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誰かにとっての【思い出の修理工場】になれたらいいな🍑💕

間違いなく、2021本屋大賞の最有力候補。

「思い出の修理工場」(石井朋彦さん著、サンマーク出版)

☆あらすじ

うまく友達を作ることのできない、10歳の少女ピピが迷い込んだ「思い出の修理工場」。

ここは、「傷ついた思い出」を修理して「美しい思い出」に変えてくれる不思議な修理工場でした。

あるときピピはいじめに遭い、大切にしていたおじいちゃんの形見を壊されてしまいます。

ピピは、おじいちゃんの形見を直すために工場に向かいました。

そこでピピは、不思議で個性的でステキな人たちと出会います。

せっかちで小鬼のようなズッキ、
白ヒゲの親方ジサマ、
朝は少女、昼は大人、夜は老女になる
レディ・ミス・ミセス・マダム……。

しかし、良い人たちとの出会いばかりではありませんでした。

工場を閉鎖に追い込もうとする謎の存在、「黒いエージェント」が、ピピの前に立ちはだかるのです。

ピピは、初めてできた仲間たちとともに、
人間たちから思い出を奪い、工場を閉鎖に追い込もうとする「黒いエージェント」に立ちむかいます。

果たしてピピは、みんなの思い出を守ることができるのか?

ピピの、勇気と冒険の物語が、はじまります!

☆著者について

著者である石井朋彦さんは、

🍑スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーに師事し、『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』などの作品を支えた著名なアニメプロデューサー

の方でございます🙇‍♀️

ですので、物語も小説の描写の仕方も、アニメにしても映えそうな感じの活き活きとした文体で、読み進めるうちにグイグイ物語に引き込まれていきます!

そう言われてみれば、「新しい世界で少女が努力して成長していく」というシチュエーションは「魔女の宅急便」を彷彿とさせます。

ピアスな女の子

☆子どもも大人も楽しめる!

本書は、ジャンルとしては「ハリー・ポッター」シリーズのようなファンタジー小説で、お子さまでも楽しんで読むことができます。

ハラハラ・ドキドキ、勇気と冒険の物語です。

主人公のピピは、10歳の女の子です。最初は、決して強かったり器用だったりするタイプの子ではありません。

そんなピピが、自分のやるべきことや大切にしたいモノ・価値観などに気づき、成長していく様子は、多くのお子さまが共感できるところだと思います。

しかし、本書は大人が読んでも非常に読みごたえがある物語です。

私は、このような記事を書くために、読書するときは印象に残った言葉などをメモしながら読むのですが、随所に含蓄ある深い名言がたくさん出てきます。私のメモ帳がいっぱいになってしまったほどです。

一つだけ引用致します。

「みんな、近道をしたがるでしょ。でも、そんなものはないんです。あっちへいって、ちがう、と知る。こっちへいって、ちがう、とわかる。でも、どちらか…ではない。そのときに一番と思った道をいかないと、あとでまたやりなおしになる。近道というのは、先まわりをすることではなく、考えて考えて、そのときに一番だと思える道を選択することなんです」(本書204ページより)

どうですか?かなり含蓄ある言葉でしょう。このような名言が至るところにでてきます!

友情と挫折、仕事と人生。大切な人との別れ。
生きること、働くこと、人と関わることのすばらしさ。

一見、子どもでも読めるように作られていますが、実は非常に多くのテーマを深く堪能することができる重厚なヒューマンドラマです。

がじゅまる

☆現代版「モモ」?

ミヒャエル・エンデの「モモ」はご存じですね?

時間泥棒に盗まれた時間を女の子が取り戻すという物語です。

ミヒャエル・エンデはドイツの作家さんで、「モモ」は1973年の作品。翌年にはドイツ児童文学賞を受賞しています。

児童文学ではありますが、「人間本来の生き方を忘れてしまっている現代の人々に、風変りな少女モモが時間の真の意味に気づかせてくれる」という、非常に社会への風刺色が強い作品だと思います。

私は、「思い出の修理工場」にも、風刺を感じ取りました。

「モモ」は時間を取り戻しましたが、本書のピピは人々の思い出を取り戻そうとします。

ここでは直接の言及は避けますが、今の日本の状況、とりわけ政治状況への痛烈な風刺、と読むこともできるかと思います。

実質はないのにイメージ戦略で、いかにも良さそうに見せて民衆を騙そうとする者と、そんな卑怯な手を見抜けずにあっさり騙されてしまう者。行政と結託して多大な収益を貪る特定企業の存在とかね。…おっと、つい余計なお喋りをしてしまうのは私の悪い癖です、このくらいにしておきますね😝

☆2021本屋大賞の最有力候補!

例年どおりであれば2021年度の本屋大賞は、「2019年12月1日〜2020年11月30日の間に刊行された(奥付に準拠)日本の小説(判型問わずオリジナルの小説)」が選考の対象となるはずです。

本書は2019年12月10日の刊行ですから、バッチリ対象です!

間違いなく最有力候補だと私は思います。

スタジオジブリ作品を愛する人、忘れられない思い出を抱いた人、その他すべての人々に、ぜひ読んでいただきたい最高傑作です!🧡

…自分でこの記事を書いていても内容を思い出して泣けます笑😭

☆おわりに 思い出を修理する発想

人生、普通に生きていれば、辛く悲しい思い出の1つや2つ、いえ、10コや100コ、いやいや2億コくらいは誰にもあるでしょう。

本書は、そういう辛く悲しい思い出を忘れ去るのではなく、「美しい思い出へと修理する」ことが大切である、というメッセージが一貫して伝えられています。

時間の経過が傷を癒してくれたり、あるときには傷であっても、乗り越えることで成長のきっかけにできたり、という経験は誰にもあると思います。また、自分一人では乗り越えられなくても、誰かに話したり共有したりすることで辛く悲しい思い出を克服できることもあります。

私も、誰かにとっての「思い出の修理工場」になれたらいいな、と思いました。

ステキな小説です。ぜひご覧ください!🌷😊💕


🍑この記事を書いたコペル&アヤはこんな人です🙇‍♀️

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