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【DX最前線】「オンライン授業」でも学習効果が落ちない授業形態~生徒が自宅でも集中して学習する仕組みとは!?~

近頃、大きなパラダイムシフトが起こっている中で、注目が集まっているのが教育業界です。個別指導の塾においてもオンライン授業の波が押し寄せています。オンライン授業への切り替えにあたり、授業形態の変化、自習場所が塾から自宅に変わることによる学習効率の変化など、生徒はもちろん、保護者も不安に感じていると思います。

そんな中、いよいよヘウレーカでも4月からオンライン授業が本格スタート!!
そこで今回は、オンライン授業をチャンスと捉え、積極的に推進している石橋雄毅氏(指導責任者)にインタビューをしました。

生徒・講師間の認識の齟齬を生じさせない仕組み

――オンライン授業における生徒と講師間のコミュニケーションの変化について伺わせてください。一般的に、オンラインではコミュニケーションが取りにくくなったと言われる事が多いですが、ヘウレーカでも同様の課題を感じていますか?

Zoomで直接やり取りをする上では、コミュニケーション面での問題は特にありません。世間で言われている、学校のような「1対多」とは違い、「1対1」で会話をする上では、音声のタイムラグや乱れも頻繁には発生しませんし、基本的には顔も見えているので、お互いの信頼関係が構築されていれば、やり辛さは感じません。

――確かに、現在私たちもオンラインで話していますが、「1対1」では問題なく会話ができていますね。信頼関係が構築されていない場面では、具体的にどんな問題が生じるのでしょうか?

信頼関係がなくて困ってしまう事の一つは、生徒が理解し切れていないのに「分かった」と言ってしまうことです。ただ、そこは逆にこちらの腕の見せ所でもあって、生徒の理解が怪しそうなものに対して「この問題はなぜこの方法で解いたの?」のような質問を投げかけて、それに返答してもらうことで生徒の理解度を測ることも出来ますし、こちらの工夫次第で対処が可能です。

ただ、これについてはオンライン授業だからと言って特別なことをしている訳ではなく、普段から生徒・講師間の認識の齟齬を生じさせないために取り組んでいることでもあります。


オンライン授業の恩恵「時間に対する意識強化」

――質問を投げかけて理解度を確認することは、対面の授業と全く変わりませんね。信頼関係という観点でいうと、ヘウレーカでは、生徒・講師間の約束をお互いが誠実に守る文化を大切にしていると思いますが、その点で変化は生じましたか?

生徒・講師共に、今まで以上に時間を意識するようになったことです。教室で指導をしていると、良くも悪くも、時間の融通を利かせることができます。しかし、オンラインの授業では、ルームに入る時間が決まっているので、「この時間までにここまではやらなければならない」という意識が、生徒・講師共に今まで以上に強くなっていると感じています。

――時間の使い方で言うと、特に中学生は、演習中に集中力が低下してパフォーマンスが低下すると勝手に想像していましたが、そのような事は生じていないのでしょうか?

どの生徒もやるべきことをしっかりとやっています。生徒の集中力を継続させるためには、「タイムマネジメント」「やるべきことの明確化」が非常に重要です。演習に対する時間が適切でない場合、例えば、時間が余ってしまったり、なにをすべきか分からない状態になったりすれば、もちろん、生徒の集中力も低下してしまいます。ですから、普段の授業同様、この2つのポイントを押さえることが出来ていれば、オンライン授業だからといって、集中力が低下するということはありません。

オンライン授業開始以前は、生徒がZoomを切っている時に居眠りをした場合の想定もしましたが、今のところ、このような問題は発生していません。もちろん、勉強に前向きな姿勢を持てていない生徒であれば、目の届かない時に遊んでしまうことは十分に考えられます。だからこそ、これまでの授業の過程で、中高生問わず、生徒が学習意欲の高い状態になっていると再認識できました。

自宅学習を充実させるための「スケジュール管理」

ーー講師の目が届かない部分で言うと、自宅学習もありますよね。この点は保護者も非常に気になる部分だと思います。オンライン授業開始に伴い、自習の場所がヘウレーカから自宅に移行した生徒は、自宅でも集中して学習を行えていますか?

現在は、生徒が提出する宿題の質に変化はなく、授業の様子を見ても、自宅学習が疎かになっている様子は見られません。ただ、一部の生徒からは、自宅で集中して学習ができないという相談がありました。

その時は、生徒と一緒に1週間のスケジュール管理を行いました。具体的には、各科目の復習・宿題の所要時間を書き出し、「いつ・どの学習をするのか」を生徒自身がスケジュール帳に記入をしました。そして、次の授業で進捗を確認し、改善策を立てるところまで一緒に考え、スケジュール管理を行いました。

ここで立てたスケジュールが生徒と講師の間で交わされた約束になります。結局のところ、家で自分を律することができるかは、生徒と講師の約束がベースになります。生徒が自分を律することができるくらいの約束を一人一人と交わしていく事が大切であり、我々が常に大切にしていることです。
これまで、自宅学習が大きな問題になっていない要因は、生徒・講師間の約束をお互いに大切にする文化があるからだと感じています。

――前回の記事でちょうど触れたところでしたが、日頃から、自宅での学習内容・学習時間まで踏み込んで指導をしているからこそ、大きな問題に発展していないのだと感じました。ということは、自宅学習(復習・宿題)の質が直結する「学習内容の定着」に関しても特に変化は無いということでしょうか?

今のところ、生徒の定着の様子に変化はありません。これを詳しく説明するに当たり、簡単に、ヘウレーカで定義している保持時間に基づく記憶の分類と、記憶の定着度を確認するためのツールを説明します。

記憶と定着の確認

短期記憶はGmap-c Daily Sheet(※)というシートを活用して、その日の授業で学んだ内容の定着度を授業の最後に測定します。中期記憶は授業の初めに「定着確認テスト」という形で、1週間前の授業で間違えた問題を全て解くことで、1週間前に学んだ内容の記憶の定着度を測定しています。長期記憶は単元テストという形で、2~3ヶ月前に学んだ内容の定着度を測定しています。
※Gmap-cは簡単に言うと、PDCAを回すための仕組みのことで、別記事で紹介予定です。

学習内容の定着度の話に戻ります。短期、中期というレベルでは、オンライン授業だからと言って授業の仕組みを変えたという事は無く、これまで通りに定着度の確認を行っており、定着確認テストの正答率や解答スピードに変化はありません。そういう意味では、オンライン授業への移行前後で、学習内容の定着度に変化は生じていないと言えます。長期記憶に関しては、オンライン授業に移行してからの内容を確認する機会がまだ訪れていない状況で、成果は測定出来ておりません。

定着確認テストに関しては、手元の映像を映せない状況で生徒が問題を解くため、意地悪く考えれば、カンニングが出来る環境であり、そこまでは確認は取れていません。しかし、これについても対処は可能で、先にも話した通り、理解が怪しいものについては質問を投げかけるようにしています。このようにして、対面の授業と同様に、復習の質・定着の質を担保しています。

ーー学習内容の定着についても、今まで通りの運用が出来ているのですね。ここまでの話を通して、私が印象的だったことは、石橋先生の言葉の端々で「オンライン授業だからと言って、変わるところはない。」と仰っていたことです。このような状況下でも、生徒指導の仕組み自体に変化が生じていない理由は、普段から物事の本質に則った指導を行っているからだと感じました。今年度の受験生も益々楽しみですね!本日はお忙しいところ、ありがとうございました!

 

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