水円 岳

あらかんの怠け者のおっさんです。俳句から超長編小説まであらゆる文章を書きます。恥も冷や…

水円 岳

あらかんの怠け者のおっさんです。俳句から超長編小説まであらゆる文章を書きます。恥も冷や汗もかきますが、デリカシーにはかけます。作話は画像連想式です。

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  • てぃくる

    長編小説『ぐりーんふぃんがーずくらぶ日誌』の幕間繋ぎ用に書き連ねてきた小ネタ集を、独立させました。画像と短い文章の組み合わせ。内容は雑多です。

  • アナウンス&作品紹介

    自作小説の新作アナウンス、公開済み作品の紹介などをつらつらと。

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せるふ いんとろだくしょん ……てか?

 えーと。水円 岳と申します。  せるふ・いんとろだくしょんをぶちかましておこうと思います。 せ 性格は明るいと思いますが、怠け者で、気は利きません。 る るっくすは年齢相応のおっさん……というか爺さんです。 ふ 服装を考えるのが面倒なので、年中同じような格好をしています。 いん 印象的なものを見たり、聴いたり、感じたりするのは好きです。 と とにかくいろんな文章を書き散らします。超短文から超長編までなんでもござれ。 ろ 老化してきたなあという実感はあります。特に

    • てぃくる 1005 山椒が小粒でちっとも辛くない

      【身内から出た賛美】  実績がないものほど、同族のよいしょに頼るということ。 【薮だから坊主】  薮医者にかかってしまったら、結局坊主の世話になる。 【酒に交われば赤くなる】  下戸でねえ……。 【厚物に懲りて生足を拭く】  さすがにもう毛糸のパンツはないでしょ。蒸れるよ。 【蔕の横が好き】  蔕のところは硬いから嫌だってやつが多くてよ。そこがうまいのに。 【待てよ 懐炉の日和あり?】  いくら寒がりでも、そろそろ暖房器具を片付けましょう。 【雀のお涙頂戴】  戸

      • てぃくる 1004 白い蝶が飛ぶ

         俺たちの蝶は紫色と相場が決まっている。バイオレットというくらいだからな。だが、中には白い蝶を飛ばすやつがいるんだよ。  顔がなまっ白い蝶なんざ願い下げだが、だからと言って呼吸困難で紫色になられても困る。白い蝶禁止令が出ているわけじゃなし。目くじらを立てない方がいいんだろう。  ただ、菫色という表現だけは使わないでくれ。たとえあんたが菫であってもだ。わかったか!  なんか、普通のスミレが彼らを見てぶつくさ言ってますが。白地にほんの少し紫色の筋が入ったアリアケスミレの花は

        • てぃくる 1003 わさわさ

           クスノキの新芽が一際鮮やかです。  今年は三月下旬から四月頭にかけて平年以上に気温が高かったせいか、常緑樹の開葉も早いように思います。芽が開いたかと思ったら、次の瞬間にはわさわさと大盛り。もうちょいゆっくり時を進めて欲しいんですけど。  勢いのある新葉に目を奪われますが、樹下には古い葉が一面に散り敷いています。常葉のイメージが強いクスノキですが、葉はきっちり一年で入れ替わるんです。落葉樹のような裸木になる期間がないだけなんですね。  クスノキは成長が早く、あっという間

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          てぃくる 1002 じじいが偉そうに!

          「白髪頭のじじいが、俺らを見下ろして偉そうにしてるな」 「しっ! 余計なことは言わんでいい。放っとけばすぐに禿げる」  いや、あんたらもじきにじじいになるし、禿げるんだけどな。  セイヨウタンポポがてんこ盛りに咲いています。職場構内ではカンサイタンポポと棲み分けているような印象が強いですね。もっとも二者の雑種もあるそうなので、真偽のほどはわかりませんが。今のところ、セイヨウタンポポと同じ外来種で種子が赤いアカミタンポポはまだ侵入していないようです。  なんにせよ、黄色い坊

          てぃくる 1002 じじいが偉そうに!

          てぃくる 1001 雑巾は洗ってから干しましょう

          雑巾は洗ってから干しましょう 誰が雑巾やねん! ぼけえっ!  さすがに雑巾呼ばわりはかわいそうかもしれませんが、決してきれいではないものがいっぱいぶら下がっています。  ナラガシワの雄花です。風媒花なんですが、あまり遠くに花粉が飛ばないようで、近くにもう一本くらい生えてないとなかなか結実しないみたい。モップにしてはなかなかデリケートです。 誰がモップやねん! ぼけえっ! 美醜を問わず花は咲く 君は? (2023-04-13)

          てぃくる 1001 雑巾は洗ってから干しましょう

          在庫整理再開

           創作大賞応募用の短編二編をアップし終わったので、別館のてぃくるの在庫を少しだけ引越しさせようと思います。さっさと本編再開しろよと言われそうですが、なかなかハードな便秘になってしまいました。スランプに陥った作家さんの気持ちがよーくわかります。 # あくまでも気持ちだけですが。ええ。  本館(いまじなりぃ*ふぁーむ)の方は、『永遠の野原』連載が順調に続いています。短編書き継ぎのスタイルはやはり手掛けやすいですね。でも在庫が少なくなってきたので、がんばってお弁当作らなきゃ。ひい

          在庫整理再開

          渡し守 最終話

          【最終話】 川を渡る  のぞみさんは、弄んでいた私の右手を胸のところに抱え込んで、じっとしていた。私は闇の中でぼんやりと考え込む。時間……ってなんだろう? 考えてみれば、今までは携帯端末が示す電光掲示だけが時間の動きを表していたな。  何一つ変化がなくて、ひたすらたゆたう川の流れと対岸の花園を見つめるだけの毎日だったけれど、その状況に疑問を持ったことも、待ちぼうけが辛いと思ったこともなかった。誰かが来るのを待つことと、来た人を舟に乗せて川を渡すことだけが私に課せられた役割で

          渡し守 最終話

          渡し守 第七話

          【第七話】 夜  川面に吹き渡っていた風の勢いが衰えた。青空が覗いて明るかった空は、今度は一転して暗くなっていった。雲がさしかかってきたせいではない。全天が少しずつ光を失い、辺りがゆっくりと闇に包まれていく。私にとって初めての夜。自分が闇に沈み融け込んでいくのを、とても不思議な気持ちで味わっていた。突然、横で大きな声が響いた。 「怖い!」 「え?」 「何も見えない。何も聞こえない。何もない!」 「そうですか?」  のぞみさんが、私の胸にしがみついてくる。私は腕をのぞみさ

          渡し守 第七話

          渡し守 第六話

          【第六話】 夢  のぞみさんの説明を聞いて、やっと自分の置かれた状況を少し理解することができた。なるほど。私が存在し続けてるっていうのも、今はとても奇妙なわけね。うん、それじゃあ……。 「のぞみさん、私はとても不思議な気持ちです」 「え?」  のぞみさんが、顔を上げて私を見た。 「だってね。神納さんがこのプログラムを作るにあたって、私に感情を与える必要はどこにもなかったはず。死に臨む人の心に余計な波風を立てないように、私は機械のようにただ淡々とそれらの人の手を引いて、

          渡し守 第六話

          渡し守 第五話

          【第五話】 告白  どのくらいぼんやりし続けていたのか分からない。胸ポケットに入れておいた携帯が鳴動して我に返った。お母さんからメールが入っている。 『時間がなくなってきました。渡しの準備をお願いします』  そうか。今まで渡しの前にこんなに時間を食ったことはなかったからな。催促されるのは初めてだ。ゆっくり立ち上がって、のぞみさんに近付く。 「のぞみさん、ボスから伝言です。そろそろ時間切れのようです。舟に乗ってください」  のぞみさんは顔を上げて、私を見た。深い影。底

          渡し守 第五話

          渡し守 第四話

          【第四話】 思い出す  舟に揺られてぼんやりしていたら、土手の上にいたのぞみさんに突然声を掛けられた。 「わたるさん、ちょっといい?」 「なんですか?」  起き上がって舟から岸に飛び降り、土手を駆け上がる。 「あのね。ちょっと教えて欲しいことがあるの」 「なんでしょう?」 「あなたがこれまで向こう岸に運んだ人たちの、正確な人数が知りたい」  シャツの胸ポケットから携帯を取り出す。カウンターモードにして、これまでの累計を表示させた。 「ええと、1204人ですね。あな

          渡し守 第四話

          渡し守 第三話

          【第三話】 違和感  それからどれくらい時間が経ったのだろう。私は相変わらず水面をぼんやり眺めていた。突然、のぞみさんに尋ねられた。 「ねえ、わたるさん、ここって日が沈まないの?」 「日が沈むって? なんですか、それ?」 「……。夜は来ないの?」 「うーん、夜っていうのがどんなものか分からないから」 「昼夜がないって……。もしかして、季節もないの? 花が咲いてるから春だと思ってたんだけど」 「さあ。季節がどういうものかも、私には分かりません」  いろいろ変わったことを気

          渡し守 第三話

          渡し守 第二話

          【第二話】 少女  今日も、いつものように薄曇りの天気。風もない。川はいつもと変わらずにゆったりと流れている。ここ数日は誰も来ない。渡しの仕事はない。正直、とても退屈だ。土手に腰を下ろして対岸を所在なく眺めていたら、背後からぽんと声をかけられた。 「お兄さん」  おや、珍しい。どのお客さんも穏やかで覇気のない声しか出さないのに、声がとても明るい。振り返ると、十六、七歳くらいの女の子が屈託のない笑顔で私を見下ろしていた。ぽちゃっとした丸顔で、目がぱっちり、くりくりっとして

          渡し守 第二話

          渡し守 あらすじ / 第一話

          ** あらすじ **  大河のほとりで来ない客を暇そうに待っている長身男性の渡し守。そこに一人の少女がやってきます。他の客と同じように川を渡してくれと言うのかと思えば、彼女の興味は川と渡し守に向けられます。暇なので彼女の探索に付き合うことにした渡し守でしたが、彼女が次々に指摘する違和感は渡し守にはちっとも理解できません。その後意気消沈して黙り込んでしまった少女が、思いがけない告白を始めます。 【第一話】 渡し守  今日も天気は薄曇り。風もない。川は、流れているのかどうか

          渡し守 あらすじ / 第一話

          もういっちょ

           創作大賞用に『木漏れ日』をアップしましたが、内容的にオールカテゴリ部門にしか置きようがないんですよね。他の部門にもエントリーしてみたいので、初期作の『渡し守』をアップすることにします。文量は規定下限ぎりぎりの二万字ほど。私の最初期作になります。散文を書き始めたばかりの頃の作品で、元々はサウンドノベルのシナリオとして編んだものなのでかなり癖があります。ご容赦ください。  内容についてはあらすじをお読みいただければ。登場人物が極めて少ない、とても特殊なお話です。ファンタジー部

          もういっちょ