開け!眼!
「お前、また見て見ぬふりするつもりか?」
好きな人ができると、途端に視野が狭くなる癖、
誰か、私をぶん殴ってください。
この身体で何度も学んだくせに、次こそはって、
頭では分かっているのに、どうしても駄目で。
盲目になればなるほど「恋」って実感できたけど
その楽しさは、いつも、ほんの最初だけ。
小さな疑念や不安に、何度も目をつぶって、
楽しかった思い出と、昔言われた“スキ”ばかりを
掻き集め、何度も温め直す。
とっくの昔に、腐ってたなんて。滑稽な。
「なぁ、今度こそ気をつけろよ」
私の恋の顛末を、いつも隣で見てきた彼女は、
電話する度に、こうやって釘を刺してくる。
ねぇ聞いて。今度こそ、本当に大丈夫みたい。
「もっと安心してもらえるように頑張るね」
誰かみたいに、怒ったり、逃げたりしない。
私の不安や葛藤を、一緒に背負ってくれるから。
「ごめんね。すごく返信遅くなっちゃった」
自分から、素直に謝ってくれるなんて、初めて。
目を瞑る暇もないくらい、毎日が煌めくのです。
綺麗な景色も、可愛い笑顔も、悲しみだって、
全部この目に焼き付けたいから。
見ないフリをして、また後悔するくらいなら、
今度は、全部見た上で、それでも好きなんだと、
誇り高く胸を張りたいの。
どんとこい、現実。待ってろ、この顛末。
また盲目になりそうだったら、ビンタしてよね。
任せた。
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