マガジンのカバー画像

僕色百景81〜90

10
運営しているクリエイター

記事一覧

第九十景

第九十景

多様性を受け入れることは難しい。例えば僕の場合、僕自身の型にハマらない人を受け入れられないことが多い。つまり自分と似ていない人と会ったり、話しをしたりすることはとても疲れるということだ。そりゃそうだ、自分の分身と接するなら、気を遣わなくても済む。でもまず、そんなことは起こりえない。自分と全く同じ人間など存在しない。存在しているなら会ってみたいくらいだ。

僕は婚活というものをしたことがないが、Tw

もっとみる
第八十九景

第八十九景

どこへだって行ける気がする。いやどこへも行きたくない。なにもしたくない。その振り幅が大きい。爆発的な力を見せつけて、22時に寝て、翌1時半に起きて、山に行くこともあるし、寒くて雪が降る日は一日中こたつでうだうだしていることもある。面倒くさいことは極力したくないし、やるとしても出来るだけ効率的に動きたい。本当のところ、朝早く起きるのは、とても力がいることで、いつも心が折れそうになる。でも起きてしまえ

もっとみる
第八十八景

第八十八景

最近なんだか太った気がする。去年の夏から12月くらいまで、摂取カロリーをメモしたり、走ったり、NTC(ナイキのワークアウトアプリ)をしていた。

暗くなるのが早いし寒いから、外に走りに行きたいけどいけない。家で筋トレするのも寒いからやる気が起きない。そうこうしているうちに、摂取カロリーをメモするアプリがサービス終了になってしまった。

クリスマスあたりに、牛すね肉のビール煮を作ってから、食欲が爆発

もっとみる
第八十七景

第八十七景

起きた時から、じーんとするような頭の痛さが続いている。昨日の夜、薬を飲んだはずなのに、効いていないようだった。玄関の引き戸をガラガラと開けると、家の薄暗さに慣れた目には眩しいくらいの光が入り込んでくる。一歩踏み出す前に、立ち止まっていると左の方から「ザクッザクッ」と凍った雪を引っ掻くように掘る音が聞こえてきた。何歩か進み、ポーチから出ると父親が、捌いたイノシシの肉を自然の冷蔵庫に放り込んでいた。カ

もっとみる
第八十六景

第八十六景

新聞を読むわけでもなく、パラパラとめくっていると、なにかの問題と答えのページがあった。題に目を向けるとそこには、大学入学共通テストと書いてあって、センター試験の名前が変わったんだっけと頭に浮かんだ。

その日は雪が降っていた。しきたりなのか、この地域の特徴なのか分からないが、例年試験の前日に近くのホテルに前泊するのが恒例になっていた。会場は大学のある隣の市だった。車で1時間あれば、行くことが出来る

もっとみる
第八十五景

第八十五景

伝えられないことばかりが性懲りもなくあふれ出す

駄作は全部置いてくから死にたくなったら歌えよ

~(中略)~

明日どれだけ面倒でも部屋の掃除をきちんとするよ

溜まった洗濯物を干してあなたを思って言葉を書くよ

暮らしがどれだけみすぼらしくて維持するだけで目が回っても

ただ受け入れるだけの掃除機と回り続ける洗濯機のように

好きな歌など聴けなくても会いたい人に会えなくても

行きたい場所に行

もっとみる
第八十四景

第八十四景

目覚ましの音で目が覚めた。そういえば今日は山に行く予定だった。iPhoneの画面には2:24と表示されていた。眠気と戦い、一瞬負けそうになるが、意を決して布団から抜け出ると、冷気で気持ちが引き締まった。昨日のうちに準備しておいたザックを担ぎ、下の階へ降りる。冷たい水で顔を洗い、念入りに歯磨きをした。山登り用の服に着替えて、家から出た。月の明かりは無く、辺りは闇が深い。何かが見えないか、目を凝らすが

もっとみる
第八十三景

第八十三景

今日は眠かった。昨日の夜、「ローカルビール消費を増やす方法を考える会」というオンライン飲み会に参加したからだ。最初の募集ではざっくばらんな気楽な会だと思っていたら、かなり真面目で真剣度マックスの会だった。

約束の時間を少し過ぎてから参加のボタンを押した。Zoomに入室した時には5~6人の人がすでにいた。みな神妙な面持ちをしていた。ちょっとにやけそうになったが、当然リアルでは誰とも会ったことないの

もっとみる
第八十二景

第八十二景

マッチングアプリネタが尽きてしまって困っている。1ヶ月ほど付き合って別れてから、アポはしていない。1年くらいで15人だろうか?一人に絞ったり、コロナで中断期間があったので、実働8ヶ月くらいだと思う。

1ヶ月くらい前から、自分の本心に即して、再スタートさせたけど、上手くマッチングしない。

おそらく、「今は結婚を考えていない」という選択肢にしているからだと思う。それと、子供が欲しいか?については「

もっとみる
第八十一景

第八十一景

とてつもなくキスがしたい。最後にしたのはいつだろうか。おそらく4ヶ月くらい前のことだろう。僕がしたいのは付き合い始めの何かが起こりそうなキスではなく、ある程度、関係が深まったあとの日常にする軽いキスのことだ。分かるだろうか。いや自分でも何を言っているのかよく分かっていない。

例えば、起き抜けのキスや、いってきますのキス、おかえりなさいのキス、おやすみのキス、そんなのが当てはまると思う。そのあとに

もっとみる