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【推し燃ゆ】うまく社会に適応できない人でも力を発揮できるような世の中にしたい

※トップ画は『推し、燃ゆ』(宇佐見りんさん著、河出書房新社)の表紙より。

※この記事では致命的なネタバレはないように配慮していますが、内容には少し触れています。気になる方は作品を読んでからこの記事をご覧ください。


☆若き天才女流作家によるとても現代チックな小説

「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい」

という非常にキャッチーな冒頭、とても現代チックな小説です。

(「萌えた」ではありません。「燃えた」です。炎上したということですね。)

三島由紀夫賞最年少受賞の21歳、第2作にして第164回(2021年)芥川賞受賞作。綿矢りささん以来かもしれない若き天才女流作家が登場です!

本屋大賞2021のノミネート作にもなっています。『推し、燃ゆ』がもし本屋大賞をとったら、史上初、芥川賞とのW受賞の快挙となります。
(直木賞とのW受賞は『蜜蜂と遠雷』(恩田陸さん、幻冬舎)が達成しています。)

たった125ページしかないので集中すれば2時間くらいで読み終えることができます。

☆多くの現代語が文学に登場!

「推し」「燃えた(炎上)」「地下アイドル」「チェキ」「SNS」などの現代用語が続々と正式な文学作品に出てきて、時代は変わったなーということを痛感させられます。夏目漱石の『こころ』とかを読んだ後に『推し、燃ゆ』を読むとそのギャップが凄いです💦(明治と令和だから当たり前ですね)

✅「触れ合えない地上より触れ合える地下」

✅「推しは命にかかわるからね」

✅「病めるときも健やかなるときも推しを推す」

✅(炎上して事情もよくわからないが)「これからも推し続けることだけが決まっていた」

✅(なんで好きなの、と問われて)「愚問だった。理由なんてあるはずがない」

などの名言(迷言?)もたくさん登場します。実際にアイドルの推し活動(昔の言葉でいう「追っかけ」)を経験したことがある方は、主人公の「あかり」ちゃんにはとても共感できるのではないでしょうか。

☆2作連続して「推し」を描く

著者の宇佐見りんさんは1999年に静岡県で生まれ、神奈川県育ち。現役の女子大生さんです。『推し、燃ゆ』は2作めとなりますが、2019年のデビュー作『かか』も第56回文藝賞を受賞しています。凄いですね💦

実は、この『かか』にも推しが描かれていて、2作続けて「推し」をテーマにしてきています。宇佐見りんさん自身、ある俳優の方を推しているそうで、推しについて世の中で理解されていないと感じたことが執筆の動機の一つであるとインタビューで語っています。

☆描かれる不器用さと社会風刺?

主人公の「あかり」は、いろんなことがうまくできません。例えば高校の勉強にはついていけないし、ちょっと不登校気味だったりします。部屋も汚いし、推し活動の資金稼ぎに始めたバイトも苦労します。

いわゆる「ダメ人間」「社会不適応」ということになるのでしょうが、しかし推しを推すことにかけてはめっちゃ努力できて、推しのことをとてもわかりやすくブログに書いてブログファンがたくさんいるし、舞台作品の背景となるような歴史の範囲であればテストでも好成績がとれたりします。

社会にうまくなじむことができない不器用な人物が、ある特定のことにはめっちゃ能力を発揮できる…このシチュエーションは、第155回(2016年)芥川賞受賞作の『コンビニ人間』(村田沙耶香 さん著、文春文庫)を彷彿とさせます。

この2作品の主人公に対して、「なんてダメなヤツだ」とまったく共感できないという方もいるのかもしれません。でも私はとても共感できてしまいます。その出方は少し違うかもしれませんが、うまい具合に世の中とやっていくことができず何となく生きづらさを感じているという点は、『推し、燃ゆ』の「あかり」、『コンビニ人間』の主人公である「古倉恵子」、そして私も同じだと思います。

☆うまく社会に適応できない人でも力を発揮できるような世の中にしたい

作品の解釈はいろいろあり得ると思いますが、私の解釈は、主人公の「あかり」に問題があるのではなく、そんな「あかり」の存在を許容できない社会の不寛容さのほうを風刺しているのではないか、というものです。

世の中では、ちゃんと学校に通えて、従順に人の言うことを聞いて毎日お勤めができる人こそが「優等生」ということになっています。でも本当にそうでしょうか。学校や会社になじめないような人はとても繊細だからであり、そのような繊細さが発揮されてこそ輝ける領域というのもあるはずで、あまり認知されていないけれども実はそういう繊細さを求めている人も世の中にはたくさんいるように思います。

本作には何度も「重さ」という言葉が出てきます。そして、推しの対象である男性アイドル「上野真幸」を知ったきっかけは「ピーターパン」の舞台です。「大人になんかなりたくない」というセリフを劇中で何度も言わせています。

本作を読み終えてから表紙に描かれた「マリオネットのように雁字搦め(がんじがらめ)にされている女の子」を見ると、また違った風に見えてくるのではないでしょうか。

実際に推しを推している方は共感でき、そうでない方はあなたの知らない世界を知ることができます。いずれにしても本書を読むことで視野が広がると思います。…もちろん、社会風刺なんて考えず、単にちょっと抜けてる女の子の話として楽しんでもOKでしょう。

私自身は、あかりちゃんや古倉恵子さんや私でも能力を発揮して輝ける、多様性と寛容さに溢れる社会に今の世の中を変えていきたいと思いました。

☆note大学読書部に入部しました!&コンテスト告知

最後に宣伝っぽい話で恐縮です。この度、note大学読書部に正式に入部することにしました。実は、純然たる読書系記事を書くのは、1月27日の『ただ、それだけでよかったんです』以来2か月ぶりでした。これを機に、読書系の記事も増やせるように頑張りたいと思います。

note大学についての最新記事はこちら。

note大学読書部ではサークル内企画として『読書コンテスト2021春』を開催中です!3月31日まで!

note大学生向け限定イベントではありますが、月額たった280円のプランもありますので、これを機にnote大学に入ってみるのも全然アリだと思います。noteやブログ全般についてめっちゃ学べますし、300人を超える会員がいますので気の合う仲間がきっと見つかります。読書・政治・勉強系がお好きな方はぜひ私とも仲良くしてください🙇‍♀️

ある意味で、note公式のコンテストより熱いと思います。あまり気取らずにスポンサー企業の意向も気にせず好きなことが書けて、入賞できる確率もかなり高いですし、1000円のサポートという賞金まであります。

入賞はしなくても良い作品を書いてひな姫先生や読書部の重鎮の方々の目にとまれば、あなたの今後のnote活動にきっとプラスになると思います。コンテストに参加した方同士で仲良くなるだけでも楽しいこと間違いなし!

私も渾身の作品で挑む予定です。ぜひ、あなたのステキな読書体験を拝読できるのを楽しみにしております🙇‍♀️


…というわけで、最後までお読みいただきありがとうございました🙇‍♀️今後もがんばりますので励ましのスキ・コメント・フォロー・サポート・おススメ・記事の拡散などしていただけますとめっちゃ嬉しいです。フォローは100%返します。コメントで『推し、燃ゆ』のご感想やあなたの解釈なども大歓迎です。今後とも有益な情報発信に努めますので応援よろしくお願いします🙇‍♀️またねー💖


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