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ガクモン言葉の島で笑って

2人以上で、新しい社会が生まれる。

社会には、彼らにしか通じない規範があって、
言語も、文化も、立ち振る舞いも、社会の中で、
次々に創造されていく。

どんな社会を創り出すかは、いつも私達次第だ。

尊敬しているゼミの教授が、講義の中で、
口を酸っぱくしながら、社会の定義を説く。

ゼミも、1つの社会だ。

全員が違うテーマで2年間、個々に研究を進め
深く深く掘り下げて、卒業論文を完成させる。

「ねぇ、野枝的にはどう思う?」
アナーキスト・伊藤野枝研究の子に問いかける。

「待って、もうポトラッチ始まっちゃうよ」
交換論を学ぶ私に、同期がジャブを打ってくる。

「大丈夫。ぜーんぶ包摂していこうな」
ネパールのヒエラルキーを研究する彼を励ます。

私達は、研究している理論や、対象なんかを、
スキマいっぱい散りばめながら、会話を進める。

学問を深める私達にしか通じない言葉を、
みんなと一緒に歩んだからこそ使える言葉を、
そんなガクモン言葉を、緻密に織り交ぜる。

この暗号は、全員の研究を把握しなければ、
決して成立しないように、編み込まれていく。

だから、ガクモン言葉は、君のおもろい研究を
心から尊敬している暗号みたいなものなんだ。

真面目なゼミ中には決して伝えきれない程の、
研究している本人が気づいていない位の、
小さく、細かく、深く、高いガクモン言葉達。

これからも、そんなガクモン言葉を散りばめて、
研究への尊敬を基盤とした暖かく逞しい社会が、
豊かに醸成されていきますように。

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