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初めての海外で一人でキューバに行ってきたときの話


全身にドドドと古いエンジン音が響き渡る。

 道路沿いに外灯は少なく、暗闇に近い。
信号のない道路を、車よりも人間の方が硬いとでも言っているかのように、人々がゆっくりと横断している。

 ここはそう日本から遥か遠く離れたカリブの国キューバ。

 大学二年生の春休みが終わり、三年生の前期課程が始まったころ僕は焦っていた。
先生には三年生の夏休みはインターンシップに行きなさい、親には大学院には進学するのかを問い詰められていた。
そんなことを言われてもまったく将来に対するイメージなどつかない。働くとはどういうことなのだろうか。自分が生きていく世界を、社会を何も知らない気がして焦った。

 他の国の社会を見たら、他の社会で生きていく人々を見たら、自分の生きている社会を客観的に見ることができるのだろうか。よく一人旅をして価値観が変わったなどと得意気に語る人がいる、そしてそれを嘲笑う人もいる。僕はいったいどっちの人種なのだろう。そんなこと行ってみないと分からないと思った。そして行くなら今しかないと思った。

 どこにいこう。東南アジアの国々はみんなもう行ってるのがなんか悔しい。アフリカや南米は治安面で少し心配だ。
スマホ画面からふと目に入ったキューバという文字。
 キューバ、アメ車、チェゲバラ、社会主義国、中南米、スペイン語、サルサ、ネット環境がほぼない、治安が良い。アメリカとの国交が回復、今のキューバを見るのは今のうち?
 調べれば調べるほど日本とは異なる環境でとても惹かれていた。等しく貧しいのにみんな陽気な国。広告もマックもスタバもない国。
 気付いたら僕はスマートフォンに写るキューバ行きの航空券の購入画面をタップしていた。 


まずは行程を決めよう。
 
行程 2018年9月3日日本発ーメキシコ経由で9月4日にハバナ着ー9月10日にハバナ発ー帰国  
どこかでトリニダードには行きたい。
はじめての海外なので1週間にしておこう。
 
待って、キューバ本当に1人で行けんのかな??
 
キューバについて調べれば調べるほど不安になった。
キューバ事前調べ
①公用語スペイン語(英語ほとんど通じない)ちなみに僕は英語は中学生レベル、スペイン語はなにも知らない。
 
②wifiは有料でインターネット使える場所はあまりない。
 
③通貨が二つある。
 
④宿泊するならカサと呼ばれる民泊がおすすめ。
 
こわくなってきた。結局現地でホームシックになって終わりだ。
 
 これらの不安が僕を襲ったが、出発まで2か月ほどある。できることはまだある。
そこで僕がやったことは主に5つだった。
 
①教育テレビのスペイン語番組を見る。スペイン語学習。
 
②必要な書類、パスポートなどの発行。
 
③オードリー若林著の表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬を読む。
 
④不安な要素を事前によく調べておく。
 
⑤モーターサイクルダイアリーズを見る(若き日のチェゲバラの映画)
 
とくに③と⑤をやることでモチベーションが上がった。正直このエッセイが若林さんの本に影響されることを危惧している。
 
 はじめてのことはなんでも不安だ。でも意外となんでもないことにビビったりしていることが多い。
でもそれがなんでもないことなのかどうかは挑戦してみないと分からないみたいだ。僕は行きたいと思ったらもう迷わず行ける人になった気がする。翼を手に入れるということは、きっとどこへでもいける、なんでもやってやるという心を手に入れることなんだと思う。
 
それはきっとこの旅のおかげだ。

そんなキューバの旅がこれからはじまる。


※これは2018年の話です。 
 

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