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ぐん税ニュースレター vol.25 page06 -広報の部屋から-

皆さんは広報と聞くとどんな活動を想像しますか?
社内外の通知・告知書類の作成、広報誌の作成、営業用チラシの作成、広告の作成、メディア・取材対応などでしょうか。全て正解です。全て正解ですが、メディアやデバイス、アプリなど様々なものが目まぐるしく進化する時代において広報の仕事の幅はどんどん広がっています。ここでは広報について簡単なお話から少し難しいお話まで、様々な視点で解説や考察ができればと思います。

広報とは

広報の意味

堅苦しい話から始まりますが、まず広報の定義とは何でしょうか。広報は英語に訳すとpublic relationsになります。ピンとこないかもしれませんが、この頭文字をとると皆さんがよくご存知のワードになります。そうPRです。ではPRとは何でしょうか。これは直訳するとわかりやすいかもしれません。Public=公衆、relations=関係ですので、公衆つまり企業の外部との関係性を繋ぐ役割のことです。そう考えると広報の仕事の目的が見えてきます。

マーケティング

広報活動における重要な点としてマーケティングがあります。マーケティングもまたよく聞く言葉ですが意味を問われるとぼんやりしてしまう方が多いのではないでしょうか。たしかに、もはやマーケティングという言葉は日本語に置き換えず英語のまま理解している方がほとんどだと思います。マーケティングもまた奥が深く、掘り下げるとキリがなく脱線してしまうため、ここではわかりやすく簡単に理解しておけばOKです。マーケット=市場というのは直訳通りです。ingがついて動名詞となっておりますが市場活動といったところです。つまり市場の動向や顧客ニーズを調査して戦略を練ったり、企業または自社製品の市場におけるポジションを定義したりすることです。

では広報活動においてマーケティングが何故重要なのでしょうか。マーケティングは広報活動の上流にあるものです。上流にあるということはそれが上位の条件になるので、それを無視した広報活動は成果を期待できません。企業は緻密なマーケティング活動を経て自社の製品やサービスを周知させたりイメージアップを図ったりします。したがって広報活動はマーケティング部門が担っている企業も多いです。

広告について考えてみる

広報活動は「企業の外部との関係性を繋ぐ役割」と言ってもその方法は沢山ありますので業務範囲も広くなります。そこで今回は定番の広告について、どんなものがあるのか見てみます。広報=広告という印象が強いですが、広告はあくまで広報活動におけるスタンダードな手段の一つです。ある商品やサービスを売りたい、企業のイメージアップをしたいと考えた時にやみくもに周知させただけでは効果は期待できません。極端な例ですが、新しい女性向け化粧品をPRするために路上で年齢や性別を問わずビラを撒いても効果は薄いのは想像がつくと思います。商品はマーケティング活動に基づいて開発されているはずです。その商品は男性向けなのか女性向けなのか、年齢層はいくつぐらいなのか、どんなイメージの女性に合うのか、などを考えるように広告活動もそういったマーケティングに沿って行わないと効率が悪く、効果も薄くなってしまうのです。
企業がどのようにマーケティングをして広告戦略を練っているのかを考えたうえで広告を見渡すとその意図が見えてきます。いくつかわかりやすい例を見てみましょう。

雑誌広告

例えば年齢層が高めの雑誌には高級腕時計やクレジットカードの広告が入っています。これは企業がその雑誌の読者層は収入や生活も安定しており自社商品のターゲット層とマッチすると考えたからです。少年ジャンプに高級腕時計やクレジットカードの広告を入れても購入や契約に至る読者に割合は低いでしょう。もちろん大人でも少年ジャンプを読んでいる人はいますが発行部数に対して顧客に繋がる打率は低いはずです。

テレビCM

テレビCMではどうでしょうか。また女性向けの化粧品を例にすると桃井かおりがでている化粧品のCMがあったとします(実際ありましたけど)。なぜ企業は桃井かおりをイメージキャラクターに据えたのでしょうか。それは桃井かおりの年代やタレントとしてのイメージやルックスが商品のイメージとマッチしているからです。そして桃井かおりと同じような属性の人たちに向けて効果のある広告手法を選ぶはずです。そう考えると、子供向けのアニメや格闘技番組ではなくお昼~夕方のワイドショーなどの時間帯にCMを入れるはずです。桃井かおりの属性=主婦層が多いと考えるからです。(マーケティングでは年齢、性別、地域、職業、家族構成、収入、趣味などの個人特性のことを「属性」といいます)

チラシ

昔ながら、というと失礼ですがかつて広告と言えば看板か紙に印刷されたチラシがテッパンでした。今回は代表的な新聞折り込みチラシについてです。紙媒体が衰退し新聞を購読している人も減少しているのでお察しいただけると思いますが、折り込みチラシもかなり減りました。私もかつてお客様の広告活動のお手伝いで当時はまだ元気だった折り込みチラシをよく活用していました。元々減少傾向だった新聞がこの10年ほどで減少ペースが加速し同時に折り込みチラシも減少しています。群馬の話になりますが、そのなかで比較的今でも新聞に折り込まれている業種は量販店、住宅、通販系です。
なぜこれらの業種は今でも折り込みチラシという手法が選ばれるのでしょうか。それは地域性や年齢層などの顧客属性と新聞購読者層の特徴とのマッチングが良いからです。
新聞は地域を限定して部数を決定し配布することができます。また若者の新聞離れ(というより紙離れ)もあり購読者は年配の方が多いです。その前提で見てみると、例えばスーパーマーケットは利用するのは基本的に近隣住民で若者よりは家庭を持つ年代、特に年齢層高めが多いです。住宅も遠くの住民よりも近隣の住民の方が購入を検討する人が多く見学会なども実施されますし、ライフプランで見ても年齢層高めの人がターゲットになります。通販はネット通販を想像すると思いますが、ここでは高齢者をターゲットにした補聴器や健康食品などをハガキや電話で申し込む古いスタイルの通販です。広告手段が多い現代においても、こうした背景から企業は今でも折り込みチラシを活用しています。

ラジオCM

少々マイナーかもしれませんが、ラジオCMについて考えてみましょう。馴染みのない方や今時ラジオ?と思う方も多いかもしれませんが我々が住んでいる群馬県は車社会のため多くの人が通勤や休日の移動に車を使い、車内でラジオを聴く人も多いためラジオの聴衆率が高いです。ではどんなラジオCMが多いでしょうか。これまでの話の流れから想像がつくと思いますが、カーディーラーや自動車関連企業のCMが多く流れます。
他県でラジオを聴く機会があまりないのでまた群馬での話になってしまいますが、ラジオは車で聴いている人が多いという前提でCMを流しているのです。カーディーラーは紙媒体の広告を削減している傾向にありますが、今でもラジオCMは頻繁に流しています。車に乗っている人が多い=車を必要としている=自社の車に買い替えてほしい、というシナリオです。CMを流す時間帯も通勤時間帯とされる朝と夕方が最も多いです。もちろんCM料金もこの時間帯は高く設定されています。
話は脱線しますが、新車はまず群馬で売れ、という話を聞いたことがあります。これは群馬が車社会として有名なエピソードの一つで、まずは車を持っている人が多い群馬で車を売って販売を伸ばして市場の反応をみるということでしょうか。この考え方もマーケティングです。
このような視点で広告を見てみると企業の意図が見えて、広告の見方も変わってくるかもしれません。

いかがでしたでしょうか。
まずは広報のなかでも、あえて王道(というか古典的)な広告について極端ではありましたが例を交えて解説してみました。時代の変化とともに広告業界も大きく変わっています。今回は基本の基となる内容でしたがウェブ手法など今後はさまざまな切り口で広報について取り上げていければと思います。

マーケティング担当 原

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