見出し画像

ホテル街の憂鬱

祖父母の家の近くにホテルがあった。
そのホテルはピンクの壁でお城みたいで、
夜になると青いレーザーが空に浮かび、
周りに何もないので大きなホテルの存在感だけを盛大に浴びた。

何歳か忘れたが小学校に入る前、祖母と家の近くをよく散歩した。
公園やコンビニ、住宅街を歩き、当然ホテルの前を通った。

私「今度ここにみんなで泊まろう!」
幼い頃旅行にたくさん連れて行ってもらったため、ホテルや旅館には馴染みがあった。
それにピンクでかわいいし。
祖母も"いいね!"と言ってくれると思った。

祖母「ここはね、家族で泊まるところ
   じゃないんだよ〜。」
その時はそうなんだ〜と言ってホテルの前を通り過ぎた。
大学生になって、祖父母の家に泊まりに行き、家から大きなホテルを眺めたとき、最大級の気まずさを1人で感じることになる。

冒頭で勘づかれた方、お待たせしました。

そのホテルはラブホテルでした。

おはようございます。こんにちは。こんばんは。
大人になってから知ることが多くて、
逆に大人になっても知らないことが多くて
困ることがあります。
住宅街にホテルなんか作るなよって今になって思う。
かといって、ホテル街に2回ほど入ってしまったこともある。
ため息が出るくらい、ホテル街を横切るだけで気持ちが沈む。

ホテル街に敏感になったのは、彼の罠でもある。

私にメンヘラの面を見出した彼のせい。
2回ほどホテル街に入ってしまったのは同じ彼と。
当時はどういう建物なのかわからなかったから、ついて行ったらそういう感じだった。
いつか見た大きなホテルを思い出す。
"家族で泊まらないホテル"に自分が足を踏み入れる日が来るとは思わなかった。

もう少し言ってしまえば、
いつも外で会いたかったし、
ここに来なくても幸せな2人でいたかった。
でも、感情に流される、かわいい女にもなってみたかった。
なれなかったから、私は1人、自宅にいる。

あなたのことを嫌でも思い出す。
ホテル街の憂鬱。

それでは。
見つけてくださり、読んでくださり、ありがとうございました。

#日記 #コラム #エッセイ #毎日note
#思い出 #子ども #恋愛 #憂鬱 #大学生
#過去 #メンヘラ #メンヘラ女子 #大人
#ホテル #アダルト #散歩 #ピンク #ラブホテル #失恋 #スキしてみて #思春期 #多感

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?