畠中恵

2021年11月の読書記録

 日に日に寒くなってきて、椎名林檎の誕生日を今年も無事お祝いできたなと思ったら今日はもう11月最後の日曜日である。先月に続いて今月読んだ本をまとめておこう。 ①古川日出男『平家物語 犬王の巻』                                    来年この本を原作に、監督・湯浅政明×脚本・野木亜紀子とかいう私が1度でいいからみたいと思っていたタッグが手掛けた映画が公開される。これは原作を読まねばならぬと手に取った。猿楽の家に生まれた異形の子・犬王と、盲目の琵

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みんな麻之助に頼りすぎ~『いわいごと まんまことシリーズ8』(畠中恵)~

畠中恵の「まんまこと」シリーズ第8弾です。題名が『いわいごと』で、表紙が綿帽子をかぶったお嫁さんであることから分かる通り、主人公の麻之助をはじめ、様々な登場人物の縁談がこの巻の主テーマです。 今巻は、近年の畠中作品に稀にみる読みやすさでした。たまたま事故渋滞に巻き込まれたバスの車内で、まとまって読む時間が取れたというのもありますが、3日ほどで完読することができました。 ただ読んでいるうちに、次第に疲れてきました。みんな、麻之助に頼りすぎなのです。町名主の跡取りとして、支配

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特別な体験を読んでみたいあなたへ【推し本紹介】

どうも~千夏です。 今回は「作家の放課後」というエッセイの感想を書きます。 「作家の放課後」とは新潮社の文芸雑誌「yom yom」の編集部によって作られた本で、有名作家たちによってかかれたそれぞれの特別な体験についてまとめられたエッセイ集である。 yom yom編集部の方がそれぞれの作家さんに提案したプロジェクト(?)のようなものを 実際に作家さんが体験してその様子を綴ったというものが多い。 自分がこの本に出会ったのはかつて「yom yom」の表紙を担当していた及川賢治さ

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【オンライン講座】「小説家」への道 ~歴史時代短編書き方講座~

今回のオンライン講座冒頭では、オール讀物新人賞選考委員の安部龍太郎、門井慶喜、畠中恵の三氏からお預かりした、新人賞応募者の皆さまへのメッセージをまず紹介します。 さらに今回から歴史時代小説分野へとリニューアルしたオール讀物新人賞全体の傾向を、編集長からお伝えした後、予選を通過するために必要な小説作法として、 ◆地の文と会話の文体の割合 ◆視点人物のぶれない作り方 ◆エンタメ小説としての書き出し方 ◆枚数に合わせたテーマ選び ◆推敲作業や新人賞応募の際のポイント などを、

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若だんなに、商人の跡取りらしい顔が出てきた~『いちねんかん しゃばけシリーズ19』(畠中恵)~

しゃばけシリーズの19巻目、1年遅れで読みました。 ↑kindle版 18巻目の『てんげんつう』も1年遅れで読んだんですよね。図書館で借りて読んでいるもので、予約してずっと待っていると、こうなってしまいます。ちなみに先月、20巻目の『もういちど』が出ているのですが、これまた読むのは1年後かもしれません(^-^; 今巻では、若だんなの両親が九州に湯治に行ってしまい、その留守を若だんなが預かる1年間が、例のごとく連作短編で描かれます。 時を超えていく妖達に囲まれ、日々はゆ

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ねこのばば:畠中恵:生と死の間に妖怪は生きている

「ねこのばば」(86/2021年) 妖怪と人間がタッグを組んで事件を解決していく「しゃばけ」シリーズ。「茶巾たまご」「花かんざし」「ねこのばば」「産土」「たまやたまや」、タイトルだけ見てるだけで楽しくなってきてしまいます。が、どれも底辺に流れる哀しみ、生きることの残酷な面を微かに感じさせるところがこのシリーズの力強いポイントなんだと思います。 江戸時代、今より人の死は日常だったのでしょう。医学のレベルの問題で仕方ありません。現代社会だと医学によって人は救えること前提で考え

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ぬしさまへ:畠中恵:妙にリアル

「ぬしさまへ」(76/2021年) 超人気シリーズです。第一弾「しゃばけ」ですが、調べたところ10年前、2011年3月9日という日に読んでいたんですよね。あと二日前に、この「妖」に出会っていたとは。不思議なものです。 江戸ものミステリです。妖怪の血を引く若旦那が、自分を取り巻く妖怪たちと共に事件の謎に迫ります。妖怪が出てくる時点で完全なファンタジーのはずなのですが、妙にリアルなんです。江戸という世界観に対する憧憬というか、妄想というか、そんな思いが妖怪という存在と入り混じ

楽しく読みすすめたものの……~『猫君』(畠中恵)~

*この記事は2020年10月のブログの記事を再構成したものです。 畠中さん得意の、江戸時代の妖ものです。とはいえ「しゃばけ」シリーズをはじめ、他の江戸時代の妖ものとは完全別物です。同じキーワードから、別のシリーズをいくつも作れるのはすごい! ↑kindle版 今回の主人公は猫又で、なかなか楽しく読みすすめました。日本史上有名なあの人たちが実は猫又、という設定は、ちょっと面白かったです。隠れテーマとして、「訊きたいことは正面からちゃんと訊こう」というのがあった気がします。

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作品の出来が、安定してきた~『てんげんつう しゃばけシリーズ18』(畠中恵)~

*この記事は2020年9月のブログの記事を再構成したものです。 「しゃばけ」シリーズの18冊目、1年遅れで読みました。 ↑kindle版(*2021年6月24日に発売されます) 私が散々、作品の出来にムラがあると書き続けてきた畠中恵ですが、小説家デビューから約20年にして、去年出版のものぐらいから、ようやく作品の出来が安定してきた気がします。 今回の『てんげんつう』だけでなく、以前レビューした『わが殿』(上下巻)も、よく出来ているので。 今回はどの短編も登場人物が多

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大河ドラマにしてほしい~『わが殿 下』(畠中恵)~

*これは2020年8月のブログの記事を再構成したものです。 『わが殿』下巻、読了しました。 ↑kindle版 上巻の終わりではまだまだ残っていた借金ですが、下巻の割と早い段階でほぼ返済の目途がつき、びっくり。「わしの打ち出の小槌」と殿に呼ばれた七郎右衛門の手腕、半端ないです。 ただ、もちろんそれで終わりではありません。時は幕末、移りゆく世に合わせ、大野藩も西洋のものを取り入れたりして、出費がかさんでいきます。そしてこんなに奮闘しているのに、それに伴う七郎右衛門の出世を

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