難治性肩こりの精神医学的みかた
こんにちは。「北海道・若手治療家コミュニティ」のハナダハヤトです。
今回は、難治性の肩こりを「精神医学」という視点で見つめ直す試みです。
特に、肩に物が入っているような「異物侵入感」を訴える場合、どんな精神医学的な予備知識を持っておくべきか?についてお話ししていきます。
そして、どんな訴えをする肩こりが、セラピストとして注意が必要なのか?について述べてまいります。
もしよければ最後までお付き合いください。
読み進める上での注意点
ヒステリー球に見る異物侵入感
「ヒステリー球」という疾患があります。別の名を「咽喉頭異常感症」、また漢方や東洋医学の世界では「梅核気(ばいかくき)」ともいいます。
ヒステリー球とは、器質的な問題がないにも関わらず、喉の中で何かが当たるような異物感を訴える疾患で、主にストレスや自律神経のトラブルが原因と考えられています。逆流性食道炎との併発例が多いとする文献も存在します。
呼吸が苦しい感じ
何かモノが喉につかえる感じ
喉の乾燥感
喉の痒み
といった症状があり、中年女性に比較的多く見られます。劇的に改善して治癒するというよりは、長期慢性的に経過しやすい傾向があります。
耳鼻咽喉、脈管、消化器、甲状腺、頚部運動器など、症状を起こし得る関連分野での原因が見つからない場合、「ヒステリー球」として精神科や心療内科の出番となることがあります。
このように、「実際にはない異物を体内に感じる」という現象が事実としてあります。異物侵入感を自発的に起こすシステムが人間には存在するわけです。
逆に、例えば皮膚が腫れたり、喉に錠剤が引っかかったり、爪に血豆ができたりすると違和感を感じますよね?
人間には異物侵入を知らせるアラート機能もあるわけですから、通常は大外れなくその存在を自分に認識させてくれます。
肩こりに関する不可解な訴え
しかし、それを踏まえた上で不可解に思えるのが、「肩の凝り感を、やけにリアルに表現するクライエント」です。
「凝ってる」「張ってる」「固まってる」「重だるい」など、人によって体感しているものやその表現方法は様々です。
どんなに言語化に長けた方であっても、体の不調を表現する際の言葉は、短く、簡素なものであることがほとんどです。
しかし臨床ではまれに、
といったような、明らかに一般的な肩こりのクライエントとは異なる具体性を持って、「異物侵入感」を訴えるケースと出会うことがあります。
さらに、
「それが何年前はこんな大きさだったけど、いついつからこういう大きさに変わって…」
と修飾するフレーズが、尋ねればいくらでも出てくることもあります。
当然ですが、肩にそんな異物が侵入する空間は無いわけです。筋の硬結が、円滑な収縮や滑走の邪魔をしていたとしても、実際に体の中で起きていることと体感していることのズレがあまりに大きいわけです。
こういった訴えを聞いた時に「精神的、心因的問題も影響している」という判断を少なからずセラピストはしていると思います。今回はそこに精神医学の物差しを当ててみようという視点で進めていきます。
体感幻覚
精神医学の知識を借りれば「体感幻覚」という症状がこれに類似します。セラピストとして、この「体感幻覚」について予備知識を持っておくことをお勧めいたします。
体感幻覚についてお伝えする前に、
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