後篇・第五章「鄭説の概要」
儒教の最高神―昊天上帝 ここまで、鄭玄の学問に焦点を当てて、基礎作業、解釈方法、その理念と実践を解説してきました。この本書の構成を見てみなさまがどうお感じになられたのか分かりませんが、実は学界で一般的に「鄭説の解説」と言われた時に想像されるメジャーどころの内容を、まだほとんど説明していません。むしろ、ここまで取り上げてきた「君子謂衆賢也」「留車・反馬の礼」「含・襚・賵・賻」「三者同制説」といった事柄は、歴代の議論ではあまり注目されておらず、どれも鄭玄の思考を見る例として(筆者