山道で、鳥の声に立ち止まり、ズボンのゴミを払おうとしたら、ゴミではなく蝶でした。 雌のウラギンシジミ。 指先にとまってもらい、破れた翅や、黒い大きな目をじっと見ながら、この蝶が過ごした時間を思いました。 「元気でね」と声をかけ、そっと、風と雨の当たりにくい岩陰に放しました。