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オホーツク海へ

ついに北の最果てにやって来た。引っ越しが落ち着いて初めての遠出。

道東サロマ湖ワッカ原生花園へとやって来た。サロマ湖は細長い原生花園を挟んでもうそこはオホーツク海。待っていたのはオホーツクブルー。夏の爽やかな風を浴びて浜辺に座る。勇気を出して北海道へと一人で旅立った約一ヶ月前。期待いっぱい胸に抱いてやって来た。今年は例年よりも寒いらしい。7月だというのに足にはレグウオーマー、フリースを引っ掛けてちょうどいい。北海道の人はストーブを焚いているという。さすがに関西ではこの寒さではストーブはつけないな。ちょっとこの感覚がよくわからない。

何はともあれ初めての遠出。朝早く家を出る。途中コンビニであったかいホットコーヒーを調達して!あー最高。私のこれから住む家は私と同い年。築45年。昭和の匂いがぷんぷん漂うゆったりしたおうち。大家さんたち家族が暮らした後がいっぱい残っている。一つの家族の歴史が刻まれた家。そこに私が一人住むことになった。ここは2年間空き家だった。ご主人を亡くした大家の久美子さんが近くに住んでいて冬に凍らないように誰もいないのにストーブを焚きに来ていたそう。北海道に暮らしたいという私と誰か家に住んでほしいと言う二人の願いがなぜか繋がって私はここに暮らすことになった。

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家から一時間ちょっと。海へと辿り着いた。花々が咲き乱れ、鳥がさえずる道。極寒のこの土地で海からの塩分をもろに浴びても可憐に咲く花。束の間の緑あふれる美しい季節に一斉に花開く夏。彼らの力強さはどこから来るのだろうか。誰にも世話されず、凍りつく冬を耐え、どうしてこんなに軽やかに咲いているんだろうか。一人でずっと歩き続ける。ネパールで見た花たち。南の国の高地で彼らは鮮やかだった。咲いてるよーって主張していた。赤いよー!黄色いよー!って。北海道では花はそよそよ咲いている。主張しないで。

鳥の写真を撮っている紳士に出会った。旅行会社の社長さんで世界中を飛び回っている方。そのスケールの大きな方が小さな小鳥に魅了されていた。地元の人が冬の間にクマゲラが木を突く音を聞いている。その時にその木を確かめておいて春、子育ての頃に目星をつけてクマゲラに会いにやってくる。そうやって素晴らしいクマゲラの親子の写真を写しておられた。モンゴルの星空。星が多すぎて北斗七星がどれだかわからないんだそう。そんなことってあるんだろうか!北海道でももう夜空は明るい。モンゴルの草原は真っ暗なんだそうだ。

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長年私の友となってくれた普通のデジカメ。ネパールでもお供してくれた。さえずる鳥に向かって狙いを定めて最大限までズームしてパチリ。帰って来たらこんなにはっきりとノゴマが撮れていた。肉眼ではよく見えなかったのに。

私が住むことになったこの家。広くて明るくて風通しが良くて。何より小さなお庭と畑がついている。カナダやイギリスに住んでいると思ってこれから家を居心地よくしていこう。緑の壁紙を貼ってオホーツクブルーのカーテンをかけて。そして私サイズの可愛い庭。こんな幸せってあっていいのかしら。そう思いながら今日も朝から畑を耕す。



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