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  • 黄昏時系列順

    黄昏学園のSSを時系列順に並べています

記事一覧

オダネネSS 海の家⑥過去

 あたしも最近織田さんに全部聞いて知ったけど、あたしを産んだ母親は、出産後すぐに死んだらしい。夢つーか、迷宮で会ったから正確じゃねーけど、多分あたしに似てるとん…

まぐ
7日前
3

オダネネSS 海の家⑤ベランダ

 隣町に行く途中、通り雨に降られて最悪だったけど、なんとか買ってきたカレーパンと牛乳は濡れないように守った。家に着くと、「えのちゃんに何したのねーちゃん!」と顔…

まぐ
10日前
2

オダネネSS 海の家④友情の完済

 小虎がバレーのメンバーをかき集めている間に、あたしはガキどもにバイバイしてプール近くの小さな店にいた。水着とか浮き輪が売っている購買で、あたしは小さな水鉄砲を…

まぐ
3週間前
3

佐藤町子SS 海の家③病と取引

 こっちだよ、と手招きする灰谷さんの背後に隠れるように歩く。室内席を抜けて、廊下に出る。一番奥の扉の先にあるのだという。  スーツ姿の灰谷さんは、ましてかっこい…

まぐ
3週間前
3

佐藤町子SS 海の家②臨時バイト

 …… テラス席でお待ちしています  というメッセージを打ちかけてやめた。画面左上に圏外の文字。  海の家のことは掲示板で見かけた程度だけど、こんなにお客さんで溢…

まぐ
3週間前
4

オダネネSS 海の家①薫風

 バイトをほっぽり出してプールに入る。足をそっと入れるとぬるい。陽射しに照らされた水面がキラキラと、水着姿のあたしを歓迎していた。  バイト中は小虎に見られ続け…

まぐ
3週間前
4

佐藤町子SS 織姫

【礼文】 To:佐藤町子 From:匿名🦋 依頼内容読みましたか? 何をどう解釈したら、そんな解決法に着地するのか理解不能です。 ましてや世成鳳子に送信するなんて、あり得な…

まぐ
1か月前
5

光芒

「いいなー、まりのクラスは当たりクラスで」  友達のせっちゃんが言うには、私のクラスはイケメンも可愛い子も多いから当たりクラスなのだという。 「……君とか、女子…

まぐ
1か月前
4

蔵えうかSS 花霞

 壊れかけの電灯が点滅している。私は誰かを殺すためのナイフを握れた。握れたけれど、私の左手は小刻みに震えていた。  怖くなった?  人を殺すのが怖いんじゃない。…

まぐ
2か月前
2

オダネネSS 逃避行

 息も絶え絶えに走りながら人混みをかき分ける。毒島は、「待て!!聞きたいことが山ほどあるぞ!!」とバカでかい声で叫んでくる。うざうっせー。 「おだねね、おれもう…

まぐ
2か月前
7

佐藤町子SS 契約

 土曜日はお母さんが帰ってこないから、家には私しかいなくなる。本当は一日でも多く働きたいけど、店長が「たまには休みなさい。休んで元気になってまた働いてくれたらい…

まぐ
3か月前
5

オダネネSS 虹のまち

 榎本のラベンダー色した髪が、あたしの睫毛を撫でた。榎本と密着して電車の揺れに耐えていた。ドアが開けば弾け飛びそうなくらいぎゅうぎゅうに押し込まれた電車の中で、…

まぐ
3か月前
7

オダネネSS さびしさの名前

「荷物は少ないに越したことはないな」  榎本がいつの間にかあたしの部屋にいて、うんうん頷きながらあたしのバッグを入念に確認している。榎本はノックという概念がない…

まぐ
3か月前
7

オダネネSS 一緒にいこーぜ。

 榎本が家にいるのも慣れてきた。榎本はまるで昔からそこにいたように苗夏とゲームをやったり、あたしと戯れあったり、夜はぐっすり眠るわ飯は普通にいけるな、とか言いな…

まぐ
3か月前
4

ペア依頼前日譚

 朝、目が覚めたらあたしはベッドじゃなくて教室にいた。 「あ?どこだここ」  しかもあれだぜ、あたしの知ってる教室じゃない!黄昏学園旧校舎?の教室っぽい。なぜか…

まぐ
4か月前
4

春はめぐりて

   クラスメイトに囲まれて歩くと、なんだか大人っぽい匂いが立ち込めてきて、わたしはクラクラする。大人になったらいい匂いがするようになるんだと思ってた。自分の匂…

まぐ
4か月前
4
オダネネSS 海の家⑥過去

オダネネSS 海の家⑥過去

 あたしも最近織田さんに全部聞いて知ったけど、あたしを産んだ母親は、出産後すぐに死んだらしい。夢つーか、迷宮で会ったから正確じゃねーけど、多分あたしに似てるとんでもないやつだったわ。
 え?それなら問題ない?ぎゃはっ!大アリだろ。まあ榎本は可愛がられてただろーけど。

 んでな、親父は元々な、別の女と結婚する予定だったんだよ。それがあたしと苗夏育てたお袋。んー、紛らわしいから親父以外は全部名前で呼

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オダネネSS 海の家⑤ベランダ

オダネネSS 海の家⑤ベランダ

 隣町に行く途中、通り雨に降られて最悪だったけど、なんとか買ってきたカレーパンと牛乳は濡れないように守った。家に着くと、「えのちゃんに何したのねーちゃん!」と顔から湯気が出ている苗夏を軽くあしらって、服を着替えてすぐに2階に上がった。榎本の部屋から漏れ出た冷房の空気で廊下が冷たい。あいつちゃんとここに帰ってたんだな。

「入るぞ」

 あたしは榎本の部屋をノックもせずに、ずかずかと踏み入った。「な

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オダネネSS 海の家④友情の完済

オダネネSS 海の家④友情の完済

 小虎がバレーのメンバーをかき集めている間に、あたしはガキどもにバイバイしてプール近くの小さな店にいた。水着とか浮き輪が売っている購買で、あたしは小さな水鉄砲を買った。これを機嫌の悪そーな榎本に撃って、それでそれで……ぎゃはっ!思わず笑みが溢れてしまう。楽しいプールになりそう。

 プールに戻ったらバシャバシャ音がしていて、もう小虎たちがバレーをやっていた。「あ、おだねね!どこ行ってたんすか!やろ

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佐藤町子SS 海の家③病と取引

佐藤町子SS 海の家③病と取引

 こっちだよ、と手招きする灰谷さんの背後に隠れるように歩く。室内席を抜けて、廊下に出る。一番奥の扉の先にあるのだという。
 スーツ姿の灰谷さんは、ましてかっこいい。いい匂いのする背中にぴっとりくっつきたくなる。でもそんなことしたら、絶対嫌われる。

 そのまま灰谷さんに連れられて入ったVIPルームは、部屋全体に宝石が埋め込まれたようなギラつき方で、なんだか頭が痛くなる。テラス席とか普通の室内席とは

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佐藤町子SS 海の家②臨時バイト

佐藤町子SS 海の家②臨時バイト

 …… テラス席でお待ちしています

 というメッセージを打ちかけてやめた。画面左上に圏外の文字。
 海の家のことは掲示板で見かけた程度だけど、こんなにお客さんで溢れかえってるとは思わなかった。灰谷さんに居場所を伝える手段がないから、キョロキョロ周りを見渡して注意しておくしかない。でも、待ち合わせの1時間前に来てしまったから、多分まだ来ないはず。
 そういえば海の家は掲示板のコメント数も盛り上がっ

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オダネネSS 海の家①薫風

オダネネSS 海の家①薫風

 バイトをほっぽり出してプールに入る。足をそっと入れるとぬるい。陽射しに照らされた水面がキラキラと、水着姿のあたしを歓迎していた。

 バイト中は小虎に見られ続けて爆発するかと思った。限界を迎えたあたしが「あたしのことなんか見なくていーから、あっちで遊んでこい!」と流れるプールを頑なに指さしたら、しょんぼりした顔で「わかったよ」とシャチを抱えて行ってしまった。だって、水着とかあんま見られたくないし

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佐藤町子SS 織姫

佐藤町子SS 織姫

【礼文】
To:佐藤町子
From:匿名🦋

依頼内容読みましたか?
何をどう解釈したら、そんな解決法に着地するのか理解不能です。
ましてや世成鳳子に送信するなんて、あり得ないです。

結論から言いますと、助けになってません。

あなた本当に解決部の方なんですか?
だとしたら、クライアントに迷惑をかけるだけなので、退部なさった方がいいですよ。必要ないです。

私、あなたみたいな頭の悪い子供は嫌い

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光芒

光芒

「いいなー、まりのクラスは当たりクラスで」
 友達のせっちゃんが言うには、私のクラスはイケメンも可愛い子も多いから当たりクラスなのだという。

「……君とか、女子なら間宮ひまりちゃんとかさ!!」

 私は「そうかなぁ?」と首を傾げて、掃除用具を片付けた。日直の私の掃除当番を、せっちゃんが手伝ってくれていた。さっさとせっちゃんと部活に行きたい。

「私は、せっちゃんと同じクラスの子が当たりだと思うな

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蔵えうかSS 花霞

蔵えうかSS 花霞

 壊れかけの電灯が点滅している。私は誰かを殺すためのナイフを握れた。握れたけれど、私の左手は小刻みに震えていた。

 怖くなった?

 人を殺すのが怖いんじゃない。ナイフを握る左手が透き通っているのが怖いんだ。私は消えかかっていた。やっぱり、解決部で見た資料はすべて事実か。なんで私だけがこんなに不幸な目に遭わなきゃいけないんだろう。なんで私が。なんで私が。

 幼い頃の記憶は思い出したくもないほど

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オダネネSS 逃避行

オダネネSS 逃避行

 息も絶え絶えに走りながら人混みをかき分ける。毒島は、「待て!!聞きたいことが山ほどあるぞ!!」とバカでかい声で叫んでくる。うざうっせー。

「おだねね、おれもう限界……。諦めちゃって、いいんじゃない、っすか?」
「バカ!お前!止まんな!死ぬぞまじで!」

 小虎がへなへなし始めたので、あたしは小虎の手をとる。

「ちょっ、おだねね!?」

 あたしはすぐに手を離して、「こっちだばか」と小虎に声を

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佐藤町子SS 契約

佐藤町子SS 契約

 土曜日はお母さんが帰ってこないから、家には私しかいなくなる。本当は一日でも多く働きたいけど、店長が「たまには休みなさい。休んで元気になってまた働いてくれたらいいんだよ」と言ってくださったので、今日は一日オフだ。一日オフって、いつぶりなんだろう?

 部屋がたばこ臭いけど、窓を開けるか迷った。以前、換気も消臭もバッチリしておいたら帰ってきたお母さんに「あたしが臭いとでも言いたいのかよ!」と怒られた

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オダネネSS 虹のまち

オダネネSS 虹のまち

 榎本のラベンダー色した髪が、あたしの睫毛を撫でた。榎本と密着して電車の揺れに耐えていた。ドアが開けば弾け飛びそうなくらいぎゅうぎゅうに押し込まれた電車の中で、あたしと榎本は息を殺していた。

「……ここで見つかったら終わりだぜ。逃げようもない」
「だが織田君、先生側も身動きはとれまい。もし見つかったとして逃げるチャンスは十分あるだろう」
「それもそーか」

 運が悪い。同じ車両に生活指導の毒島が

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オダネネSS さびしさの名前

オダネネSS さびしさの名前

「荷物は少ないに越したことはないな」

 榎本がいつの間にかあたしの部屋にいて、うんうん頷きながらあたしのバッグを入念に確認している。榎本はノックという概念がない。まー、別に急に入ってきて困ることなんか何もねーからいーんだけどさ。

「お前かわいそーだな。ほんとなら明日から修学旅行なのにな」
「ふっ、織田君。何を寝ぼけたことを言っている。名探偵に不可能なことはないさ」
「あ?どゆこと」
「焦ること

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オダネネSS 一緒にいこーぜ。

オダネネSS 一緒にいこーぜ。

 榎本が家にいるのも慣れてきた。榎本はまるで昔からそこにいたように苗夏とゲームをやったり、あたしと戯れあったり、夜はぐっすり眠るわ飯は普通にいけるな、とか言いながらバクバク食べるわ、あたしよりも織田家してるかもしれない。

「織田君、どうした?鼻歌なんか歌って」
「あ?歌ってねーよ」
「いいや、歌っていたな。何という歌だ?」

 うるせーよ、と軽くデコピンすると、榎本は額をおさえて猛抗議していた。

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ペア依頼前日譚

 朝、目が覚めたらあたしはベッドじゃなくて教室にいた。

「あ?どこだここ」

 しかもあれだぜ、あたしの知ってる教室じゃない!黄昏学園旧校舎?の教室っぽい。なぜかピアノが置いてある物置みたいな教室だ。かんぜんでんしこくばんかってやつで、黄昏から黒板はなくなったはずだしな!ママがイマドキすげーな、あたしらの時はタブレット授業が導入されたくらいだったぜ。とか言ってたなー。

「よくわかんねーけどこれ

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春はめぐりて

春はめぐりて

 

 クラスメイトに囲まれて歩くと、なんだか大人っぽい匂いが立ち込めてきて、わたしはクラクラする。大人になったらいい匂いがするようになるんだと思ってた。自分の匂いは自分ではわからないけど、きっと大人の匂いはしていない。
 化粧のこととか、誰かに聞いてもいいのかなぁ。
 高校はきまりがゆるいみたいで、周りの子たちは化粧をしている子が多い。隣であははと笑うしまこちゃんの目の下も、宝石が砕けたみたいに

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