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トピックス(小説・作品)

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素敵なクリエイターさんたちのノート(小説・作品)をまとめています。
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2021年7月の記事一覧

金沢との縁が意外なところにあった話

金沢に住みたいと思ったときも、住んでいた期間にも知らなかった「金沢との縁」が意外なところで見かった。色んな考え方ができるけど、この機にあらためて「住む場所を自分で選ぶこと」について考えてみる。 (以下、起こった出来事に対する個人的な見解が書いていますので今回は有料にしています)

有料
100

綴る

 大好きな本に囲まれる毎日を過ごせる私は運がいい。 「この間、問い合わせていた本、貸してください」  カウンターに身を乗り出してきたのは、2年の深町美月だ。私は、棚から本をを取り出した。美月は、辺りをキョロキョロと見渡している。探しているのは、きっと3年の畑上陸だろう。美月は、畑上がいないことが分かると、少し悲しい顔をした。 「私、この本、ずっと探してて。まさか高校の図書館にあるなんて思わなかった」  美月の言うとおり、ここの図書館は大きくない。本の購入は、学生のアン

凱旋【短編小説】【2000字のドラマ】

 小学三年生の六月半ばの話である。私は年度から級友となった高城と書いてたかぎと読む男の家に遊びに来ていた。高城の家は、私の家から数分歩いたところにあって、帰り道を一緒にした後、また遊ぶという毎日を繰り返していた。  高城の家には、一人弟がいて、年は私と四つ離れているもんだから、今年で五つになる。弟は兄貴っ子で、兄貴の方も弟馬鹿であり、この兄弟仲が大変に良好なために、私はよく弟とも遊ぶようになっていた。  高城とはキャッチボールをして遊ぶことが多かった。私は二年生の八月の誕生日

蝶【短編小説】【純文学】

 家に一人の女が寄生していた。妻でもなく、恋人でもない。肉体関係を契ったことがただ一度だけあった。睫毛が妙に長く、胸元が開いた服を好んで着る乳の大きな女で、鎖骨が艶っぽく浮き出て、身丈は大方の女達よりも小さかった。  女は出不精であった。私が外に仕事に出る時、帰る時には必ず私の家にいた。洗濯やら掃除やらを片手間でこなして、余った時間は私の書斎に入り浸って読み耽っているらしい。月に一度、私が無理やり外に散歩に連れ出す機会以外では、おそらく家を出ていないのではないかと思う。出た

ローマの休日 #1 〜三度も訪れた甘いひと時を味わえる老舗ティールームです〜

海外旅行が恋しくなる 夏の日。 2017年の旅をもとにイタリアの 素敵な場所をご紹介していきます。 まずは、ローマから。 滞在した4日間で 三度も通ってしまったのがこちらの 「Babingtons(バビントンズ)」でした。 スペイン階段のふもとに 佇むこちらのティールーム。 125年の歴史を感じさせる 重厚な扉をあけると ピンクを基調としたロマンチックな 空間が広がっているのです。 猫のモチーフもあちこちに あしらわれていてとっても可愛い。 初めて訪れたのは

After, After Night

まるでお菓子の家みたいな所だったな、と思う。ちょっと手を伸ばせば、甘いお菓子がすぐ手に入る、魔法使いが住むおうち。望めばなんでも手に入れられて、でも、いちばん欲しいものはそこには無くて。 そのおうちは、主である魔法使いがいつも不在だった。 聞けば誰もが知っている外資系の超有名ホテル。その最上階のプライベートルームを、かつて恋人だった祐介は住まいにしていた。私が彼と住んでいた、まるで優しい牢獄のようなそこに彼はいまも一人でいるのだろうか。 *** いま私の目の前に広がっ

即完売、完全予約制のつけ麺!中華蕎麦 沙羅善 / 北鎌倉 神奈川

今日は北鎌倉の「中華蕎麦 沙羅善」を食べに伺いました。 (※仕事の時と変わらず万全の予防策をした上で密を回避し移動しています。) 話題の完全予約制のつけ麺ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、こちらはラーメン界隈で現在話題のお店です。完全予約制・ネット事前予約で客単価2,000円以上をほぼ確約・ロスカットでクオリティにふりきった食事体験という感じで、ラーメン屋としては特殊な持続可能な高単価の売上を実現しています。 店主が女性アイドルグループAKB48「バイトAKB」の

いろいろなHSP本から感じる、いろいろなHSP ① part.10

みなさん、こんばんは。禧螺です。 今日もnoteをご覧いただき、ありがとうございます。 昨日の記事では、多くの温かいコメントやリクエストを、どうもありがとうございました。 困った時や、少し肩の力を抜きたいなと思った時は、フォロワーさんに頼っていいんだということを、学べました。 「どうして今まで聞かないままでいたんだろう」とも思ったのですが、この過程こそが、私に必要な学びだったのだと思います。 8月8日(日)まで募集していますので、よろしければ交流がてら、書き込んでみ

「好きの搾取」への宣戦布告

「好きなんだから無償でいいよね」 小説を書いて発信していると、時々出会う言葉。 小説に限らず、絵や音楽や写真、何かを創作しているひとに、時々浴びせられる言葉。 好きだったらどんな条件でもどんなことでもやってくれるでしょ、という 「好き」を、搾取する言葉。 * 私はお金のために文章を書いているわけではない。 言葉にすれば文庫本になるくらいの、思いと覚悟で書いている。 だから、「ここで書いていいよ」と言われることはとても嬉しい。 その対価として、いくらほしいなんて思

ワードローブを整える大切さ

クローゼットの中って、いつの間にかアイテムが増えていたり使わないのに置いてある洋服があったりしませんか? おしゃれは自分を知ることが大事だとお伝えしているのですが「自分を知る」中にワードローブを知る、ことも含まれます。おしゃれをアップデートしたいと思うとき、ワードローブが整っていないとコーディネートが組めないしアイテムを素敵に使いこなせないからです。 つまりワードローブを厳選し整えておくことはおしゃれに欠かせないことだと思うのですよね。 けれど手持ちアイテムを整理し、管理

やり直しドリンク#2

ゴミ収集車の呑気な音楽とともに、現実に戻される。 俺は昨日、命よりも大事にしていたお守りをなくしてベコベコに凹んでいた。そんなおり、コンビニで見かけた謎の栄養ドリンクのその謳い文句に目を止めた。 『これを飲めば一つだけ、過去の出来事を無かったことにできる』 ホレグスリンだの、アタマヨクナールだのといったジョークグッズと思った俺は最初それを無視したのだけれど、なぜか、コンビニのクジでそいつを引き当ててしまった。 藁にもすがるなんて気持ちは微塵もなく、どころか今の俺の感情を逆

2年と1ヶ月ありがとうございました

ついにこの日がきてしまいました。 本日をもって、約2年続けたnoteの毎日更新を終了します。 まずは、ここまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました! とはいえnoteをやめるわけではないですし、今後も記事は書きます。一応更新スタイルがガラッと変わることと、自分にとって大きな2年間だったので、節目として今日は書かせていただきます。 * 思えば、よく続いたなあ2019年から始めたnoteの毎日更新。気づけば約2年の歳月が流れていました。 いやあ、よく続

noteにはじめて文章を書いた日からちょうど2年が経ちました。

本日7月30日にnoteを書きはじめて2年が経ちました。 こんなに長く毎日更新も続けられている。 そのことには自分でもびっくりしている。 無職の時にはじめていて、今も続いている。 noteを知ったきっかけは、その頃大好きだった推しのYouTuberのないとーさんが書いていたから。 読んだり、コメントを送りたかったからダウンロードしたnoteでしたが。 今はもう推しは書いてはいない。 わたしはその後2年ほど毎日更新を続けてるっていうね。 不思議な話です。 読ん

夏の疾走、7月某日の記録

いつも些末なことで汗ばんで心臓が高鳴った青春は一瞬で過ぎ去ってしまうから、夏と似ている。だから夏さえうまく過ごすことができれば、ずっと青春を生きていられる気がするのだが、結局今年も夏の暑さを無駄に溶かしてしまうのだろうな、と思う。 最近のお天道様は北国の民にも容赦はしないらしい。私の家にはクーラーなどという文明機器もないので、扇風機の前でだらしない顔をして人工の風を受け取り、暑さをなんとかしのいでいる。そもそも暑いのは大嫌いなので、夏が少し苦手だ。 とはいえ、北国の夏は一