和歌に詠まれる「有明の月」はどうして寂しい心情を表すのか? 平安時代の人の気持ち
※いつものとおりこの記事は、内容自体は全文無料で読めます。
☆有明の月とは?
夜が明けても、まだ空に残っている月を「有明の月」と言います。
百人一首などの和歌で聞いたことはあると思います。
※和歌に出てくる有明の月は、「(旧暦で十六夜以降の)夜更けに昇り始め明け方近くまで白く光る月」といったニュアンスで、明け方だけでなく夜更けというニュアンスも強くなります。
教科書などでおなじみの図をお示ししますと、
この図は「天の北極」から見た図で、地球の自転の向きも月の公転の向きも、いずれも反時計回りである点はしっかりと押さえておいてください。
ということは大雑把に示すと、こんな感じになりますね。
上弦の月…(月の出)お昼 (南中)夕方 (月の入り)真夜中
満月 …(月の出)夕方 (南中)真夜中 (月の入り)明け方
下弦の月…(月の出)真夜中 (南中)明け方 (月の入り)お昼
新月 ……(月の出)明け方 (南中)お昼 (月の入り)夕方
※これは暗記するのではなくて、考えてわかるようにしないとダメですよ。どうしてかわからないって?そういう方は…私に家庭教師を依頼してください😝
※詳しい時刻を知りたい場合は、例えばこちらのサイトでは日時と場所を指定するだけで月の見える方位と高度を計算してくれます。おもしろいですよ。
太陽も月も含めて、基本的には、地球の自転によりあらゆる天体は東から昇って南中して西に沈んでいきます。(いくように見えます。なお、北極星やその周辺の星などは沈まなかったりしますがここでは詳しい話は割愛します。)ですから上記で、「月の出」は東の空、「南中」は南の空、「月の入り」は西の空にそれぞれ月が見える…というのも大丈夫ですね。
☆「有明の月」が見えるのは満月~新月の間だけ!
こちらの記事で既に説明したとおり、満月は地球を挟んで太陽と反対方向にあるときの月ですから、満月を与謝蕪村のように夕方に見れば「月は東に日は西に」ということになりますし、明け方に見ればその逆(月は西、日は東)ということになります。(真夜中なら南中しているので南の空ですね。)
以上のことから、夜が明けても空に月が残っているという現象は、「満月」から「新月」の間だけしか起こらない、ということがわかります。
というわけで、満月から新月までの日であればいずれも「有明の月」になり得るのですが(夜明けに空を眺めればよい)、百人一首などの和歌に詠まれる際には、特に下弦の月を過ぎた左側だけが光っている月のことを指している場合が多いようです。
ちなみに、次の新月が9/17ですから、今月は「有明の月」を見るチャンスはもうあまりありません。この機会を逃すと次は10/2の満月から10/17の新月まで見られませんので、ぜひ明け方に空を眺めておいてください。
☆ではここでクイズです
突然ですがクイズの時間です。
✅小倉百人一首には、「有明の月」を詠んだ和歌は4首収められています。すべて答えなさい!
どうですか?思いつきますか?ここに正解を書いてしまうとすぐに見えてしまいますので、ちょっと別の話題を挟みましょう。
☆平安時代の人にとっての「有明の月」
基本的には、「有明の月」を和歌に詠む場合には、どちらかというと物寂し気なニュアンス、寂しい心情の描写、場合によっては寂しいを通り越して相手を恨んで憎む、という感じになりがちです。(私もすべての和歌に精通しているわけではありませんが、傾向としてはそう言えると思います。)
なぜでしょうか?
現代と平安時代の違いについて考えてみてください。
そうです、平安時代には、電気がありませんね。
ですから、平安時代の夜は、現代と異なりホントに真っ暗なのです。(その分、星空はめっちゃ奇麗だったことでしょう…🌟)
テレビもスマホもない真っ暗な世界。普通に考えたら、日が沈んだらとっとと寝るしかないわけですね。現代人と違って、基本的にはオール(徹夜・徹宵)なんかしなかったと思います。オールしても何も見えませんからね。
つまり何が言いたいか。平安時代の人が「有明の月」を見る機会なんか普通はあまりなかったはずなんです。
それでも和歌に「有明の月」を詠むということは、「好きな人を待っていたのにちっとも来てくれないで、待ってる間に先に有明の月が出てしまった」とか、そういう特殊事情があるときに基本的には限られるんですね。でないと平安時代の人は有明の月なんか見なかったと思います。
ですから、和歌において「有明の月」という言葉は、寂しい心情を詠むときに使われる場合が多いのです(絶対ではありませんが)。
☆まとめ
というわけで、今日もいろいろな教科を融合させたお話でした。このように、複数の教科をまたいで横断的に知識を整理すると、各教科の知識がよく定着しますよ。まさに「総合的な学習の時間」ですね!
…おっと、忘れるところでした、「有明の月」が詠まれた4首を答え合わせして今日は結びとします。各々の和歌の詳しい解釈は、また別の機会に。もしリクエストなどありましたらコメントなどでお願いします!🙇♀️またねー!🧡
✅いま来むと言ひしばかりに長月の 有明の月を待ちいでつるかな(素性法師、21番)
✅有明のつれなく見えし別れより 暁ばかり憂きものはなし(壬生忠岑、30番)
※言葉としては「有明」だけですが、明らかに「有明の月」を指しているのでこれも含めて4首としました。
✅朝ぼらけ有明の月とみるまでに 吉野の里にふれる白雪(坂上是則、31番)
✅ほととぎす鳴きつる方をながむれば ただ有明の月ぞ残れる(後徳大寺左大臣、81番)
※ちなみに、以上の4首も含めて、「月」を詠んだ和歌は百人一首の中には12首あります。こちらは宿題にしておきますから、思い出してみてください。
※少し話は変わりますが、いわゆる「中秋の名月」は、今年は10月1日です。
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