電話越しの君の顔

私たちは、声から恋に落ちた。

心地よく響き渡るチェロのような低音ボイスと、
きらりと光るワードセンス、優しさ溢れる語尾に
あの日からずっと虜で。

今日も電話できるかな？？
付き合う前は、そんなことばかり考えてたっけ。

君も同じだったなんてね。

北海道由来のゆるゆるの喋り方と、ちょっと高め
のふわふわ声を聞いた時、本物のお嬢様だなんて
思ってくれたらしい。照れちゃうなぁ。

画面いっぱいに耳を近づけて、少しでも近くで、
その愛おしい声を聴いていたいと思ってしまう。

この向こうで、どんな顔をしているのだろう。

異性の友達との電話禁止！

嫌われたくないから全肯定ばかりしていた君が、
最近、ちょっとずつ嫌なことを、教えてくれるようになった。

男友達の多い私は、君の本音に気付かないフリを
して自由気ままに呑みや電話を繰り返していて。

身勝手な彼女でごめん。逆の立場だったら、
不安で不安で、たまらないって分かってたのに。

ちゃんと嫌だと言葉にしてくれて、ありがとね。
9ヶ月目にして、初めて明確なルールができた。

これからは俺からいっぱい電話かけるから！

付き合いたての頃は、毎晩電話をしていたのに、
いつしか電話のデの字もなくなった。

2人の生活リズムが違いすぎて、気を遣いあって
「電話しよ？」の一言が言い出せなかったね。

これからは、好きな人の前では、どんな時も1番
素直になって、愛おしい電話タイムを再構築していこうね。

これからの人生、電話越しに聞こえる君の声で
何万回も、恋に落ちていくのだと思う。

あの日の私と同じように。