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てぃくる 1026 こころのかたち

「こころに形ってのがあると思うかい?」
「さあ。俺はそんなものないと思うがな」

「私も、こころに形があって欲しくはない。変幻自在ってのが理想だよ」
「今は違うのか?」

「違うね。形がないのは不便だと言って、型にはめたがるやつがとんでもなく多いんだ」
「型になんかはまらんだろ」

「もちろんだよ。こころってのは入れる型に必ずしもなじんではくれない。そうすると、無理やり型にはめようとしてこころを切り刻もうとするやつがいるのさ」
「……」

「自分のをそうするならまだしも、人のをね」



 こぼした牛乳みたいのが地面に張り付いていますが。これはロウタケというきのこです。
 ロウタケには定まった形がありません。きのこを出そうとしたところにあるものの表面に張り付いて、様々な姿を見せます。

 おっと。気をつけなければ。そう、ロウタケにも形はあるんですよ。形が定まっていないだけ。水や空気のようにそもそも形を持たないものとは根本的に違うのです。

 こころというものも、それに近いんじゃないでしょうかね。


長梅雨や 行き場のない虫とわたし

(2023-07-01)

Shape Of Things To Come by George Benson

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