***anne***

庭が好きで、旅が好き。面白くてほっとできる、人生が楽になるようなそんな文章が書きたい。

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最近の記事

流氷に出会う

冬の北海道。オホーツク地方。 マイナス20度まで下がる極寒の地。 関西から移住して初めての冬。 毎日ワクワクして今日はどんな日になるんだろうって思ってた。 真っ青な空とキラキラの雪。白樺から差し込む朝日は最高だった。 家の近くには森と公園があってキツネやリスやいろんな鳥たちに出会えた。 寒くってもストーブの温もりは心まで温かくなる。 そんな毎日もすっかり日常と化し旅に出たくなった。 冬の北海道。関西とは違って雪道を運転するのが本当に怖い。 だから思いついたか

    • オホーツク海へ

      ついに北の最果てにやって来た。引っ越しが落ち着いて初めての遠出。 道東サロマ湖ワッカ原生花園へとやって来た。サロマ湖は細長い原生花園を挟んでもうそこはオホーツク海。待っていたのはオホーツクブルー。夏の爽やかな風を浴びて浜辺に座る。勇気を出して北海道へと一人で旅立った約一ヶ月前。期待いっぱい胸に抱いてやって来た。今年は例年よりも寒いらしい。7月だというのに足にはレグウオーマー、フリースを引っ掛けてちょうどいい。北海道の人はストーブを焚いているという。さすがに関西ではこの寒さで

      • 北海道に旅立つ日に

        北海道に旅立つ日がやって来た。コロナのために一ヶ月延期になり移転できるかどうかも不安な日々だった。とはいえこの一ヶ月は恵みの一ヶ月でもあった。人生の中で何もすべきことのない一ヶ月。そうあるものではないと思う。十数年母親が丹精込めて世話して来た庭が最後を惜しむような美しさ。日々、忙しい最中を縫って追われるように葉刈りをし、花柄を取りたくてもとる暇もなく、畑の野菜も植えた後はなかなか見にいってやれない。そんな日々だった。そんな木々をひと枝ひと枝丁寧に伸びたところを刈ってやる。虫が

        • 40半ば独り また出発。

          住み慣れたこの関西の地を離れて私はまた新しいところへと旅立つ。 40半ば。独り。人生の折り返し地点にいる。 とても繊細で誠実な人間だった。 いつも熱い気持ちを持っていろんなことに取り組み、いつも人を思いやった。 けれども肉体と精神は空回り。正直言ってしんどい20代だった。 眠れない毎日がずっと続いた。いつも悲しかった。 そして焦っていた。自分の人生はこれでいいのかって。 眠れなくなるまで頑張ってその時初めて気がついた。 命のために休まないといけない。 休んで

        流氷に出会う

          ネパールの幸せ。日本の幸せ。

          ネパールで感じ考えたことをゆっくりと消化しながら4年が過ぎた。 忙しい毎日を送りながら、ふとネパールを思い出す。 いつも計画停電で欲しい時に電気がなかった。 それでも朝に灯すろうそくと窓から見えるヒマラヤに昇る朝日を見ると 幸せだった。電気がないからこその幸せ。 かたや、薔薇を育てながら庭の緑を眺めて本を読む日。 あのネパールの日々は懐かしいけれど今も幸せ。 ネパールではそこら中に笑いとドキドキが溢れていた。 バスに乗れば、破れたスリッパに絆創膏を貼っているお

          ネパールの幸せ。日本の幸せ。

          大家のおばちゃんの思い出

          ネパールで暮らした思い出の中でいつも強烈に思い出すのが 私の下の階に住んでいた大家のおばちゃん。 食いしん坊で、わがままで、寂しがりやの大家のおばちゃん。 ベランダの手すりに干してた洗濯物は 帰ってきたらおばちゃんの洗濯物に占領されて 日陰に押しやられてた。 おばちゃんしょっちゅう私の部屋に上がってきては 一時間は喋って帰る。 これはいくらで買ってきたの?たかっ!もっと安してもらわな! これは日本でいくらすんの?何に使うもん? 玄関にちょっとのれんみたいな

          大家のおばちゃんの思い出

          どうでもいいネパールの思い出

          このステイホームで数年前まで住んでいたネパールの写真をよく見る。 あんなにゴミだらけで雑然としていたのに。 出てくる写真は美しい写真ばかり。 ほとんど手入れも美的景観の計画も何もないのに。 素には勝てんなあ。 新しい靴は一日、いや一時間とてもたなかったなあ。 あっという間に真っ白。 待てど暮らせど来ないバス。来たら満員で息もできない。 そして降りるところで降ろしてーと叫べない私。 オンボロバスがあの急な坂とカーブをよく持ちこたえていたなあ。 雨の日はバスの

          どうでもいいネパールの思い出

          初めて書く自分への手紙

          雨が降った時の庭。どうしたらこの美しさを切り取れるだろうと思う。 早朝の光を浴びる庭。どうしたらこの光を写しこめるだろうと思う。 コゲラがやってきた賑やかな声が聞こえたら、 必ず手を止める。そして思う。 この喜びをどうやって伝えられるだろう。 心を打つ文章に出会った時、それをどうしたら心にしまえるだろうかと思う。 心にしまった文章がどうしたら自分のうちに生きるだろうと思う。 だんだん歳をとって軽くなってしまったうちの猫が 膝の上でまあるくなって眠っている。

          初めて書く自分への手紙