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かみさま、もうそれくらいにしてあげてください

かみさま、お願い。
これ以上彼をいじめないであげてください。

だって、十分じゃないか。

夜勤も、連勤シフトも、ダブルワークも。
こんなに頑張っているのに。なのに社員が飛んで、負担がまた増えた。

頑張っている人が、きちんと報われる世界にするって約束じゃないの?

「ごめん。ほんとうにごめん。すぐいくね。」

約束の時刻を1時間過ぎても、既読にならないので
電話をかけたら、ものすごい勢いで懺悔された。

君が事故に遭ってなくて、ほっとしたよ。

音楽スタジオで働く恋人は、昼も夜も関係ない。
不規則な生活、しょうがなしに廃れたご飯。

誰かが飛んだり跳ねたりするのは、日常茶飯事で
その度にフリーターの恋人へ皺寄せがまわる。

なのに、変わらず最低賃金なもんだから、恋人は塾のバイトも始めた。生きるために。必死だ。

それでも恋人は、私の休みに合わせて、明るい時間からお外のデートだってしてくれる。

1日でも休みが被ったら、喜んで、泊まりに来てくれる。

だから、遅刻も、寝坊も、もうどうだって良いよ。
十分過ぎるくらいの愛情で溢れているから、もういちいち悲しくなったりしないんだ。

そんなことよりも、君が少しでも笑って、健やかに、楽しく生きてくれていたら。

だから、今はせめて、この腕の中で眠って。
束の間の楽園を、私は守り続けると誓うよ。

もう、あんまり無理せず、責任を感じ過ぎず。
君は、十分過ぎるくらい頑張っているんだから。

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