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陽だまりの粒

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#女子高生

陽だまりの粒(質)

陽だまりの粒(質)

1990年9月16日(日)

和君、どうして私の顔をみてくれないの?
和君、どうして私と話しをしてくれないの?
和君、どうして黙り込んでいるの?
和君、私といるのがそんなにつまらないの?
ねぇ和君…ねぇ和君…ねぇ和君返事して…和君たら…

咲が車を運転している和彦の左腕を揺すったら
咲の方を振り向いたのは、和彦ではなく里香の元彼であった友治だった。
「やっと俺と付き合う気になったか!!」
友治はそ

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陽だまりの粒(伍)

陽だまりの粒(伍)

だってそうでしょう? - CHU毒

なのに死のうとしてた自分がちっぽけに見えたよ。
なのに人を憎んだ心が狭く感じた。

だってそうでしょう、
思い出はキレイなままじゃない。
だってそうでしょう、
もう忘れたでしょう、あなただって。

あなたと陽気な夢見つけたのよ
あなたと似合った傘感じた

精一杯の恩返し
精一杯の仕返し

なのに泣いて過ごした時間がもったいなくて、
なのに後戻りしてた自分が悲し

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陽だまりの粒 その(肆)

陽だまりの粒 その(肆)

秋の日は釣瓶落としと言われ、9月も半ばに差し掛かると、午後18時の時刻になると太陽が完全に姿を隠し、代わりに夜がやって来る。
十五夜の満月に照らされた、草むらですすきの穂が風で微かに揺れる場を舞台にした、秋の虫達が恋の詩を命の限り奏でている。

「しかし日が落ちるの早くなったな〜」
美彩は咲の部屋のドアを開けるなり、この言葉を口にして部屋に入った。
「夏が来れば暑い暑いと文句を言い、冬が来れば寒い

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陽だまりの粒 その(弐)

陽だまりの粒 その(弐)

咲の日記

「演奏する場所がないと言うから場所を提供してやったらこのザマだ…お前ら世の中舐めすぎなんじゃないのか!!ふざけるなよ!!今日からお前らは全員出入り禁止だからバンド活動したかったら、別の場所を探しな」暴風雨を伴った、強烈な台風が通り過ぎた後のような、機材が散乱した会場の後片付けが終わり、楽器店の店長の強烈なイヤミを言われ、この日のLIVEは何もしないで終わった。「あーぁハードコアはこれが

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