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40半ば独り また出発。
住み慣れたこの関西の地を離れて私はまた新しいところへと旅立つ。
40半ば。独り。人生の折り返し地点にいる。
とても繊細で誠実な人間だった。
いつも熱い気持ちを持っていろんなことに取り組み、いつも人を思いやった。
けれども肉体と精神は空回り。正直言ってしんどい20代だった。
眠れない毎日がずっと続いた。いつも悲しかった。
そして焦っていた。自分の人生はこれでいいのかって。
眠れなくなる
ネパールの幸せ。日本の幸せ。
ネパールで感じ考えたことをゆっくりと消化しながら4年が過ぎた。
忙しい毎日を送りながら、ふとネパールを思い出す。
いつも計画停電で欲しい時に電気がなかった。
それでも朝に灯すろうそくと窓から見えるヒマラヤに昇る朝日を見ると
幸せだった。電気がないからこその幸せ。
かたや、薔薇を育てながら庭の緑を眺めて本を読む日。
あのネパールの日々は懐かしいけれど今も幸せ。
ネパールではそこら中に笑
大家のおばちゃんの思い出
ネパールで暮らした思い出の中でいつも強烈に思い出すのが
私の下の階に住んでいた大家のおばちゃん。
食いしん坊で、わがままで、寂しがりやの大家のおばちゃん。
ベランダの手すりに干してた洗濯物は
帰ってきたらおばちゃんの洗濯物に占領されて
日陰に押しやられてた。
おばちゃんしょっちゅう私の部屋に上がってきては
一時間は喋って帰る。
これはいくらで買ってきたの?たかっ!もっと安してもらわ
どうでもいいネパールの思い出
このステイホームで数年前まで住んでいたネパールの写真をよく見る。
あんなにゴミだらけで雑然としていたのに。
出てくる写真は美しい写真ばかり。
ほとんど手入れも美的景観の計画も何もないのに。
素には勝てんなあ。
新しい靴は一日、いや一時間とてもたなかったなあ。
あっという間に真っ白。
待てど暮らせど来ないバス。来たら満員で息もできない。
そして降りるところで降ろしてーと叫べない私。
初めて書く自分への手紙
雨が降った時の庭。どうしたらこの美しさを切り取れるだろうと思う。
早朝の光を浴びる庭。どうしたらこの光を写しこめるだろうと思う。
コゲラがやってきた賑やかな声が聞こえたら、
必ず手を止める。そして思う。
この喜びをどうやって伝えられるだろう。
心を打つ文章に出会った時、それをどうしたら心にしまえるだろうかと思う。
心にしまった文章がどうしたら自分のうちに生きるだろうと思う。
だんだん