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地域猫だったおとちゃん

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地域猫時代のおとうさん猫が家猫おとちゃんになるまで
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1おとうさん猫との出会い

1おとうさん猫との出会い

おとうさん猫がウチに遊びに来るようになったのは2020年の11月頃だった。

どこでウワサを聞いたのか
当たり前のようにベランダに座って待っていた。

向かって左側に耳カットが入っていたので男の子だとすぐにわかった。

薄汚れているが、わりと太め。
すごく静かでおっとりしている。
人間に慣れているのか、ひっかいたりシャーも言わない

動じない男らしさが会って、おとうさんみたいだな
と思った。

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2ブーコとタロウ

2ブーコとタロウ

実はおとうさん(猫)が来る一年前からうちに遊びに来ている猫がいる。

サビ猫の親子だ。

このサビ猫親子は地域猫だがMさんというおじいさんがお世話をしている。

一見、外で過ごしているので地域猫だなぁと思うし地域猫なんだが
もうMさんちの猫という認識でいいだろう。

Mさんちの庭には二匹の素敵な小屋もあるし
暑い日や寒い日は家に入れてもらえるし
毎朝一緒に散歩をするらしいし
なによりいつも庭でくつ

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3お互いに気にいらない

3お互いに気にいらない

いつかバッタリと出会ってしまうだろうと思っていた。

もともとブーコ(おかあさん)がウチに来ていたんだし、ブーコの縄張りだ。
Mさんちの猫だと言ったって関係ない。

おとうさんからすれば、新しく見つけた縄張りで
お気に入りの場所になろうとしている。

だって美味しいご飯がでてくるんだから。

二、三日はうまく時間がずれていて顔を合わさなかったが

ついに対面することになった。

おかあさんはとても

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4お互いに気にいらない②

4お互いに気にいらない②

今まで何を言われても
目を瞑り、顔をそむけ、じっとその場で我慢していたおとうさんだったが、だんだん腹がたってきた。
少しでも動こうもんならおかあさんが「うごくなぁぁぁぁ」と喚き散らす。

おとなしい優しいおとうさんを苛立たせるなんて。

それだけおかあさんはしつこくうるさい。

おとうさんの声がだんだんと低くなりケンカ口調になってきた。

この二人を見ていると人間の夫婦を見ているみたいだ。
夫が優

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5対面してからの二人

5対面してからの二人

おとうさんとおかあさんが出会った。

あれから二人は
“どっちが先にここに来るか”
みたいな
そんな競争をしていた。

おかあさんはわかりやすくベランダの塀から外を見渡す。

「私が先に来てるんだから居る間は来ないでね」

そう言っているようだった。

対するおとうさんはというと
おかあさんのことが気に入っていた。

おかあさんのことを可愛いと思ってるのか
場所というよりおかあさんに会いに来ていた

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6地域猫か放し飼い猫か

6地域猫か放し飼い猫か

おとうさんと出会ってから
いつか家族になりたいと思うようになった。

こんなに懐っこくて、愛らしい子がひとりで外にいるなんて。
だったら私が大切にしたいと思った。

でも、おとうさんは本当に地域猫なんだろうか。
本当にひとりぼっち?

もしかしたら、Mさんみたいな人がブーコ(おかあさん)のように放し飼いにしてるのかもしれない。
だって夜になったらどこかに帰っていくし、なによりわがままボディだ。

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7おとうさんは地域猫

7おとうさんは地域猫

地域猫なのか、放し飼いの猫なのか
しばらくはわからないまま。
だけど毎日会いに来てくれるおとうさんを愛しく感じ、私を必要だと言ってくれているようで
私も日々を頑張ることができた。

あるとき、おとうさんがあくびをした。

片方の犬歯がない。
他の歯も少ないような気がする。

実はとてもお年寄りなのか
若いけれど歯磨きをしてないせいで歯が悪くなったのか
ケンカで歯が折れたのか

わからない。

だけ

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8今の私がおとうさんにできること①

8今の私がおとうさんにできること①

ペット可の住宅に引っ越すまで家族に迎えられない。
早くても引っ越すのは一年半後だ。

これには理由があって

息子が中学受験に挑戦していること

これが一番の理由だ。

中学受験をして目指している学校に行く。
目標を持って行動する息子は立派だ。

家や場所にとらわれずに身軽に行動できるように
イジメがあって苦しい時に家のローンを気にせず引っ越せるように

そんな理由で賃貸物件を選んだ。

今の物件

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9今の私がおとうさんにできること②

9今の私がおとうさんにできること②

今は一緒に暮らせない。だったら今の私にできることをする。

まずはご飯。
カリカリじゃなくてウェットタイプのツナみたいなやつをたくさん買った。

おとうさんは歯が少ないからだ。

食べやすいものをたくさん食べてもらおう。
せめて食事くらいお腹いっぱい楽しめたらいい。

地域猫だからってなんでも食べるわけじゃない。
ウェットタイプのものでも味が違うらしく、気に入らないものは食べない。
有名なメーカー

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10猫に嫌われた時の話

10猫に嫌われた時の話

おとうさんは地域猫だ。
本当なら耳の中を掃除して、シャンプーして、お薬を付けて、ブラッシングをして
ノミ・ダニの煩わしさから解放してあげたい。
ふわっふわにしたい。

私はできることとして
ノミ・ダニ駆除薬とブラッシングをすることにした。

今は当たり前のようにブラッシングを堪能してから部屋に入り、身体をコロコロされながら喉を鳴らし好きなだけ甘えてご飯を食べてから帰るおとうさんだが

ブラッシング

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11返事をするようになった猫

11返事をするようになった猫

おとうさんは静かだ。
私とはじめて出会ったときも、おかあさん(ブーコ)にキレられて嫌な気持ちになってもなかなか声を出さない。

一生懸命に敵じゃないよ大好きだよ
とまばたきをしてくれる。

静かすぎて、ベランダに来ていても気づかない。

「ご飯ちょうだい」

なんて言わずにただじっと扉が開くのを待ち続けている。
たまに帰る音がして、来ていたことに気づくなんてこともある。

そんなおとうさんは最近返

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12部屋に入れない猫

12部屋に入れない猫

最近おとうさんは部屋に入れない。
なぜなら息子が塾のオンライン授業をうけているからだ。

おとうさんが部屋に入ると
とにかく尻をとんとんしてほしくて

私は「ほらっとんとん!おとうさん気持ちいいかー?」
とお祭り騒ぎで尻を叩く。

それはもう強ければ強いほど喜んで
腰を低くしすぎて転がって
「キャッキャッキャッ」
と言う。

とにかく騒がしくしてしまうので、真面目に勉強してる息子のジャマになる。

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13ちゅ~るを覚えた地域猫

13ちゅ~るを覚えた地域猫

今日は、おとうさんがちゅ~るを初めて食べた日の話。

私は準備が整う日が来たらおとうさんを家族に迎えるつもりだから
おとうさんを抱っこ好きな猫ちゃんにしよう

と思った。

おとうさんはおとなしいから
むりやり抱っこしても
「いニャーー」
と言いつつガマンしてくれる。

でもそれだとなんだか申し訳ないし、抱っこ=良いこと 
と思ってもらおう

ということで、抱っこしたらすぐにちゅ~るをもらえるシス

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14ご飯を食べなくなった地域猫①

14ご飯を食べなくなった地域猫①

たくさん食べる子だった。
ウェットタイプもカリカリもちゅ~るも
なんだって用意したものを食べてくれた。

そりゃあ好き嫌いっていうのはあったけれど
代わりに違うものを出せば食べてくれた。

よく食べて、食後に水を飲んで帰っていく。
網戸が開いてれば部屋に入ってひと休み。

それがいつものスタイルだ。

いつものように遊びに来たおとうさんに
ご飯を出した。

ウェットタイプは切らしていてカリカリしか

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