片桐 秋
ただいま連載中。プロモーションムービーはこちらです。 https://youtu.be/m5nsuCQo1l8 主人公アルトゥールが仕えるネフィアル女神は、かつては正義とされていたが、今は復讐の女神という名で呼ばれている。 女神の力は何をもたらすのか。 その裁きは、正義か、それとも復讐か。
『暗黒城の城主』の続編です。 『暗黒城の城主』はこちらのマガジンにまとめてあります。 https://note.com/katagiriaki/m/mc6ecb876a984
私がクリエイティブな生活や創作物のために、日常で考えたこと、見聞きしたことなどを。
漫画家を目指す過程を記録しておくための物です。
『のべるちゃん』て制作した、自作の一本道サウンドノベルや、マルチエンディングのノベルゲームをご紹介します。
けっこう長く掛かってしまったのですが、ようやく完成しました。 初めて漫画を一作完結させて、また一段ステージを登れた気分です。 やれば出来る! そう思えて、自信が付きました。 これがこの最終ページの28枚目です。 TwitterXでは、このようにして固定ポストにしてあります。 ここから全ページを見られますので、よろしければどうぞ。 それでは、今回はここまで。 読んでくださってありがとうございました。また次回の記事もよろしくお願いします。
一行はクレアに連れられて、図書館の離れにある作業場に入っていった。 図書館本館は、クレアの実家のような小貴族の館を思わせる。対照的に離れはもっと簡素で、庶民の暮らすレンガの家の様子に似ていた。 グランシアは、魔術師ギルドの出来事を話した。三人の上位魔術師が病に倒れた。そのうちの一人はグランシアの師匠である、と。 これだけの事が出来るのは、ハイランという名のネフィアル神官をおいて他にはいないと思われるのだ、と。 「ハイラン、聞かない名ね。それほどまでに力ある神官
アントニーは眠りに落ちていった。ヴァンパイアは夢を見ないものだが、寝入りばなに過去を思い出した。 いや、自然と過去が記憶の底から浮かび上がってきた、と言う方が正確だろう。 恐れと無念を呑んで、死んでいった敵兵や騎士、貴族たちの姿がまぶたの裏によみがえる。 私が助けた者と、殺した者、どちらが多いのだろう。 アントニーは思う。救った者の方が多いはずだ。無駄な殺しはしなかったのだ。 だが、殺された側からすれば知った事ではなかろう。 ブルーリアが言った通り、
アルトゥールは、紫水晶の色の瞳の視線をいったん卓上に落としてから、美貌の女魔術師に向け直す。 「本来は、誰かに代償を支払わせた上でなら、それに対して逆恨みしてネフィアルにさらなる報復を願うことは出来ない」 ネフィアル神官としての力を持つ青年は淡々と告げた。意図的に感情を消して、冷淡にも見える態度を示してした。 「しかしハイランがしているのは、正当なる裁きのための手続きとは言えない。だから、もし君が……」 アルトゥールは、そこで言葉を切った。じっとグランシアの反応
「終わったか」 ウィルトンは小さくささやいた。 ウィルトンは自分自身のその声を、我ながら静か過ぎる声だと思った。勝利の雄叫びには、ほど遠いではないか、と。 「はい」 アントニーもまた静かに答える。彼の胸中は複雑であった。 ウィルトンは、盟友の表情から彼の内心を推し測った。何かを言おうとした時、 「ありがとうこざいました、お二人とも」 深い青の髪と黒い肌の妖精は、深々と二人の英雄に向かって頭を下げた。 「何だよブルーリア、急に改まって」 「これでようや
脂の乗った鴨肉の蒸し焼きと根菜類の煮物を食べてから、アルトゥールは二階にある自分の部屋に戻る。 リーシアンはというと、夜の街を自分の定宿に歩いて行った。夜と言ってもまだ早い。街には夕飯を作り食べる明かりと匂いが漂う頃合いだ。 腕に覚えがあるのなら、まだ出歩くのはさほど不用心な振る舞いとも言えない。 まして北の地の戦士は、名の知れた驍勇(ぎょうゆう)なのだ。どんな命知らずが彼を襲撃するというのか。 リーシアンのいる定宿は、アルトゥールのいる宿からさほど離れては
ブルーリアの決意は揺るぎないように見えた。あるいは、復讐の意志、なのだろうか。 ここでアントニーは、深い失望を感じた。ブルーリアに対しての失望ではない。自分がどうしようとも、レドニスとは戦うしかないのだと悟ったからである。 「古王国の時代の私のせいではあるけれど、でもレドニス、あなたはすでに仲間の妖精からの信望をさえも失っている」 アントニーは深いため息をついた。レドニスはおびただしい血を流しながら、にらみつけている。 「私のした事は許される事ではないけれど、あ
「ええ、そうでしょうね」 ジュリアは、それだけを口にした。アルトゥールの、グランシアへの信頼に否は無いようだ。 もっとも、否と言われてもどうしようもない。どうするつもりもなかった。 「さて、二人は戻ってこないようだ。出るか」 「そうね」 ここにいる二人も、カウンターを離れた。そのまま振り返らずに店を出てゆく。背後を何人もが見つめて、あるいは見張っているように感じた。 振り返らなくても、それは感じ取れた。 君たちは、僕らを信じるか? 君たちは、僕を信
「甘いな」 レドニスは薄く笑った。その笑いが今は見えていた。ウィルトンにも、アントニーにも、ブルーリアにも。 跳び上がった瞬間に、彼の姿は再び見えるようになった。ただし、向こう側が透けて見える姿で、ではあるが。 〈冷気〉も魔法による水膜も霧散した。 さらにウィルトンたち三人が驚いたことに、レドニスは空中で、ウィルトンが飛ばした光の刃もこくごとく躱(かわ)してみせた。 宙に浮いたまま、何の足がかりもなく、体を器用に素早く動かす。躱しながらゆっくりとアントニー
創作活動のアイデアをメモする紙のメモ帳を持ち歩くことにした。アイデアは必ず書き留めておいたほうがいいと言う人は多いが、その場合、どんなメモを使うか。 近頃はスマフォで音声録音も多いだろうが、私は昔ながらの紙のメモ帳を持ち歩くことにした。そんなメモ書きから、ブログ記事にまとめてみた。 実はこれはとある人気漫画と、それを原作とするアニメを見て思い付いたことだ。 フィクションにはテーマがあるが、それがはっきりと表に出ている物と、隠しテーマになっている物とがある。(はっ
マガジンにまとめてあります。 《裏通りの店》に戻った。すでに夕闇が迫り始めていた。まだ青い夜の闇と、黄金色が空に見える。東は青い闇、黄金色は西に。太陽はすでに沈んでいた。 ヨレイはいなかった。ロージェもだった。 「無駄足か。すまなかったな聖女様。だけどここの様子を見て、だいたい事情は察してもらえると思う。灰色の世界でしか、生きられない人たちがいるのさ。もちろん、君は知っているだろうが」 「ええ、もちろん知っています。きっと、あなたよりも」 やや、という以上に、ジ
「あの墓は、暗黒神の配下と戦って倒れた妖精だけでなく、他の妖精たちも葬られているのか?」 「いいえ。妖精郷があった頃、この近くにいた者たちだけよ。墓はあちらこちらにあるわ。こんな風に、中が広々とした洞くつに造るの」 ブルーリアは深いため息をついた。嘆きに近い色合いを帯びたため息だった。 「ここは……すでに見捨てられた墓場だわ。あいつが悪さをするから、誰もここに寄り付かなくなったのだと思うの」 「あいつって、この銀の鎧の持ち主だった人間の青年を殺した奴だよな?」 「
それで、アルトゥールは静かに尋ねた。 「ハイランはきっとジェナーシア共和国の法を犯しているだろう。それもかなり。そこを押さえれば、僕たちは法の観点から見て、罪を犯さずには済む」 けれど暗殺を望むのなら。 「僕にはそれは出来ない」 「老婆の願いを叶えるために、ジュリア様がおられる場所にあっしと侵入しなさったのに、ですかい?」 「ああ、そうだな。誰かハイランに復讐を願うのか?」 それなら代償が必要だよ。紫水晶の色の瞳の青年神官は、言外に示した。この場にいる他の三
「ウィルトン、気をつけてくださいね。いざとなれば私は宙を飛びます。私一人なら大した負担にはなりません」 「よし、分かった。ブルーリアは大丈夫なのか?」 「大丈夫よ。私は水に浮くから。決して沈むことはないの。何か特別な呪いでもあれば別だけれど、この水にはそんな魔法も魔術も感じられないわ。だから大丈夫よ」 「そうか、それならよかった」 ウィルトンは振り返らずに返事をした。もう穴のある岩壁の近くまで来ていた。 「少しだけ温かいな、この水は。だけど池に流れ込むと冷めちまう
ロージェはくたびれた上下の服を着ていた。生成りの木綿の下穿きを二重に重ね、上着も同じようにしている。 「ああ、久しぶりだな」 旦那と呼ぶのは止してくれと言ってきたが、もうアルトゥールはそのように口にしなかった。 「さあ、こちらにお座りになってくださいませよ」 ロージェはさっさと先に座る。大きな円卓の周りには、四つの椅子が並んでいる。椅子も円卓も頑丈な木製で、長年の煤がこびりついていた。 煤は、暖炉からも卓上に置かれた獣脂のろうそくからも来るのだろう。 こ
ここのところ暑さのためか、少しバテてしまい、noteの更新も2日ほど休んでしまった。つぶやきくらいは流したほうがよかったのだろうが、それもしないままである。 暑い中の創作活動をどうするのかを考えたが、まあ無理のない範囲でやっていくしかない。 気功体操の一種であるスワイショウは毎日数百回はやっている。TwitterXでは、腕振り気功体操と呼んでいるが。 あとは、あまり冷たい物を取り過ぎないようにしたほうがいいのだろうと思った。毎日冷たいお茶をたくさん飲んでしまうが、常温の