が始まったころ僕は焦っていた。
先生には三年生の夏休みはインターンシップに行きなさい、親には大学院には進学する

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遠いキューバで出逢ったダニエルという男

遠いキューバで出逢ったダニエルという男

2018年9月9日。

「空港まで見送らせてよ。僕たち友達だろ」

そう言ってダニエルはタクシーで空港まで見送ろうとした。もちろん運賃は僕が全額払うのだが、彼にとっては日本人である僕がお金を払うのは当然な態度だった。

僕は違和感を覚えた。友達ならお金を払わせないようにここで見送ればいいではないか。それに一人旅大学生にお金を払わせるなんて本当の友達ではない。僕の違和感は苛立ちに変わっていた

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