戦乱の鋒 −その8−緑のドラゴン

竜の仔の物語 −第四章|三節|−戦乱の鋒
−その8−緑のドラゴン

 レザッドの追跡は、ソレルほどの実力を持ってしてでも困難である。尤も、野でストライダを追跡するということ自体がほとんど無謀ともいえ、それは同類の者にも当て嵌められる。

 「じゃあ、どうやって探すのですか?」ミルマが単純な疑問を投げかけ、師にぎろりと睨まれる。もう一人前なのだから自分で考えるんだ。そんな目つきに彼女は背筋を冷やす。

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ああ、この恩、忘れまじ
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戦乱の鋒 −その7−妖精の国

竜の仔の物語 −第四章|三節|−戦乱の鋒
−その7−妖精の国

 ラウとルグは藪の中に入っていく。肩まである野草を分け入ると、ルーアンにしゃがむよう指示される。言われたように膝を突くと、藪の中に横穴が見える。一見、兎の通り道のようでもあるが、繊細に草を編み込んだ小さな隧道は、その具合からも誰かしらの手が加えられていることは明らかだ。

 「狭いな、入れるかな。」ラウが穴に顔を入れる。ぎゅうぎゅうで

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ベラゴアルドでまた逢おうぞ
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十三大神(オロス・コピオーネ)の誕生

|十三大神《オロス・コピオーネ》とは、光と太陽の女神ラーナと、闇と月の女神リーナの誓いの接吻によって生まれた十三の神々のことである。
 かの神々は、このアラタクシアの基礎を形作る源となったのであり、それ故に|光闇二神《テ・シオラディケー》の次に位階の高い存在として称えられている。
 この神々の生まれた経緯とは次のようなものであったとされる。即ち、この世界を光と闇によって二分割することとした光闇二神

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闇と月の女神リーナ

闇と月の女神リーナは、アラタクシアにおいて、闇に関わる全ての存在を司る女神である。
 かの女神は光と太陽の女神ラーナが始源の女神シャルナの胸元で光る|始源石《プラーツ》より生まれ出た瞬間に、同時に生まれたとされている。そのために三大支神の次に位階の高い光闇二神の一柱として称えられているのである。
 かの女神は頭上に蒼白く光る|月輪《リン》を浮かべており、これは月の象徴であるとされている。また、全身

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光と太陽の女神ラーナ

光と太陽の女神ラーナは、光に関わる全ての物事を司る女神であり、|光闇二神《テ・シオラディケー》として称えられる一柱である。
 この女神は頭上に太陽の光を示す|光輪《ラン》を浮かべ、左手にはあらゆる光に属する存在について記された|光の書《ランビリアーニ》を、そして右手には光の秩序を乱す存在に天罰を加える|光の槍《ランヴォルド》を持ち、足には光でできた靴を履いた姿で描かれる。その顔には常に底知れぬ慈愛

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円環の女神シャナル

円環の女神シャナルは、始源の女神シャルナ、終末の女神ナルシャと並んで、三大支神として称えられる一柱である。
 この女神は女神ナルシャと共に、女神シャナルの「|始源石《プラーツ》」から生まれ出た女神であると言われているが、その地位に大きな差は見られない。
 三大支神はどの女神も等しい地位にあり、その均衡を保ちながら世界を支えているという考え方であるため、そもそも、生まれた順番などから差をつける考え方

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終末の女神ナルシャ

終末の女神ナルシャは、アラタクシアにおいて三大支神として称えられる一柱である。
 この女神は始源の女神シャルナの持つ始源石より生まれ出たと言われる神であるが、始源神シャルナとの差別化が図られることはなく、同列に扱われる場合が多い。
 ただし、女神シャルナを唯一絶対神とするシャルナ教においては、明確に差別化が図られ、女神シャルナよりも一回り小さな姿で女神ナルシャが描かれている場合が多いが、これは例外

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始源の女神シャルナ

始源の女神シャルナは、アラタクシアにおいて、三大支神として称えられる神の内の一柱である。
 かの女神は、アラタクシアにおける全ての始まりを司る存在であり、この女神の許可なくしてはいかなる存在も、アラタクシアの地に生み出されることはないのである。
 女神シャルナの姿は、白い長衣に絹でできた靴という姿でしばしば現される。
 髪は地面に触れるほど長く、色は白銀または白色であり、身体の背面を帳のように覆っ

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ティルドラス公は本日も多忙③ 冬終わる日に人来たる(34)

第七章 結婚政略(その4)

 「私には将来を誓った相手がいる。」少し口ごもりながらも、ティルドラスははっきりとした口調で言い切った。
 「トッツガー家のミレニア公女でございますか。確かに、ミレニア公女を正室に迎えることができるならば、トッツガー家を後ろ盾とすることで伯爵の地位は盤石のものとなりましょう。それはそれで、大いに結構なことと存じます。」
 「私はそんな話をしているのではない!」珍しく語

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