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第八十五景

伝えられないことばかりが性懲りもなくあふれ出す

駄作は全部置いてくから死にたくなったら歌えよ

~(中略)~

明日どれだけ面倒でも部屋の掃除をきちんとするよ

溜まった洗濯物を干してあなたを思って言葉を書くよ

暮らしがどれだけみすぼらしくて維持するだけで目が回っても

ただ受け入れるだけの掃除機と回り続ける洗濯機のように

好きな歌など聴けなくても会いたい人に会えなくても

行きたい場所に行けなくても黙って全てを受け入れるから

そしたらまた、人間でいられるんかな?

(ハヌマーン/幸福のしっぽ)

この曲は響く人には響くと思う。YouTubeにもあるが公式からではないので、聴きたいと思った人は検索して聴いてみて欲しい。本当におすすめする。

去年、この曲を繰り返し聴いた。歌詞サイトにも載っていなくて、ほぼ耳で聴いたのを書いただけだから、間違っているかもしれない。そして、独特の滑舌で何度も聴かないと分からない言葉や言い回しがたくさんあった。

このバンドの事は去年初めて知った。マッチングアプリでやり取りした人から教えてもらったバンドだ。面白いバンドを教えてもらったし、会いたいと思っていたけれど、結局は会えなかった。

なにかのきかっけとなるように、とりあえず相手の好きなものを尋ねて、相手の好きなものを知ろうとする癖が自分にはある。中には全く合わずに無理だと思うものもあるが、このバンドはハマった。

歌詞の中身に目を向けると、かなり内省的なもので、自問自答を繰り返している。このひとの実体験なのかどうかは分からないが壮絶な、そして重みのある歌詞だ。

最初に聴いた時は、呆然としてただただ涙があふれるばかりだった。生きていれば、どんなことであれ後悔することはあるし、全く同じ体験をしていなくても響くものが確かにあった。

既に解散しているのが、残念ではあるけれど、こうやって形として残るのは、本当に素晴らしいし、すごいと思う。時間を超えて、誰かの生きる力になっている。

もちろん僕の生きる力にもなった。自分が書いてきた駄作ともいえるかもしれない何かを、死にたくなったら読み直して歌いたい。そう思っている。

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