続・10月の蝶たち
本稿は10月22日に投稿した『10月の蝶たち』の続編、主に10月の後半になって撮影したチョウに関する報告である。『10月の蝶たち』でも述べたが、寒くなってくるこの時期、蝶たちの動きは春から夏の頃に比べてゆっくりとなり、比較的撮影が容易になる。前回「これからもまだまだシャッターチャンスがあると期待」して筆をおいたのだが、やはり現実は甘くなく、残念ながらそれほど珍しいチョウなどは撮れなかった。私が自然の撮影に通っている白金台の国立科学博物館附属自然教育園を週に1、2回訪れる程度では、なかなかレアな出会いには遭遇できないのかも知れない。
さて、まず本稿冒頭に掲げたのは、荒れ地、河川敷など開けた場所でよく見られるキタテハで、この時期に見かけたからには、このまま成虫として越冬するのかも知れない。秋型は翅(表)の地の色のオレンジが濃くなり美しいが、本格的な冬が到来し、枯葉の中に身を潜める時には翅(裏)の文様がその効果を発揮する。
2番手はヤマトシジミだ。ありふれている、と言ったらそれまでだが、ごく小さく、また、すばしっこいため、実は撮影は難しい。そして、美しい。
3番手はウラギンシジミで、こちらも成虫で越冬することが知られている。葉の裏などに留まって越冬するらしいが、翅(裏)が真っ白なのは、この葉の裏に潜むときの為(の擬態)なのかも知れない。
最後はアオスジアゲハだが、温暖化のせいか、10月も最後の29日にもなって元気に飛び回っている姿を見られるのは驚きだ。もともとチョウの中でも屈指の飛翔力を誇るアオスジアゲハだが、その飛ぶ姿は健在だ。ただし、この時期餌となるのはアザミの花なので、高所を飛び回っていた春から夏に比べると格段に撮影しやすい。
ところでアオスジアゲハが成虫で越冬することなんてあるのだろうか?もし越冬しないのであれば、この時期のアオスジアゲハの姿は最後の命の輝きである。
健気にも寒い冬を成虫として越冬する蝶たち、そして晩秋に命の最後の輝きを見せる蝶たち、その魅力は尽きることがない。
【以上、『随想自然』第23話】
(インスタグラムhttps://www.instagram.com/angelwingsessay2015/で、主に東京都心で見れる自然の写真を紹介しています。)
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