最高の作家による裏切りの展開
週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。
2008年10月23日に投稿したブログより。
皆さんならどうでしょう。
物凄く好きだったシリーズが、たとえばスター・ウォーズのようなサーガもののシリーズが完結し、もう再びあの世界観には浸れないだろうと嘆いていたら、その新刊が出るという喜び。
喜び勇んでようやく手に入れたら、何と洋物なのに、今度の舞台は日本。
しかも主人公の職業は戦争の英雄でありスナイパーであるのに、今度扱う武器は刀。
かつての戦争で、敵味方に分かれて戦った父を持つ相手が、形見の刀を探していると、ある日主人公を訪ねてくる。そしてそれを見つけ出した主人公は、同じような父を持つその相手に渡すべく日本へ。そして、そこで事件が起こる。
ストーリー自体はオーソドックスだし、別にそれほどおかしなものではないです。
ところが、一つここで大きな誤算が。
私が日本人であるということ。
おそらく本国の人間がこれを読んでも、キル・ビルを観て、あー面白かったという程度で済むと思うのですが、本家の日本人としては、ちょっと待てと言いたくなってしまいます。
そもそもは、筆を折っていたこの作家、米国の映画界はもうダメだと嘆いていたところに、山田洋次のたそがれ清兵衛を観て、モチベーションが上がりまくり、にわかサムライファンとして、我々の英雄を主人公に書き上げてしまったという話。
とにかく、日本人がひたすら「サムライだから」「サムライだから」と五月蝿いです。
このとち狂ってしまったかつての偉大な作家によると、日本ではAV女優が演技をするのも何故ならば彼女らは「肉体を武器とするサムライだから」なんだそうです。
もんのっ凄く期待していたものが、ここまでひどく裏切られるということは、特に読書においては初めてかもしれません。
また、訳が酷すぎる・・・。
原書はどうであろうと、せっかく日本が舞台の小説になっているのだから、人に飲み物すすめるのに「サケでも飲みませんか」って文章はないだろうに・・・。魚じゃないんだから。
ミスプロットによる駄作感と、ダメダメな訳の相乗効果で、近年稀に見る気持ちの悪さというか、読んで落ち着かない小説になっています。
まだ、読み途中なのですが、果たして最後までたどり着けるのだろうか。日本以外の描写は相変わらずいい感じなんですけどねー。
アメリカ住んでいた時、「お前のお父さんニンジャか?」って真顔で訊いてきた現地の同級生たちと同じレベルの小説です。
海の向こうの巨匠の間違った価値観によって描かれる、極採色の現代ニッポンチャンバラストーリー。
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